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(悪魔side)
あぁ、なにをしてるんだろう。
俺は、エクソシストを助けて…
自分でも何をしたいのか分からなくなってくる。
そろそろ魔界からお咎めを受けそうだが、止められない。
さっきは勝手に怒って立ち去ってしまったな。ライラのことを考えれば、アイツが悪魔祓いを使命としていることは理解できる。
だが…。あの男が、他の悪魔から傷つけられるのが気に食わなかった。
そうだ、ちゃんと話し合いをするべきか…?
待てよ、話し合いだと?
悪魔のすることじゃないな。
どんどん人間臭くなってく自分を嫌悪したい。相手の弱みに漬け込めば堕とせるものを、対話だなんて、馬鹿げてる。
悪魔失格だ…。
そう思いながらも、ライラの泊まっているモーテルに再び姿を現す。
「シャワー中か…」
良かった、今回はシャワー室に現れなくて済んだようだ。別に覗き見する趣味は無いからな。変に誤解されては困る…。
ソワソワとベッドに腰掛けて、膝を組み、堂々と振る舞う準備をする。
なんだ、惨めだな…。なにをビクビクしてるんだ、俺は…。
その時、カチャ、と音がして、ライラが風呂から出てきた音に敏感に反応する。背を向けたまま待っていると、ライラが声を上げた。
「っ…ベルブ…」
真面目な表情で、彼の方を振り返った。バスローブに身を包んで、ライラは顔を赤くして俺を見ている。
ライラは俺を見て嬉しそうだ…。彼は隠せない感情を広告塔のように貼り付けてる。
可愛いな…。
「…ライラ。体は大丈夫そうか?」
「…別に…お前が助けてくれたから、怪我も無いし…」
その言葉に、片眉を上げて腕を組む。
ほう、助けれくれた、とな。
どうしたんだろう、ライラがいつもより素直になっているような気がする。
「そうか。良かった」
「…でももう今日は…来ないのかと思ってた」
「いや、さっきは人が来る気配を感じて、隠れただけさ。もう少し…本当は話がしたかった」
「…はっ、俺と…話か…。お前を本気で怒らせちまって…もう来てくれないかと…」
「…怒ったのは…確かだけど…。さっきは俺の方が、少し冷静さを欠いてた」
申し訳なそうにライラを見ると、ライラは驚いたように瞳を見開く。
「分かってるよ…心配…してくれてるんだろ…?」
「あぁ、そうだよ。心配してる。」
真面目な顔をして伝えると、ライラはボっと顔を染め上げた。
「なんで俺なんかを…」
「なんで…だと?分からないのか?」
「…分からねぇよ…。俺なんか…お前の暇つぶしに過ぎないだろ…。堕ちてく俺を見て楽しんでるんだろ…」
あぁ、確かに最初はそうだったかもしれない。でも今は違う…。
「暇つぶしか。暇つぶし相手に悪魔が優しさを見せるとでも?」
そう言ってベッドから腰を上げ、ライラを見つめる。ライラは顔をさらに赤くして、目を逸した。
「…悪魔の考えてることなんて、理解できねぇよ。腹の底で何考えてるのか…分からない。」
「…そうか。俺が勝手に助けたことも、お前にとっては迷惑なことだったかい?」
「…っ」
ライラは頬を染めながら、固く口を噤んでしまう。いじらしいな…。嬉しかったんだろ…?素直にそう言ってくれればいいのに。
「…助けられて…迷惑だなんて思わない…」
煮え切らないようなライラの返事を聞いて、数歩踏み出した。ライラは後ずさりして、壁に背を当てる。
逃がすまいと手を伸ばし、ライラの左腕をしっかりと掴んだ。動揺したようにライラの瞳は揺れて、肩が小さく震えている。頬は一層赤く染まっていった。
「なら何故認めない?お前は俺を欲しがってる」
「…そんなこと、認められるわけ…」
躊躇うようなライラの言葉を聞くともどかしくなって、ライラの腕を引き寄せた。吐息を喉に詰まらせ、ビクッと震える体は反射的に俺の胸を押し返す。
それは、か弱い抵抗だった。まるで腕に力が入らないかのようになんとも弱々しく胸を押し返してくる。
「…認められないと言う理由は、俺が悪魔だからか?」
「…っ」
ライラはどこか罪悪感を募らせるように苦々しい表情をした。
「そうだな。エクソシストが悪魔に本気で惚れてるなんて…。あっちゃいけねぇ話だよ。それに俺は教会に縛られてるし、妻も居る…。お前のこと…本当はどう思ってるかなんて言えるわけがねぇ…」
ライラは葛藤するように表情を曇らせ、俯いている。
「…そう。なら…認めさせるしかないね」
低い声でそう言うと、ライラは恐怖と期待が混じったような、複雑な眼差しをこちらへ向けた。
「…だ、駄目だ…何する気だよ…まさか…その、セ…セックス…!?」
「あぁ…そうだった…。覚えてたんだね?それとも期待してた?」
「バカ、違う…期待なんか…っ」
ライラの頬の紅潮が耳まで広がって、バスローブから見えている胸元までボッと燃え上がるように赤くなる。
体を寄せて、ライラの体の熱を感じながら、耳元で囁いた。
「好きって認めるまで…犯し続けようか…?」
「っ…駄目だ…そんなこと…っ」
ライラの体が震え、厚い胸板が激しく上下し始める。ハァハァと息を荒くしながら、みるみるうちに瞳が赤く潤んだ。白いバスローブは下腹部あたりが膨らみ、緊張で力の入った脚はガクガクと小刻みに揺れている。
「もう…我慢できないんだろ…?」
追い打ちをかけるように、耳元で低く囁く。
ライラは俺の胸に額を当てながら、ギュッと服の袖を握りしめていた。
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