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第十二章『僕は……ほんとにほんとに幸せでした……っ!(大号泣)』ー3

『家族でかけました〜』 『いつでも来てください』  最後にハートマーク……をつけたいけど、それはちょっと気持ち悪いかなと思ってやめた。軽い自分を演じていた時ならいざ知らず。いや、あの時もしてなかったけど。 『わかった』 『連絡ありがとう』  陸郎からはすぐに返信がきた。  僕はかなりわくわくしていた。  今日から三日間、バイトの休みを取るために五連勤していた。疲れていてもおかしくはないが、若さとこれからの楽しい時間を考えると、疲れもふっとぶ。 (僕の部屋は昨日掃除したし〜リビングもちょっと掃除機かけようかな)  ダイニングとリビングに掃除機をかけながら、いろいろと思い巡らす。 (夜と朝は、お母さんが作っていってくれたおせちを食べるとして、お昼は……)  僕は家庭科でしか料理をした経験がなかった。 (レンチンでいいかな。ああっこんな時に料理上手だったら! 「温、すごいね。美味しいよ」とか陸郎言ってくれたりしてっ。「これからも作って」ちゅっとかしてくれたり〜)  妄想が止まらない。 (よし! 次の時のために料理の練習するぞっ!と)  僕は小さくガッツポーズをした。  掃除機をかけ終えると、リビングのソファーでひと休み。テーブルにはホットココアを置いた。 (トイレとお風呂の掃除は昨日お母さんがやってくれたから、よし!)  お風呂――というところで、クリスマスの時に陸郎が軽く言った言葉を思い返した。 『一緒に入る?』 「ひょっとして、今日、一緒に入るかも?」  きゃーと一人奇声を発して、ソファーに置いてあったクッションをぎゅっと抱きしめる。  一緒に入って、ちょっとそういう気分になっちゃって――お風呂でエッチ。BL漫画で何度か見かけたシチュエーションが頭に浮かぶ。 (もし、そんなことになったりしたら、お風呂に入るたびに思い出しちゃう)  それに。 「もしかしたら、今日二度目の……」  またしても、妄想が止まらない。  でもただの妄想ではない。本当の恋人同士になった僕らの間ではけしてありえない、というわけではないのだ。  例え今日二度目がなかったとしても、その先にはあると信じられる。  優雅と陸郎がつき合っていると思って勝手に失恋していた頃。優雅の代わりでもいいからと『恋人ごっこ』をしていた頃。  あの頃よりも数倍、数十倍も幸せだ。  僕は一口ココアを飲んだ。  甘い甘い幸せの味がした。  陸郎は昼前に大荷物を抱えてやってきた。  玄関で出迎えると開口一番、 「ごめん、遅くなって」  と謝った。 「ううん――でも、めっちゃ大荷物だね」 「母親にいろいろ持たされた」  渋い顔になっていた。  

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