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第十一章『はっぴーめりーくりすます♡』ー4

 薄暗い中をずっと手を繋ぎながら歩く。 (しかも、恋人繋ぎ……)  ずっとどきどきしっぱなしで、前に来た時の『やり直し』にはじゅうぶん過ぎる。  全部見て回ってもまだ時間があって、僕らは海に架かる橋を歩き島へと渡った。島の展望台へは階段もあるが、陸郎の足のことを考えて有料のエスカレーターを使用した。  この付近にもやはり恋人同士はいるが、寒すぎるのか水族館ほどではない。  僕はずっと「寒いね」と言いながら、でも楽しくて仕方がない。そんな僕を陸郎は時々微笑みながら見ている。  冬の日暮れは早い。  夕陽が綺麗に海を染め上げる頃、 「そろそろ行こうか」  と陸郎が言った。  名残り惜しいが僕らは島を離れた。 「また来ようか。今度は寒くない時に」 「うん」  僕は満面の笑顔で頷いた。  イタリアンレストラン『セレニタ』の最寄り駅付近の駐車場に車を停めて、イルミネーションされている並木道を歩く。  前に来た時は人通りはあまりなかったが、さすがクリスマス、その時よりも人がいる。幸せそうな恋人同士ばかり。手を繋いだり、腕を組んだりしながらイルミネーションを眺めている。  この通りにはセレニタだけでなく、個人のお洒落な店が点々としていて、どこかしらの店でディナーをするのかもしれない。 (さすがにここで手を繋ぐのはムリかなぁ〜)  それでも隣に並んで歩いてこのイルミネーションを見ているだけで幸せな気分になってくる。 「素敵ですね。この間の時よりもぐっとクリスマス感ある」  イルミネーションはクリスマス仕様になっていて、暖色一色だったのが赤緑ピンク青など色とりどりに瞬いている。木自体にもオーナメントが施されてた。  セレニタの前にも大きなツリーが飾られているし、中に入ればどこもかしこもクリスマス仕様だ。やはりここも恋人同士らしい客が多い。 「いらっしゃいませ」  出迎えたのは以前来た時に出迎えてくれた女性スタッフ。 「予約していた松村です」 「お待ちしておりました」  彼女は隣に立つ僕を見て微笑んだ。席に案内され、去り際小さな声で「良かったですね」と言われた。やっぱり覚えていてくれたのだと温かい気持ちになった。  向かい合って座ってから、 「良かったって?」  不思議そうに言う。 「なんでもない」  軽く笑いながらそう答えた。 「乾杯」  二人同時に言ってグラスをカシャと合わせる。といってもソフトドリンクだ。僕はまだ飲めないし、陸郎も車で来ているので仕方がない。 「飲めなくて残念ですね」 「そうだなぁ……きみが飲めるようになったら、電車で来よう」 「ですね」  今夜のコースはクリスマスの特別ディナーコース。僕が頼んだものよりも豪華だ。 (陸郎さん、奮発してくれたんだ)  二人で食べる食事は楽しくてより一層美味しく感じ、あの時の悲しみを塗り替えてくれた。  

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