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えっちな先輩1
【東峰 春side】
先輩は、キスが物凄く上手い。
俺の口内を、先輩の舌が上下左右に動き回る。
「んんっ」
先輩に舌を絡め取られて、呼吸ができなくなる。
慌てて必死に僅かな隙間で呼吸をしたら、目を開けた先にいた先輩に、その様子をじっと見られていた。
恥ずかしさに、顔が一気に火照った。
先輩のキスから逃れようとすると、「まだ」と言って、先輩に顎を掴まれて口を開かされた。
先輩さっきそんな雰囲気出してなかったのに、急に強引になってるし…っっ
先輩からのキス攻撃に何分間か経ってようやく脱出すると、俺ははあはあと新鮮な空気を吸った。
「服脱がしてい?」
そう訊かれると共に、先輩に上の服とズボンを脱がされた。
聞いてくる意味、ないし……。
いつも優しい先輩の男らしい姿に、ドキドキした。
「緊張してる?」
優しくて、低くて甘い、先輩の声。
「…ちょっと」
先輩の声だけで、体が疼く。
どうしよう……俺、先輩に触ってほしくてたまらない。
「んっ」
先輩に軽くくりっと、触られた乳首に過剰に反応する。
なんか、すごく緊張してるんだ…俺。
初めてじゃ、ないのに。
「ちょっと触っただけなのに。硬い」
先輩の声に、全身が震える。
…変態って思われたかな。乳首だけで俺、こんな過剰に反応して、キモいかな…。
上にある先輩の顔は恥ずかしくて見ることができない。
横に顔を向けて、ぎゅうっと必死に目を瞑る。
先輩の片手が、俺の胸元から腹部を沿って、そのままパンツ付近にまで移動した。
「あっ、先輩、やだっ」
パンツを脱がしにかかろうとする先輩の手に気づき、思わず声を上げる。
「ん?何で?脱がさないと、エッチできないよ」
先輩は俺の下着の上から、むくむくとし出す俺のモノを、いやらしく5本の指で撫で回す。
先輩、えっち……。…えっちだよ。
「ひっ、ぅ…あ」
布越しに先輩の手でモノを撫で回される感覚に、ゾクゾクした。
「先輩やだ…っ、やだっっ」
先輩のえっちな手つきをした大きな手に、ビクビクと体を反応させた。
「俺の手気持ちいい?」
先輩の声に、羞恥で倒れそうだった。
気持ちいい?なんて、聞かないでよ。
そんなの、撫で回されたら、勝手にアソコは反応するに決まってるじゃんか…。
先輩の手が、パンツ越しにくにっと俺のモノを握って、俺はたまらず声を上げた。
「そろそろちゃんと見たいな」
先輩は、恥ずかしさで死にそうな俺を見て言う。
〜いいなあ先輩は……っ、全然俺みたいに恥ずかしくなくってさっ。
パンツを剥がれる感覚に、俺は出そうになる涙をぐっと堪えた。
仰向けになって、先輩に全裸にさせられて、両足を左右に開かれた。
……もういやだ。
なんてカッコしてんの、俺。先輩、何で足開くの。
嫌だ、こんな姿。ありえないよ。
「東峰」
「~先輩っ見ないで!」
咄嗟に顔を手で覆う。
「もう、いやだ…… おればっか…」
消え入るような声で呟くと、先輩はなぜか、ちゅっと俺の下腹部にキスをしてきた。
「なっっ!?」
すかさずビクッと反応すると、先輩は少しだけ嬉しそうな顔をしていた気がした。
「東峰、初めてエッチした時と反応違う」
「……へ」
「東峰、……可愛い」
全身の熱が――上に上に、上がっていく。
先輩、分かってて言ってるのかな。俺が恥ずかしがるって分かってて、こんなこと言うのかな。
「だ、だって」
「うん?」
「あ、あの時は、その。だって、先輩に俺は、相応しくないって、そう…思ってて」
だから…と続けようとすると、不意にあはは、という先輩の笑い声が聞こえて止めた。
…何で笑うんだろう?
「東峰って、ほんと変なこと考えるなぁ」
先輩は、上から俺を見下ろしながら、馬鹿だなぁと言って爽やかに笑った。
「俺はそんなにすごい奴じゃないっての」
そう言って軽く照れたように笑う先輩に、胸がどきどきした。
…そう、かな。
そうなのかな。でも、先輩はやっぱり、すごい人だと思うんだ。
俺とは全然違うから。
優しくて、でもちゃんと芯があって、頼りになって。
その上カッコよくて、俺には到底なれない人だなあって。
「また何か難しいこと考えてるんだろ」
「えっ」
急に声をかけられて、どきりとした。
先輩は俺を見て、優しい顔で笑っていた。
わ……なにそれ。イケメンっていいな。
笑うだけで、一瞬で人を魅了するんだもんな。
「俺が東峰のこと好きなんだから、それでいいじゃん。他のこと考える必要なくない?」
先輩はまた、そうやって俺に嬉しいことを言ってくる。
もう、なんだよ…この人、冬森先輩。
何なんだよ、この人。
そう思っていたら、
「でも、俺さ。東峰のそういう、真面目に物事考えるところ……結構好きなんだよね」
ドキ
ああ……もう、またそんなこと言って。
俺をますます、先輩に夢中にさせようとして。
先輩って本当、もう全然意味分かんないよ。
でも、俺…先輩のなんでも上手くいくっていう、楽観的な考えもね、すごくいいと思うんだ。
根拠が何もなくても、先輩が言うと、本当になんでもできちゃう気がするんだ。
先輩がいると、何でも叶っちゃう気がするんだ。
そう思うってことは、やっぱり先輩ってすごい人なんだよ。
先輩ってきっと、無意識に何でもできちゃうから、自分の魅力に気づいてないね。
先輩って少し、鈍いし…。
「…東峰」
先輩の目に――吸い込まれる。
先輩に名前を呼ばれる度、好きって気持ちが増える気がする。
先輩は全部カッコよくて、俺、少し頭がクラクラするくらいなんだ。
先輩を見つけた俺は、ラッキーだよ。
先輩に告白された俺は、すごくついてる奴なんだよ。
先輩が好き。先輩が大好き。
ずっと、あなたのことが好き。
「そのままだよ」
先輩の声に、何度目か分からない胸の高鳴りを感じた。
俺の勃つモノを掴む先輩の手に、ビクリとした。
「な……っにし」
「そのまま」
次の瞬間、ぬるりとした感触が、俺のモノを包んだ。
先輩の口の中。
舌の感触。
思わず体を起こして、股の間にある先輩の顔を見て、俺は目を開いたまま体を硬直させた。
な、ななな何して……っ!?
「せ、せんぱい…っ あ、や、やめて」
俺は顔を真っ赤にさせて懇願した。
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