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第十二章『僕は……ほんとにほんとに幸せでした……っ!(大号泣)』ー7

   一日何をしたってこともなく時間が流れる。  他愛もない話をしながら、ふいに触れ合いが始まって、キスをする。  そんなふうにして、二人きりで過ごす穏やかな時間がひどく愛おしい。  実はゲームなんかもすることが分かったり、まだ知らなかった陸郎を知ることができるのも楽しい。  こうやって、ずっとずっと二人の時間を積み重ねていけたらいいなぁと思えた。  夕食はリビングで大画面のテレビに適当な大晦日番組を流しながら食べると、大晦日感がぐっと増した。  陸郎と年越しができることにわくわくする。これで日本酒でもきゅうっと飲めれば、さらに気分も上がるだろうが。それはまた来年ということに。  そう、きっと。  来年はある。  夕食を終えると入浴タイム。  過去二回は僕が先に入ったけど、今日は陸郎がお客様なので彼に先に入ってもらう。  脱衣所にいる彼にバスタオルなどを手渡しにいく。もうすでに上半身は裸になっていた。  何度見てもどきどきしてしまう。 「これどうぞ使ってください」 「ありがとう」  礼を言うと、なぜかバスタオルごと僕を抱きしめる。  頭上にちゅっとキスが落ちてくる。 「本当は一緒に入りたいけど」  この間は半分僕をからかっているのかと思ったけど、そう何度も言われると本当にそう思ってくれてるんだと伝わってくる。  僕も一緒に入りたいけど。 「なんてな」  黙っていたことが拒否と思われたのかもしれないと、慌てて本心を口にする。 「僕も本当は一緒に入りたい。でも」  なんて言ったらいいんだろう。自分の家では恥ずかしいというか。 「俺もさすがに昔から来ているこの家で一緒に入るのは、こっ恥ずかしいというか」  陸郎も同じことを思っていたらしい。  うんうん、と同意の意味を示すために大きく頷いた。 「それに……ただ入るだけじゃすまないと思うから」  他に誰がいるというわけでもないのに、その言葉だけは耳元で囁かれた。  その言葉の意味を理解して、僕の頰は熱くなる。 「だから、うちでもちょっと無理だろうな。家族が一緒に使っているところだと思うと、やっぱな」 「で、ですよね」  陸郎の家のお風呂なんて自分の家以上に無理だと、想像しただけでもひっくり返りそうだ。 「でも、そうだな。次旅行に行く時には……。いや、俺が就職して、一人暮らしを始めたら。その時は……」 「陸郎一人暮らしするつもりなの?」 「そう考えてる。そしたら、いつでも、温を呼べる」  ぎゅっと、僕を抱きしめる腕に力が込もる。僕も陸郎の裸の胸に顔を押しつけた。  陸郎の将来のビジョンにはちゃんと自分がいるのだと、めちゃめちゃ嬉しくなる。  心の奥から幸せが滲み出てくるようだ。

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