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第十一章『はっぴーめりーくりすます♡』ー5
* *
楽しい食事を終え、女性スタッフに温かい見送りをされ、セレニタを後にした。
いつもなら地元の駅から自宅への道を二人で歩き、どこかの公園で短い時間を過ごしてから別れる。
でも、今日はそうではない。まだ先があるのだ。僕にしてみればこれからが本番。一番楽しみに、そして想像してはどきどきしていたことだ。
車は海岸線を下っていく。僕らの住んでいる近辺も通り抜ける。
海岸線をずっと星のように灯りが瞬いている。
そんな夜の景色を見ながら話をしていたけど、ちょっと気持ちよくなってきてしまい、ふぁっとあくびが漏れた。
進行方向を見ながらくすっと陸郎が笑った。
「眠かったら寝てていいよ」
「え、そんな」
楽しい時間がもったいない。一分一秒でも彼と時間を共有したい。
気持ちだけは張り切っていたけれど。
「温……温……」
誰が優しく肩を揺らしながら僕の名を呼んでいる。
薄っすら目を開けると、ぼんやりと陸郎の顔。
運転中に危ないよ、と思ったけど車は停止していた。
「…………!」
はっと、ぱっちりと目を開ける。
「あれ? 僕寝てた?」
「ああ。三十分ほど?」
自分ではちょっと目を閉じていただけという感覚なのに、時間はだいぶ過ぎていた。
「ごめん。運転してくれてる人の横で」
しょんぼりとすると、頭を撫でられた。
「いいよ、いいよ。まだ夜は長いから」
どきん。
(どういう意味だろう)
意味深なその言葉にどぎまぎする。
「中……入ろうか」
やっと窓の外を見ると、そこはホテルの駐車場だった。
陸郎が僕のシートベルトの金具を外す。外に出て、ということだと理解し僕は助手席のドアを開けて外に降り立った。
「わぁ……」
感嘆の声を上げている僕の横に二人分の荷物を持った陸郎が立っていた。
「素敵ですね」
夏に泊まったホテルよりもこぢんまりとしているが、南国風の白い綺麗な建物。前庭には椰子の木やソテツが植わっていて、イルミネーションされている。
(なんか、今日は素敵ですね、しか言ってないような気がする。僕、ホント語彙力ないなぁ)
ちょっと落ち込む。
今は周りに誰もいない。
僕は陸郎に軽く肩を抱かれ促されながら、石畳のアプローチを歩いた。
「わ、綺麗」
先にシャワーを使わせてもらった僕は陸郎が入っている間、窓の外を眺めていた。五階建ての最上階。眺めも良い。海岸線に瞬く灯りが見える。
何かで気を紛らわせていないと心臓が煩くてしょうがない。
シャワーの前にも陸郎に「一緒に入る?」と言われ、壊れそうなほど心臓が跳ね上がった。しかしそれは丁重にお断りさせてもらった。
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