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第12話
何も発さないまま、少しだけ時間が過ぎた。
「俺も…休みの日に、お泊まりしたいです…」
少し俯いて、拗ねたみたいな言い方。
思わずニヤッとしてしまったけど
相手にバレていないことをいいことに
そのまま続ける。
「合鍵あるんだから、普通に泊まり来ればいいよ」
その言葉を聞いた瞬間
相手は急に顔を上げて、こっちを見てきた。
なにか言いたげで
こちらからすると口をパクパクさせているようにしか見えない。
「なぁに?聞こえないな」
わざと耳元でいうと
少し赤くなりながらも
絞り出すみたいに答えた。
「ひ、一人でいると…
服の匂いをずっと嗅いでそうな自分が
出来上がりそうで怖い…」
-なんだ、そんなことか
悩まなくていいのに
いつもならそう思うだけで済むはずなのに
この時は何故かすぐに割り切れなかった。
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