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第6話

眞島が俺を──好き? 帰宅し上着も脱がずにソファーに身体を沈めて、ようやく状況が飲み込めた。本当の意味で理解する。 そして間もなく襲ってきたのは……あの恐怖だった。 さすがに自分で自分を見放したい気分に覆い尽くされる。 同性に好かれて嫌悪感や不快感が湧く方が、よっぽどマシだった。 ──もう今から眞島が居なくなることが恐ろしくなるなんて。 つまり俺は眞島をすんなり受け入れていた。 これからの自分が容易に想像できる。 妻を愛している、この気持ちが薄れもしない間に眞島を特別に思うようになる。過剰に意識する心と裏腹に、出来るだけ遠ざかろうとする。 仕事上の関わりに影響をきたすような真似はしない。けれど眞島だけには伝わってしまう。眞島からすれば今日の出来事が発端で、嫌われたとしか捉えられないだろう。そのうちに眞島の熱も冷める。 そして俺はやがて妻を忘れて、近くにいる限り眞島の事を想い続ける──。 前世の行い、よっぽど悪かったのかなあ俺……。 まるで呪いのようだ。 だが、まだ終わりではない。週明けに、それすらも覆す最悪の事態が待ち受けていた。

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