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一線を越えた日1
【冬森 郁斗side】
東峰の裸を、初めて見た。
東峰の体は予想通り白く、細いラインをしている華奢な体だった。
つーか細すぎるだろ……。
アソコも勿論がっつり見たが、というより普通に触ったけど、やっぱりソコも申し分なく可愛いかった。
東峰のイク瞬間も、酷く色っぽくて堪らなかった。
唇を噛んで、ベッドのシーツをぎゅっと掴みながら、頬を赤く染めていて。
「は……ぁっ、…冬森…先輩…っ」
東峰は、後ろ向きで四つん這いの体勢になりながら、俺の方を振り返って涙していた。
眉を寄せて、頬に熱を持たせて、体を震わせて。
2本の指をナカで動かすと、東峰は頭を垂れてベッドに押しつけた。
「ん…っ…、…く……は…」
何かに耐えるように苦しそうに息をする、東峰の声。
東峰のナカは、狭くて、熱くて、俺の指をぎゅうぎゅうと、痛いほどに締めつけてくる。
東峰は、さっき何で泣いたんだろう。
何で俺は、こんなことをしてるんだろう……。
東峰に誘われて、簡単にベッドに誘導してしまった俺は、やっぱり最低か。
すすり泣く東峰の表情と、小刻みに震える彼の体に、湧く罪悪感。
「せん…ぱぃ…」
東峰の閉じた瞳から、涙がつうっと溢れて落ちた。
こんなつもりじゃなかった。
こんな、こんなつもりでは。
東峰の悲しそうに苦しそうに泣く姿を見て、俺は後悔の念を抱く。
なにを思っても、もう遅いのだと。
そんな当たり前なことに気付いて。
「東峰……」
呼んだ声に、彼は振り返らない。
彼の中で俺はもう、憎い最低野郎に降格してしまったに違いない。
俺はぐっと、自分の下唇を噛んで片手で顔を覆った。
何でこんなことに、なってしまったんだっけ……
俺はただ君と、別れたくなかっただけなのに。
なんて、そんな綺麗事、
「挿れるな」
本当は、“こういうコト”だって、俺は考えてたくせに。
誘われたんじゃない。
本当は最初から、計画していた。
彼が少し、泣いたりして、だから計画がちょっと狂っただけで。
どうせ彼は、俺を振るんだ。
俺がこれから抱こうと、抱かなくとも。
だったら、どうせこのまま…終わってしまうくらいなら――
「いやだっ…!そんなの入んな」
「大丈夫。大丈夫だから、東峰、力抜いて」
東峰の悲鳴じみた声が聞こえる。
俺は怖がる東峰に落ち着いた声で諭して、ヒクヒクとする彼の後ろに自分の先端をあてがった。
東峰の体が、途端にビクリと震えた。
「っ…や…だっ……先輩……先輩…っ」
信じられないといった顔で、四つん這いでこちらを振り返り、涙する東峰。
…そんな顔しないで、東峰
お願いだから、そんなに怖がんなよ……
東峰の腰を持ちながら、悲しむ彼の姿を見て、たまらなくなった。
東峰の中は、熱く、狭く。
「ぅ……ああっっ」
東峰は涙を流し、汗を流して、俺に耐えていた。
当然か。東峰だって、ホモじゃないし。こんなところに異物なんて、入れたことなかったんだろうし…。
「東峰」
「先輩抜いて…!!痛いっっ!痛いよ!」
「、とうみ」
「痛い!!痛い痛い痛い!嘘つき…!先輩の嘘つき!痛くないって、…そう言ったのに!」
俺は――最低だと思う。
声を上げて必死に喚く東峰を見て、俺は不覚にも可愛いと思ってしまった。
彼が感情的になることは、俺が見ている限り滅多にない。
東峰は多分、きっと笑ってないとか、冷めてるとか、本当は似合わないんだ。
こうやって本音言って、涙流して声あげて。こっちの方が、彼にはずっと似合ってる。
…なんて、偉そうに考えてる俺は、本当に最低だな。
「東峰、大丈夫だよ。力抜いて、最初だけだから。大丈夫だから、東峰」
「っふ、ぅ……うぅっ、…ふ」
泣く東峰の背中を、俺は後ろから抱きすくめた。
東峰の中は溶けるように熱い。
俺のモノは、信じられないけど、全て彼の中に無事入った。
「東峰、ちょっと動くけど…大丈夫だから」
そう、頭を垂れる彼の耳傍で囁く。
腰を動かすと、東峰がぎゅっと、シーツを手で力強く掴むのが分かった。
「せんぱい……、先輩…先輩、先輩…」
力ない声で、必死に俺を呼ぶ東峰に、愛おしいという感情が胸に沸き起こる感覚を抱いた。
俺は東峰の中で、自分のモノを動かした。
キツい彼のナカで、腰を軽く後ろに引いて、前進させた。
東峰は高い声を出し、俺の行為に体を震わせた。
「ぃ……やだ……、先輩……」
消え入るような東峰の声に、俺は聞こえないフリをして、再びゆっくりと彼の中を突いた。
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