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第十一章『はっぴーめりーくりすます♡』ー6
(それにしても……陸郎さんがあんなこと言うなんて)
普段から言いそうな人が言うよりもエロく感じる。思い出しただけでも顔が熱くなってきて、気を紛らわせようと思ったのに逆効果。
「はぁ〜」と熱い息まで漏れてくる。
いろいろな妄想を振り払うように、頬に手を当てぶんっぶんっと顔を左右に振る。
「何やってるの」
背後から陸郎の声。振り向く前にすぐ後ろまでやってきて、僕を囲うようにして窓に手をついた。
今考えていたことを言えるはずもなく、
「あ、うん。窓の外を見てた。海岸線に沿って灯りがともっていて綺麗だなぁ〜って」
と言って誤魔化した。でもまるっきり嘘でもない。
「ほんとだ」
目の前の窓に陸郎の姿が映り込んでいる。上半身は夏の時と同じでタンクトップだけ。僕の背中にぴたりと寄り添う固い胸の感触がする。陸上は辞めても鍛えているのかほどよく筋肉がついているようだ。
(うわぁ〜なんで冬なのにそのかっこう!? 確かに部屋の中あったかいけど!)
「こんなに夜景の素敵な部屋を取ってくれてありがとう」
どきどきと心臓が騒がしいのを悟られないようにしようと思ったのに、声が心なしかうわずってしまった気がする。
(これから脱ぐから? そういうことなの?)
陸郎はもしかしたらそこまでするつもりはないかもしれない。でも妄想が止まらず、頬が熱くなる。ガラスに映る自分の顔を見ても赤くなっているかのは分からないけど。
(陸郎さんに気づかれませんように)
「俺……ほんと、こういうの初めてだから。喜んでもらえてほっとした」
(こういうのは初めてっ。エッチはしたことあるけどっ。こういう恋人同士っぽい計画を立てるのは初めてっ!)
自分では気にしてないと思ったけど、実はけっこう気にしていたのかも。おかげで少し冷静になった。
背中に感じていた熱が離れ、ベッドのほうに歩いていく陸郎の姿が窓ガラスに映った。僕もその背中を追いかける。
「陸郎、そんなかっこうしてると風邪引くよ」
軽口を言ったが内心はこう言いたい。
(目の毒なのでやめてくださーい)
陸郎はベッドの上に腰を下ろした。部屋に来る前に売店で買った水をごくごくと飲んでから、
「部屋の中温かいから大丈夫だよ」
と言った。
(僕の心臓が大丈夫じゃありませーん)
僕ももう一台の、窓に近いほうのベッドに腰かけた。
ツインの部屋でベッドは二台。
(でも二人でも寝られそうだなぁ……)
夏のお泊りの時のことを思い出す。あの時悪戯で陸郎の横に潜り込んだ。でもこうなってみると、逆に一緒に寝るという選択肢は気恥ずかしい。
そもそも陸郎はどう考えているのか。
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