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第6話 契約という罠

俺は陸から見えないように、そっとスマホをベッドサイドに置いた。 「そうだ、ワイシャツ着たままじゃ寝苦しくない?」 「たしかに……それもそうだな」 陸は戸惑いながらも、酔いのせいか抵抗せずに俺を見つめる。 「脱げるか? 手伝ってやるよ」 「ん」 素っ気なく答えながらも頷く陸。俺はゆっくりとシャツのボタンを外していく。 白いシャツの下から見える陸の肌は、思ったより綺麗だった。 さっきまではスーツを着てたから分からなかったけど、意外と引き締まってる。 「いい身体してるじゃん。もったいないから隠すなよな」 からかうように言うと、陸の頬が赤くなる。 「何言ってんだよ……」 「契約通り、俺のこと癒やしてくれよ。当然、俺がリードして、陸が受け身な」 「……えっ」 俺は陸を抱き寄せて、軽くキスをする。 「俺が求めたら、ちゃんと応えろよ?」 「……求めるって何だよ」 「教えてやる」 俺は陸の首筋に軽くキスをして、命令するように耳元で囁く。 「今夜はここで、俺と一緒に過ごすんだろ」 「……だってお前がこいって言ったからじゃん」 照れ隠しで強がる陸。でもその頬は真っ赤だ。 「俺のこと、好きって言ってみろ」 「……は? なんで俺が……」 「契約したからな。俺の恋人だろ」 陸は少し考えてから、恥ずかしそうに視線を逸らす。 「……す、好き……だよ」 「もう一回。今度はちゃんと俺の目を見て」 「うっ……すき、だよ……」 その恥ずかしそうな表情に、征服欲が満たされた。 「よし。いい子だな。じゃあ今から俺の好きなようにする」 「ちょ、ちょっと待て……」 慌てる陸を軽く押さえて、俺は陸の肌をゆっくりと撫でる。 「あれ、法務部なのに、契約守らないのか?」 「……いや、そういうわけじゃ……」 「じゃあ問題ないな」 陸は完全に俺のペースに飲まれてる。口では抗議するくせに、身体は素直だ。 「陸、俺今めちゃ興奮してる」 「……知らねぇよ、そんなの」 「知らないって言うわりには、お前も興奮してるじゃん」 「してない!」 必死に否定する陸が可愛くて、思わずからかいたくなる。 「今夜、最後まで俺に付き合えよな」 陸は少し迷った後、プイッと横を向きながら答える。 「……どうせ断っても無駄なんだろ?」 「よくわかってるじゃん」 その言葉を聞いて、俺は陸を軽く押し倒した。 陸は俺を睨んでいるけど、その瞳には諦めと期待が混じってる。 「安心しろ。俺がちゃんと気持ち良くしてやる」 俺は陸の顎を軽く掴んで顔を上げさせる。 「……上から目線だな」 「当たり前だろ。お前は俺の彼女なんだから、俺に従ってればいいんだよ」 「彼女って……俺、男なんだけど」 「関係ない。もう決まったんだから」 そう言うと、陸は何も言い返せなくなった。 「逃がさない。お前は俺のものだから」 俺は陸にもう一度深くキスをした。陸は最初抵抗しようとしたけど、だんだん力が抜けていく。 「んっ……」 小さく漏れる陸の声に、俺の興奮はさらに高まった。 そして、俺の思い通りの長い夜が始まった――。

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