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第九章『『恋人ごっこ』やめました!』ー2

「ふぅん、ずいぶん楽しそうだな。良かったじゃん」  最初はかなり興味津々だった洸が今はなんだ面白くなさそうな顔をしている。 (男同士のこんな話聞いても面白くはないだろうけど、なんだかそれも違うような) 「――で、最後に告白でもしたの?」  どきっとした。  別にそこまで話すつもりはなかったのだけど。 「実は……しました」 「えっ、ブッ」  自分で訊いたくせにめちゃくちゃ驚いている。ちょうどコーヒーを一口飲んでいたところで、ブッと吐きだしそうになったのをどうにか留めた。  それを横目で見ながら。 「僕、ドリーミング・パークに行ってから、陸郎さんのことやっぱり好きだなって再確認したんです。だから、告白しようと決めました。本当はずっと好きでした、本物の恋人になりたいんですって」 「陸郎さんって呼んでるんだ」  ぼそっと呟きが聞こえてくる。 「ってか、本物の恋人って?」  そう訊かれて、うっかり余計なことを口走ってしまったことに気づく。 (あ、そうだった。兄の代わりだの、『恋人ごっこ』だのってことは三瀬さんには言ってなかったんだった!) 「えっと、だから。僕は彼のことが好きだから、一緒にいる時も恋人だったらなぁっていつも考えてて、そうじゃなくて本物の恋人になりたいなぁって」  なんとかごまかせたろうか。まったくの嘘でもないし。 「そうか……それで告白したんだ」 「ドリーミング・パークの後も告白しようと何度か会ったんですが、結局いつも言いだせなくて。花火大会、始終良い雰囲気だったんですよね……だから、今度こそって思って、花火が終わって陸郎さんが立ち上がろうとした瞬間に引き止めて……」 「――それでどうなったわけ?」 「どうって……聞きます、それ?」  ここまで聞かされては聞きたくなるのも当然であるが。 「一言……ごめんって」 「え……なんだ、それ」  僕がその時呆然としたように、洸も呆然としていた。 「僕も……何がごめん、なのか……そういうつもりはなかったとか……」 『恋人ごっこ』のままでいいとか。これは洸には言えない。 「もう会わない……とかもなく。その後は無言のまま二人で帰りました」  話しているうちにその時の切ない気持ちがぶり返してきてちょっと涙ぐんでしまう。 「泣くなよ……」 「泣いてません」 「……やっぱ、ひどいよな。花火大会に二人で行く――のはまだいいとしても、手を繋いだりとか、期待させておいて」  洸はかなり憤慨しているようだった。『お泊り』のことは話さなくて正解だった。あの時のことを話していたらもっと怒るだろう。

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