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第8話

正直美作とセックスしたとしても汚れない気がする。だってあの美作だし… 「美作…あの…」 「…泣いていいよ」 「え?」 思ってなかった一言。 …だけど僕は泣かないよ…大丈夫…僕の見る目がなかっただけ…泣いた方がバカみたいだ。悔しいじゃん?負ける感じすんじゃん? 「泣いたら少しは楽になるんじゃない?すごく悲しかったでしょ?じゃないとそんな自分を軽く思うことなんてできないんじゃないかな?」 美作は背中を撫でながら優しく声をかけてくれる。…あぁ…だめだな…絶対泣かないって決めてたのに… 「本当に好きだったんでしょ?信じてたんでしょ?」 「…好きだった…信じてた…」 「彼は本当に君を大切にしてたからね。俺が近付くだけで前に立ち塞がってさ。俺は普通に熾くんと仲良くなりたかっただけなのにゴミムシ見るみたいな形相で…うん。ある意味俺にとっても彼は特別だったよ」 「…ゴミムシって…」 「ねぇ?失礼しちゃうよねぇ。こんな美人な俺に向かってさ。…ねぇ熾くん。頑張んなくていいよ。ここは俺しかいないんだし取り繕わなくたっていい。君は天使じゃないよ。天使熾くんなんだから」 美作の慈しむような声にとうとう涙が溢れてきた。次から次に溢れるものだから止められなかった 「本当に好きだったっ…彼だけは違うって…信じてた…僕はっ…僕は…天使じゃないっ!人間だから感情だってあるんだよ…だけど…僕は…」 ボロボロと零れ落ちる愚痴。それを黙って全部受け止めて背中を擦ってくれて…涙が枯れるんじゃないかなって思うくらい子供みたいに泣いて…ふっと意識を手放した 次に意識が浮上した時目を開けると目の前が美形で一杯になった 「うわっ!あ…美作…」 「うん。おはよぉ。起きたの?まだ寝ててよかったのに。」 外はいつの間にか暗くなってた…せっかくのお泊りだったのになんだか勿体無い事した…それに… 「起きてたの?」 ずっと?僕を腕枕してくれてて髪を撫でてくれてた?きつかったよね?重かったよね? 「起きてたよ。天使ちゃんが俺のことなかなか離してくんなくてさ。ずっと寝顔見てたよ」 そう言われて手元を見るとぎゅっと美作の服を掴んでいた。服にはシワができてて涙のシミが沢山になってた 「あ!?ごめっ!」 「ふふっ。いいよ!可愛い寝顔を堪能できたし。最高の時間だったよ!大丈夫?沢山泣いたから喉渇いてるでしょ?お水持ってくるね」 そう言って僕の頭を撫でて起き上がった

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