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3 (ライラside) 宿に着くと、仕事終わりのルーティンのようにまずはシャワーを浴びた。浴室から出ると石鹸の香りに包まれながら脱衣所に向かい、濡れた髪をタオルでゴシゴシと拭いていく。 そのとき、ふと、鏡に映る自分と目が合う…。 首の根元や胸板に残っていたはずのあのキスマークが殆ど消えかけていることに気づいた。 「ベルブ…」 アイツの残した痕が薄くなっているのを見つめながら、その場所を指でそっと触れる。 早く会いたい…。 いつ戻ってくるのだろうか。 ここ数日はそればかりを憂いていた。 1週間が過ぎて、そろそろ2週間だ…。いつ戻るか分からないと言ってたが、遅すぎるだろう…。 「はぁ。」と、深いため息を付きながら、脱衣場から出ると即座に寝具の方へ向かう。 疲れた体をベッドに投げ出しながら、思い浮かべるのはもちろんベルブのことだ。恋しさや寂しさが複雑に込み上げて、ベルブを想いながら自分の体に触れた。 「ベルブ…っ…、早く……俺に触れてくれ…」 ベルブが魔界に行ってしまってからと言うものの、ベルブを想う度に熱くなる体を自分で慰め続けてきた。 ベルブの愛撫を思い出しながら、火照る体を鎮めようと必死になる。 でも、どうしても自分で触るだけじゃ足りなくて… 「はぁ…っ、クソ……っ…」 ペニスは勃ってんのに、扱いても溜まってるモンを出せなくて、結局、悶々としながら寝るしかなくなる。 恥ずかしながら自分でケツの方を弄ってもみた。気持ちいいけど、なにをやってるんだと冷静な自分が降りてきて…毎回こちらも途中で萎えてしまう。 「あぁ…ベルブのでっけぇので……ガンガン突いて欲しい…」 勃起しながら我慢汁だけが垂れていくペニスを扱きながら、体の奥が疼いてアナルに触れる。やっぱり指だけじゃ物足りないし、自分で触っても、もどかしさだけが残る。 体が疼いて…なのに気持ちよくなれなくて… 欲求不満だ…! あの瞳で見つめられたいし、キスもしたい、セックスも…。寂しさを埋め合わせてくれるほどに、早く激しく抱かれたい。 こんなの耐えられない…。 もしこのままアイツが居なくなったら、こんな体でどうやって過ごせと…? 精神的にも肉体的にも、奴無しでは生きられない体にされたとでも言うのか…? 「あの…っ、悪魔め……」 こんなことがあっていい訳ねぇ…。聖職者が、こんな形で悪魔に依存して…。 だけど気持ちを止められるはずも無かった。 電話で声だけでも聞くだとか、そういうのもできないし…。まさに、会えないほどに急速に想いが募るような感覚だった。 「はぁ……っ…ん…、ん"…っ…」 左胸の突起を弄りながら、後孔に指を深く挿れる。掻き乱すようにして指の動きが淫靡になっていく。 エクソシストが悪魔を想いながら、このような行為に及ぶなんて…。 恥ずかしい、屈辱的だ…。そう思うほど何故か興奮してくる…。体も心もベルブに囚われている。 今もし…ベルブがあのいつもの突然の登場で、俺の前に現れたら。 たぶんきっと恥ずかしさで爆発しそうになる。ベルブにこんな痴態を目撃され、辱められたら…俺はアイツに必死でキスを求め、疼いたこの穴をアイツに向けて懇願するだろう。 「あぁ…ベルブ…っ、…早く……っ…もう、耐えられねぇ…っ」 潤んだ視界の中で、恋しさと不安が膨らむ。本当に…ベルブは俺の所へ戻ってくるんだろうか。こんな…悪魔の敵である、俺の所へ…。 「うぅ…っ…」 情けない呻き声が漏れる。鼻の奥がツンと熱くなって涙が落ちそうになるから、枕に顔を埋めた。 感情が昂って、グズッ、と鼻を鳴らしながら体を丸く縮める。 そのとき――…。 "コンコン…" 宿の窓ガラスが音を立てた。まるで、ノックをするような音だ。 「な、なんだ…?」 シーツを裸体に手繰り寄せながら、窓の方を警戒して見つめる。 "コンコン…" 再びその音が鳴った。やはり、確かにこの部屋の窓が、外から何者かによって叩かれている。 ここは2階だぞ…。人間の仕業じゃないのは確かだ。悪魔…? まさか…。ベルブか…? 慌てて泣き顔を拭う。シーツを体に寄せるように掴みながら、ベッドから降りた。 音がした窓ガラスの方へ近づき、慎重に外を覗く…。 「誰もいねぇ…」 夜空と静かな街並みがガラス越しに見えるだけで、悪魔の影も見えない…。でも確かに、ノックされたはず。 ベルブめ、驚かせようとでもしてるのか…? 外を確認するように窓ガラスを開けたその時――…。

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