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第七章『やっぱり『触れ合いたい』の『好き』でした』ー7
自分のベッドにリュックを載せるとそのままベッドに腰をかける。カーテンが開いたままの夜景の見える窓に顔を向け、ほうと小さく息を吐いた。
なんだかもう胸がいっぱいだった。
「温くん」
突然声をかけられ「ひゃい」っと変な返事をしてしまった。恥ずかしげに陸郎のほうに顔を向けると、またくすっと笑われた。
「腹減らない? 下にコンビニあったね、何か買いに行く?」
そういえばドリーミング・パークでは時々軽く食べていたが、がっつり夕食はまだだったし飲み物も何か欲しい。
「ですね、行きましょうか」
エレベーターで一階まで降りフロント前を通ると、ぞくぞくと宿泊客が入って来る。皆ドリーミング・パークを楽しんで来たのだろう。それを何とはなしに眺める。
家族連れ。友だち同士のグループ。恋人同士。
パークにいる時も思ったが、やはり男同士二人連れというのは余りいないものだ。
僕らはいったい何に見える?
恋人同士ーーのはずはない。兄弟か友だちだろう。
(まぁ……仕方ないよね。それに……恋人同士に見えたら、それはそれで……ね)
同性同士のカップルはまだまだ万人には理解されない世の中だ。
(それでもね……僕は陸郎さんの本当の恋人になりたいよ)
きゅっと切なく胸が締めつけられた。
部屋に戻りそれぞれ買ってきたもので夕食を取る。それから入浴タイム。先に僕が入り、その後陸郎が入る。
一緒に泊まることの本当の破壊力を感じたのはその後だった。
外で食事をするくらいはこれまで何度かあった。でも風呂上がりの陸郎を見る日が来ようとは、これまで想像すらしなかったのだ。
タンクトップにクロップ丈のスウェット。髪をタオルで拭きながら部屋に戻って来る。シャワー後の熱気がまだあるのか、髪から滴る雫とともに汗が露出した肌を流れていく。
「どうした?」
固まったまま、まじっと見つめる僕に不思議そうに声をかけてくる。
(なんか……色っぽい。鼻血でそうですっ)
頭がくらっとする。ひっくり返りそうなところをなんとか踏ん張って。
「あ、ううん。知り合って長いですが、お風呂上がりの陸郎さん見るの初めてで、なんか新鮮ですね」
何でもありませんという顔でさらっと言った。
陸郎はコンビニで買ってローチェストの上に置いたままだった水を手に取って、自分のベッドに腰かけた。
蓋を開け、ごくごくと飲む。喉仏が動く様を見るだけでも何故か心臓が煩くなる。
「俺だって温くんの風呂上がり見るの初めてだ……確かに新鮮だな」
何処か意味ありげな視線に顔が熱くなってしまいそうだ。
(いやいや、意味なんか全然あるわけないよっ)
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