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第9話
離れていく熱が何だか心細くて一度離れた美作をぎゅっと抱きしめた
「ふあっ?へ?どしたの?」
焦る美作がとても可愛くて楽しくなってしまう。
「ふふっ。えっと…僕も一緒に行く。手繋いでいい?」
「お…おーっ。いいよぉ!天使ちゃんったら甘えたさんだなぁ」
結局美作の方が一枚上手だ。すぐにいつもの綺麗な笑顔に戻ったから頬が熱くなってしまう。
「美作には敵わないなぁ」
「へ?何が?」
「ううん。何でもない」
恥ずかしくなって手を離すとその手を逃すまいと美作が手を繋いでくれる
「天使ちゃんが言ったんでしょ?男に二言はない!でしょ?手繋いでいくよぉ!」
…こうやって彼とも手を繋ぎたかった…ふざけたかった…じゃれ合いたかった…だけど…不思議とさっきよりも胸が痛くないのは泣いたからかな?
「はい。どうぞー」
「うん。ありがと」
じーっと見つめられるから思わず飲み込めなくて
「ほらぁ…ここからこぼれてるよ」
口端に溢れた水をそっと指先で拭ってくれた。
その触れた指先が熱かったのは気のせいかな?
「ねぇ。熾くん」
今度は熱の籠もった瞳でじーっと見つめてきた
「な…なに?」
本当に…心臓に悪い。綺麗って罪…
「あのさ。俺じゃだめな訳?」
「は?」
突拍子もない一言に変な声が漏れた
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