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第十一章『はっぴーめりーくりすます♡』ー1

 寂しいことに十二月のデートはクリスマス・イブまでお預けだった。  陸郎の卒論が大詰めだった。確実に楽しいクリスマスを過ごすには今は我慢の時。その代わり、教授に指導してもらうために大学に来る日が増え、そんな時には昼食を共にしたり一緒に帰ったりもする。 * * 「おい、温。お前クリスマスいないんだって!」  クリスマスまで三週間切った土曜日の静かな朝。朝食を食べ、暖房の入った暖かなリビングでしばらくのんびりとしていた。大型のテレビには特に見たいわけでもないが、朝の情報番組が映しだされていた。  そんな中、ドタバタと優雅がリビングに入ってくる。 「おはよーお兄ちゃん」  朝から鬱陶しいなぁと思いつつ、一応挨拶をする。しかし優雅からは挨拶は返されない。 「昨日母さんから聞いた。しかも、外泊するって。誰と? どこ行くんだ?」 (年頃の娘を心配する父親かよ)  いや優雅がやや怒り加減なのはそこじゃない。  我が家は子どもの時から両親が忙しく普段あまり一緒にいることがなかった。その代わりイベントごとの時はかなり張り切る。家族の誕生日やクリスマス、正月などがそれだ。  最近まで全員参加をしていた。  大学に入ってから家を空けることが多くなった優雅さえ、そういう時はちゃんと参加する。なんなら一番張り切っている。彼女がいる時にも、イブは家族で当日は彼女というふうに、家族優先にしていた。  それがこの間の僕の誕生日だけじゃなく、クリスマスもいないとわかって大騒ぎしているのだろう。 「大学の友だちのうちでクリスマス・パーティーやって、そのまま泊めて貰うことになってるんだ」  優雅の顔は見ず、テレビの画面を見ながら答えた。 「ほんとに友だちなのか?」  ドキッ。  思わず振り向いてしまいそうになるが、動揺は見せたくない。 「お前ひょっとして……」 『陸とつき合ってるんじゃないのか』とでも言われるんじゃないかと思ったけど、そんなことはなかった。 「この間の誕生日の時といい、彼女でもできたのか?」  今度こそ優雅に顔を向けて、嘘くさい笑みを浮かべた。 「違うよ〜本当に友だちだって。誕生日の時はバイト先の先輩! 男だって」 『男とつき合う』概念のない優雅には『男だ』って言っておけば、安心するだろう。実際には『僕のことを好きな男』の先輩だったんだけど。しかも陸郎の登場で当初の予定通りにもいかなかったんだけど。 「そうなのか?」 「そうだよ。お兄ちゃんこそ最近新しい彼女できたんじゃないの〜?」  それ以上突っ込まれたくないので優雅のほうに話題を振った。 「あーうん。まあ」 (あれ? 本当に新しい彼女できたのかな?)  別に確信があって言ったわけじゃない。でもその割にはぱっとしない表情だけど。

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