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*第78話 遅すぎる朝
目が覚めたとき、最初に感じたのは——重さだった。
「……ん……」
身体のあちこちが、じんわりと気だるい。
特に腰のあたりに残る違和感に、意識が一気に引き戻される。
(……あ……)
そこでようやく、昨夜のことが断片的に浮かんできた。
途切れ途切れの記憶。
熱、声、触れられた感覚。
自分から、縋るみたいに求めたこと。
「……っ」
一瞬で顔が熱くなる。
逃げるみたいに布団に顔を埋めかけて、そこで気づいた。
すぐ隣に、規則的な呼吸。
恐る恐る顔を上げると、
すぐ近くに高村の寝顔があった。
(……寝てる……)
少し安心して、同時にどうしようもなく恥ずかしくなる。
あんなふうに求めたあとで、
どういう顔をしていいのか、正直わからない。
じっと見ていると、高村のまつげがわずかに揺れた。
「……起きてる?」
低い声が、まだ眠気を含んだまま落ちてくる。
「……っ、あ……」
バレていた。
日比野は思わず視線を逸らす。
「……おはよう」
「……おはよ……」
沈黙に耐えきれなくなって、
日比野は布団をぎゅっと握った。
高村が布団の中から腕を出し、そっと日比野の頭を撫でる。
「…昨日は、ごめん」
「え」
「初めてなのに、あんな…もっとゆっくり、やさしくするつもりだったのに」
「…」
「身体…痛くない?」
少し眉を下げて、いたわるように頬を撫でる。
「…ちょっとだけ、腰がだるい…けど」
「……そっか」
「……良かったな、って」
「…」
「なんか、嬉しい…かな」
日比野が顔を赤くしながらチラリと高村を見る。
その仕草が愛おしくて、高村は日比野の額にキスを落とした。
「良かった。…俺も嬉しいし、幸せ。可愛い。好き」
「…ん。いっぱい言うなよ…恥ずかしいから…」
高村の胸にすり…と顔を寄せて、小さい声で呟く。
「……俺も、好き、だよ…」
日比野の頭を撫でていた手が一瞬止まる。
「…………危ない。またブチッといくところだった」
「え?なにが?」
「ううん、なんでもない。そろそろ起きようか」
カーテンの隙間から差し込む光は、少し強くなっていた。
遅すぎる朝。
それでも、この時間が悪くないと思えるくらいには——
もうちゃんと、隣にいる。
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