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第十二章『僕は……ほんとにほんとに幸せでした……っ!(大号泣)』ー8

* *  今年もあと二時間。  陸郎が来た時に玄関の施錠はしたものの、もう一度一階のすべての施錠を確認した。  二階の自室の雨戸も閉めて、遮光カーテンも閉めた。昼からずっと二人きりだったけど、こうすると本当に二人だけの世界のように思えた。  コーヒーとココア、水や緑茶のペットボトル、ちょっと摘めるような菓子の小袋などをテーブルの上に用意した。  二人寄り添って座っている。パソコンで流している動画は、見ているようで見ていない。 「もうすぐ今年も終わりだね」  会話もぽつんぽつんとしかないのに、少しも気まずくない。ただそこにいるだけで幸せな時間だ。 「そうだな。今年はいろいろあったな……」 「ほんとにいろいろあった……」  陸郎と再会して、恋人ごっこを始めて、告白して振られて、そして、本当の恋人になった。泣いて、笑って忙しい年になった。  ここ数年で、いや、もしかして初めてかもしれない。身体的にも、気持ち的にも、こんなにも動きのあった年は。 「温に再会できてよかった……」 「僕も……」  肩を抱かれてキスをされる。  昼間にも軽い触れ合いが何度かあった。でもその時とはまた違う濃密な空気が漂っている。  やはり、お互いこの時を今日一日待ち望んでいたに違いない。入浴の時も、もしかしたら、と念入りに身体を洗ってしまった。僕だけがそう思っていたわけじゃないことを、今感じる。  ちゅっちゅっと啄むような口づけから、激しい口づけに変わり、スウェットのルームウェアの上から胸を撫でられる。 「ん……っ」  それだけで僕の身体は期待したように熱くなっていく。  しばらく僕の唇を堪能してから、 「温のベッド借りていい?」  耳朶を甘噛みするように囁いた。  僕は陸郎の言った言葉の意味を正しく理解した。もちろん答えは決まっている。頭を抱き込まれながら、こくんと頷く。  今まで胸を撫でていた手がそこから離れ、スッと膝裏に差し込まれる。 「えっ?」  と思った瞬間抱き上げられた。 「ちょっ陸郎っ」  驚いて手足をバタつかせる。 「暴れないで落ちちゃうよ」  笑いまじりに言われ、僕はぎゅーっと彼に抱きついた。 (これは噂のお姫様抱っこ〜〜っっ)  よもや自分がお姫様抱っこをされる日がくるとは思わなかった。陸郎は思ったよりもずっと力強くて、どきどきしてしまう。  たった数歩ではあるがしっかりとした足取りでベッドに近づいた。  僕をそっとベッドの上に下ろし、自分もベッドに上がった。僕の身体の上に自分の身体を重ね、頭は肩口に乗せる。  はぁ……という溜息が幸せを噛みしめているような色を帯びていた。 「温……好きだ」 「僕も好き。りくろ……」  胸がいっぱいになり、うっすら目尻に涙が滲んだ。  

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