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第16話

目を覚ました時に、最初にあったのは音じゃなくて 匂いだった。 コーヒーでも、タバコでもない。 もっと曖昧で、言葉にしづらいー ー人の気配。 ベッドの上 腕の中。 昨夜、どこで意識を手放したのかを思い出す前に、背中に回された腕の重さが先に答えを出す。 抱きしめられているというより、逃げないように 囲われいてる感覚。 身動ぎをすると、腕に回されま力が強まった。 「…やーだ」 寝ぼけたまま、拒否にもならない声が漏れる。 逃がさないというみたいに もう一度腕が締まる。 近い、近すぎる。 完全に寝ぼけているし距離がおかしい。 「まだ起きないよ、大丈夫」 耳元で落ちた声は低くて優しい。 起こす気なんて最初からないみたいだった。 その言い方に 安心してしまう自分がいる。

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