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第9話 加賀美の過去①

 温厚な姿しか見たことのなかった彩真は、加賀美の雄の部分に触れゾクリと肩を戦慄かせた。  ただ細いだけではない身体に見蕩れてしまう。 「じっくり見られるのは恥ずかしいかな」  加賀美は自分の年齢を気にしているのか、そんなものは数字でしかないと物語る体躯は、彩真よりも遥かに逞しいのに。  口調だけは変わらず優しい。それがより彩真を淫蕩にさせた。  加賀美の腰に足を絡め、引き寄せながら下着をずらす。  屹立が擦れ合い、先端からは透明の液が流れ出す。加賀美は二人分の男根を掴み、上下に扱いた。 「あ、っはぁ……気持ちい……」  絶妙な力加減で手淫され、腰が浮いてしまう。  加賀美も吐息を漏らしながら、身を屈め、男根を扱く。彩真の胸の突起に吸い付き、舌先で転がした。 「ん、ぁぁ……んぁあ……」  あられのない声を上げながら、加賀美に身を委ねる。何をされても気持ちいいしかない。  エアコンの利いた部屋なのに、体の熱がみるみる上がっていき肌が汗ばんでいく。  加賀美は乳暈を甘噛みしながら、注挿する手に更に力を込めた。 「待って、加賀美さ……まだ、イキたくない」 「一回イかないと辛いでしょ。それに、まだまだ終わってあげられないから」  言いながら、容赦なく彩真の先端に爪を立てた。 「んぁああっ!!」  彩真は腰を突き上げ、白濁を飛沫させた。加賀美はその白蜜を丁寧に舐め取っていく。  下腹部を舐められるなど、経験したことがない。  くすぐったくて、身を捩ろうにもそうさせてはもらえない。屹立に触れそうで触れない、絶妙に避けられているみたいでもどかしい。  加賀美は屹立の先端の残滓さえも逃さないと言わんばかりに、口を付ける。 「ひゃっ、ぁあ……や、待って……今、イったばかりで……」 「彩真くん、まだ萎えてないよ」  残滓を舐め取り、そのまま根本まで彩真の屹立を口中に含むと、巧みに舌を這わせる。    加賀美の頭が自分の脚の間に収まっていることすら、信じられない光景だというのに、まさか口淫されるなんて思ってもみなかった。その上、加賀美のテクニックときたら、彩真の精液なんて瞬く間に絞り取られそうなほど凄い。  若い頃はモテていたと言っていたのを思い出す。一体、何人がこのテクニックに溺れてきたのだろうと考えると、少し切なくなってしまう。   「彩真くんは、まだ他所ごと考える余裕があるんだね」 「え、いや、なん……で……あっ、あぁ!! 加賀美さん、いきなり激しくしないで」  注挿する口の動きが苛烈を極める。一度達した彩真はただでさえ感度が上がっていた。  加賀美がまだ一度も達していないのに、彩真は呆気なく二度目の吐精を迎えてしまいそうだ。 「やめて」と言いながらも、自らの腰を加賀美に押し付けてしまう。  快楽の波は引くことを知らない。 「い、イく……イくっっ!!」既のことろで加賀美は顔を話した。 「へ……なんで……」  絶頂に達しようと体が身構えていた。それが肩透かしをくらい、彩真は目を瞠る。  加賀美は「やっぱり一緒にイキたい」と言って、彩真を四つん這いの姿勢にさせた。 「脚、しっかり閉じてて」  加賀美の男根を挟んだ腿をしっかりと閉じさせると、思い切り腰を打ち付けられた。 「ぁんっっ!!」  亀頭が裏筋を刺激する。加賀美はギリギリまで男根を引き抜くと、再び強く腰を打ち付けた。  繰り返し何度も何度も突き上げられ、彩真はまた快楽の波に呑まれていく。 「今日はオイルもないから、これで我慢してね」  加賀美は彩真の腰を鷲掴みにし、律動する。  今日、最後まで抱いてもらえると期待した彩真は残念に思う反面、オイルを常備してないあたり、ここで他の誰かを抱いていないことが判明して嬉しくもあった。 「今日は」ということは次があるというなのだろうか。期待に胸が膨らむ。  この男根で孔の奥まで貫かれたら……想像するだけで情欲が昂ってしまう。  加賀美の呼吸が荒くなり、いよいよ絶頂を迎えようとしている。 「射精()すよ」 「はい……いっぱい下さい」  加賀美はガツンと腰を打ち付けたのち、素早く引き抜き、彩真の背中に白濁を飛沫させた。  じんわりと暖かさを感じる。  その温もりで、彩真も背中を撓ませ吐精した。  シーツに彩真の白蜜が糸を引いて滴っている。  ほぼ同時に絶頂を味わい、彩真は法悦としてしまった。立て続けに二度も絶頂を味わうなど、早々にない経験だ。それが加賀美とだから、無意識に満悦の笑みを浮かべてしまう。  しばらくはこの余韻から抜け出せないだろうと思う。  全て射精し切った加賀美は、彩真の身体を丁寧に拭いてくれた。  そして二人並んで寝転び、抱きしめ合う。加賀美は彩真の顔中にキスを落としていった。 「加賀美さん、くすぐったいですってば」 「こんなに可愛い子に好かれるなんて、神様もイタズラなら酷いなって思って」 「イタズラじゃありません。本気です」 「分かってる。年甲斐もなく、浮かれてるんだ」  加賀美からはさっきまでの艶っぽい表情は消え、いつもの穏やかな表情に戻っている。  彩真も自分からキスを求め、甘い時間に陶酔した。

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