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第十一章『はっぴーめりーくりすます♡』ー7
お互い向かい合って座っている。水を飲む陸郎の顔を見てもどう考えているのか分かるはずもない。
「お酒買わなくてもよかったの? もう今日は車運転しないんだから」
夏の時も同じ質問をした。
その時の答えは……。
「一人で飲んでもつまらないだろ。温が飲めるようになったら一緒に飲もう」
そう、同じ答えだ。でもあの時は社交辞令で、そんな日は来ないと思っていた。
そして今日はセレニタでも同じ言葉を聞いた。
僕がアルコールを飲めるようになるのは一年くらい先。今ならそれも夢ではないと思える。陸郎も本気でそう思ってくれているのだと感じられる。
ちょっと涙が出そうになって俯いた。
「そうだね。めっちゃ楽しみ」
明るい声で言ったけど、少しだけ震えていた。
「温」
名前を呼ばれて顔を上げると、ぽんぽんと陸郎が自分の膝を叩いていた。
「こっちおいで。今日も一緒に寝よう」
(嬉しい! 陸郎もそう思ってくれてたんだ!)
立ち上がってからふと考える。
(膝ぽんぽん……いや、違うよね。隣にってことだよね?)
首を傾げながら二歩でベッドに辿り着き、彼の隣に座った。
「一緒に寝てもいいの?」
陸郎の顔を仰ぎ見て満面の笑みを浮かべた。返事はなく、彼は大げさに片眉を跳ね上げる。
(え? なに? なんか間違えた?)
「違う――ここだ」
ぽんぽんともう一度自分の膝を叩いた。
「え……」
(やっぱり、そこっ!?)
さっき一瞬考えたことは間違いではなかったと分かると共に身体が固まった。
「えー……でも……」
「いや?」
もちろん嫌ではない。でも恥ずかしすぎる。もっと恥ずかしいことも経験済みなのに。それとはまた違うむず痒いような恥ずかしさ。
それに、可愛い女子ならともかくそれなりに大きい男が膝の上に乗るという絵面が思い浮かべても、これはないんじゃないかなぁとも思う。
頬を赤らめてもじもじしていると、ぐいっと腕を回されて引っ張り上げられた。
「陸郎っ」
思わず腕をバタつかせたら、羽交い締めにされた。
「そういうところも可愛いけど」
頭の後ろで声がする。そして、首筋に顔を埋めるような気配。ちゅっと小さな音を立てて項に口づけされた。
「ん……っ」
続けて二度、三度。
力が抜けていく。
「今日……最後までしていい?」
甘く掠れるような声で囁かれた。
その言葉にかーっと身体が熱くなる。今までのシチュエーションだけで、実はもう少しだけ兆しをみせていた。今の言葉でそれはかなり増した。
言葉にできず、こくこくっと頷いて答える。後ろから抱きしめられながら、もうすでにルームウェアの中で大きな両掌が蠢いていた。
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