【東峰 春side】 駄目だ、先輩の端正な顔付近に俺“の”が…！ 先輩のかっこいい顔台無し、ほんと台無しだよ！ 「東峰、顔手で覆わないで」 「だって先輩！っそ、そんなとこ口で…！」 早口で伝えると、先輩が俺をじっと見つめてくるのが分かった。 何でそんな見てくるの！？ 「東峰…もしかして」 先輩は顔を覆っていた俺の手を無理矢理取って、顔を近づけてくる。 ち、近い近い近いっっ！ 「俺と以外…エッチしたことない？」 涼しい顔をして訊ねてくる先輩に、既に赤かった顔がさらに赤に染まる。 何それ、何その質問！？ 「男と経験ないのは知ってたけど…もしかして異性ともない？」 「…えっっ」 「ある？ない？どっちなの？」 〜あーーもう……っ！ 「し、したことないですっ！」 「えっ」 …最悪だ。 先輩に、こんなこと告白しなきゃならないなんて…。 先輩、どう思ったかな。 「……そうなんだ」 冬森先輩は笑いもせず無表情でもなく、軽く片手で首裏を触っていた。 「じゃあ俺、東峰の初めて全部もらえるってわけか」 囁かれたのは、予想もしていなかった先輩の言葉。 え……。 「嬉しい、俺」 ほんの少し顔に笑みを浮かべた先輩に、心がかき乱される感覚がした。 「あ、続き。していい？」 先輩は再び、俺の足の間に顔を埋める。 童貞が嬉しいだなんて、…そんなことを言われる日が来るなんて、今日まで夢にも思っていなかった。 「――あっっ だめっ！まって、せんぱ…っ」 その後、俺はあろうことか、先輩の口の中に射精(だ)してしまった。 や、やややばい……っ！まじで何してるんだ俺っ！ 「うわあぁごめんなさいっ！ごめんなさい！」 顔を真っ青にしていると、ゴクゴクと飲むような仕草をする先輩の姿。 え……！？ 「せ、せせせんぱっっ！？」 「ふぅ。案外全然イケるな」 …！？ 「東峰、なに若干逃げてるの」 「だってっ、先輩がっ！」 なに平然とした顔で口元拭ってんの。 俺の出したのいま飲んだの！？ちょっと先輩！！ 「東峰、ほら。お尻見せて」 真顔で喋る冬森先輩に、俺はまた顔を赤く染めた。 お尻って…もしかしてまた舐められる？ もういやだ、俺ばっか恥ずかしい目に遭うのいやだって。 「先輩ばっかりカッコいいよっっ！」 思わず、そう声を上げる。 あ…どうしよ。思わず言っちゃったけど、先輩に恥ずかしい役やってもらうのは、アレなのかな。 いやでも、俺ばっかり恥ずかしい役じゃん！ 先輩だって触られたりとか、したいと思う！それに、先輩の余裕そうな顔とか、崩してみたいよ俺だって！ 「お、俺も」 先輩のこと、気持ちよくさせてあげたい。 できるか分かんないけど、正直不安しかないけど…何事もやってみないとだし。 「せ、先輩のっっ、舐めます！」 勇気を振り絞って言うと、先輩は驚いたように目を大きくした。 あれ……引かれたのかな。 「あの、冬森先輩？」 不安に思って声をかけると、 「あ、…それはいいよ」 返ってきた先輩の声に、ショックを受ける。 …なんで。俺にはされたくないってこと？ 「東峰、無理しないでいいよ。俺、したくてやっただけだから。だから、俺がしたからって、東峰まで無理にしようとしなくても…」 そう、視線を逸らしながら話す先輩。 「――そんなんじゃないです、俺」 「…え？」 先輩が逸らしていた目線を俺に向ける。 「俺… 先輩にも気持ちよくなって欲しいんです。 俺もしたいんです。無理とかじゃ、全然ないんです」 駄目ですか…？ 訊ねると、先輩は、そんなことはないけど…と言いながら目を泳がせた。 先輩はズボンを履いたままの格好で、ベッドの上に膝をつき、中からモノを取り出した。 間近で見る冬森先輩のソレは大きくて、途端に体が緊張でカチコチに固まった。 「せ、先輩は、し、しし下、ぬ、脱がないんですか」 耳まで真っ赤にしながら気を紛らわそうと聞いた質問に、先輩はうん、とそれだけ言った。 なんか今思ったけど、先輩は下履いてるのに俺だけお尻丸出しで全裸って、俺だけ恥ずかしくない…？ そりゃ、先輩は挿れるだけだろうから、脱がなくていいんだろうけど。 なんか、不平等……。 「無理だけは、ほんとしないで」 先輩に言われて、俺はこくりと頷いた。 四つん這いになって、とりあえず先輩のモノを口に含んでみた。 冬森先輩の見よう見まねで、懸命に口に咥えて舐める。 すると、先輩“の”は、だんだん口の中で更に大きくなっていった。 先輩、気持ちよくなってくれてるのかな…？ 一度口を離して、舌で先の方を舐めながら上にある先輩の顔色を伺うと、ばちりと目が合った。 冬森先輩、…俺のこと見てる…。 よく分かんないけど、見られることに興奮してしまった。 だって、先輩の舐めてるとこ、先輩に見られてるんだ…俺。 何だかたまらなくなって、息が乱れた。 「んふっ、ぁふ」 先輩の視線をすごく感じる。 先輩の熱いのが、口の中でわかる。 いつ……イきそうなのかな。 もうちょっとかな？ そう思っていたら、先輩の手にぐっと頭を離された。 「へ…せんぱ」 「もういいよ。十分」 え？と聞き返そうとした俺の体を、先輩が押し倒す。 「わっ」 「“東峰のナカ、挿れてイきたい”」 色っぽい、真剣な顔つきをした冬森先輩のカッコいい姿に魅了され、俺は目が――逸らせなかった。