97 / 117
第十二章『僕は……ほんとにほんとに幸せでした……っ!(大号泣)』ー3
『家族でかけました〜』
『いつでも来てください』
最後にハートマーク……をつけたいけど、それはちょっと気持ち悪いかなと思ってやめた。軽い自分を演じていた時ならいざ知らず。いや、あの時もしてなかったけど。
『わかった』
『連絡ありがとう』
陸郎からはすぐに返信がきた。
僕はかなりわくわくしていた。
今日から三日間、バイトの休みを取るために五連勤していた。疲れていてもおかしくはないが、若さとこれからの楽しい時間を考えると、疲れもふっとぶ。
(僕の部屋は昨日掃除したし〜リビングもちょっと掃除機かけようかな)
ダイニングとリビングに掃除機をかけながら、いろいろと思い巡らす。
(夜と朝は、お母さんが作っていってくれたおせちを食べるとして、お昼は……)
僕は家庭科でしか料理をした経験がなかった。
(レンチンでいいかな。ああっこんな時に料理上手だったら! 「温、すごいね。美味しいよ」とか陸郎言ってくれたりしてっ。「これからも作って」ちゅっとかしてくれたり〜)
妄想が止まらない。
(よし! 次の時のために料理の練習するぞっ!と)
僕は小さくガッツポーズをした。
掃除機をかけ終えると、リビングのソファーでひと休み。テーブルにはホットココアを置いた。
(トイレとお風呂の掃除は昨日お母さんがやってくれたから、よし!)
お風呂――というところで、クリスマスの時に陸郎が軽く言った言葉を思い返した。
『一緒に入る?』
「ひょっとして、今日、一緒に入るかも?」
きゃーと一人奇声を発して、ソファーに置いてあったクッションをぎゅっと抱きしめる。
一緒に入って、ちょっとそういう気分になっちゃって――お風呂でエッチ。BL漫画で何度か見かけたシチュエーションが頭に浮かぶ。
(もし、そんなことになったりしたら、お風呂に入るたびに思い出しちゃう)
それに。
「もしかしたら、今日二度目の……」
またしても、妄想が止まらない。
でもただの妄想ではない。本当の恋人同士になった僕らの間ではけしてありえない、というわけではないのだ。
例え今日二度目がなかったとしても、その先にはあると信じられる。
優雅と陸郎がつき合っていると思って勝手に失恋していた頃。優雅の代わりでもいいからと『恋人ごっこ』をしていた頃。
あの頃よりも数倍、数十倍も幸せだ。
僕は一口ココアを飲んだ。
甘い甘い幸せの味がした。
陸郎は昼前に大荷物を抱えてやってきた。
玄関で出迎えると開口一番、
「ごめん、遅くなって」
と謝った。
「ううん――でも、めっちゃ大荷物だね」
「母親にいろいろ持たされた」
渋い顔になっていた。
ともだちにシェアしよう!

