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第十二章『僕は……ほんとにほんとに幸せでした……っ!(大号泣)』ー13
「え、そう?」
照れたように笑った。でもすぐに「いやいやそうじゃない」というように、軽く頭を左右に振って少し真顔になる。
「ドリンクバーだから、何か飲み物とってくる? 腹減ってるなら何か頼んでもいいし」
「お腹は……空いてないかな。じゃあ飲み物取ってきます」
二時過ぎに三十分の昼休憩があり、そこで賄いをもらった。お腹はそれほど空いてないけど、喉はカラカラだった。
「えーっと、歌いますか?」
アイスココアにソフトクリームを載せて、ココアフロートを作ってみた。それを一口飲む。その間ずっと洸は物言いたげにしていたけど、なかなか言いださない。気まずくなってそう提案した。
僕自身はあまり歌わない。高校の写真部有志で行った時もほとんど歌わなかった。
「温くん歌うの? いいよ、歌って」
「いえ、僕は。洸くんどうぞ」
「あー……うん……」
カラオケに誘っておきながら、歌う気はなさそうだ。目的はそれじゃないということは薄々分かっていたけれど。
「いや、歌はまたあとで。温くんに話があって誘った」
やっと言う気になったらしい。洸にしては慎重だと思った。
「なんでカラオケボックス? 話なら他でも」
「あまり人に聞かれたくない内容だから――ずばり訊くけど! あの人と何かあった?」
(急に思い切ったなぁ)
僕は苦笑いを浮かべた。
今まで誰にもしたことのない話。相談する当てのない話。
この話ができるのは洸しかいないだろう。そうはいっても自分からは話すつもりはなかった。でも、彼のほうからこうして話を聞こうとしてくれるのなら話してみよう。
「実は……」
僕は大晦日の出来事をかい摘んで話した。
家族の年中行事である旅行には行かず陸郎と過ごしたこと。家族には行かない理由として『友だち』が家に遊びに来るからと言ったこと。家族と行ったはずの優雅が戻ってきて僕の自室に飛びこんできたこと。
そのあとの騒動と例の僕の推測も。
ベッドで陸郎と抱き合っていたことは当然端折った。
初めはただ真顔で聞いていた洸の顔に次第に怒りが滲んでくる。
すべてを話し終えると、
「なんだそれ、酷いな」
そう吐き捨てるように言った。
「それで?」
僕の話はそこで終わり……のつもりだった。
「え?」
「その後はどうなったの?」
洸はその先を聞いてくる。
「アイツから連絡は?」
また『あの人』から『アイツ』に変化した。洸の陸郎に対する怒り度がわかる。
「あの日から……いっさい連絡はありません」
あの晩二人は帰っては来なかった。
あの晩だけじゃなく、僕と陸郎が過ごすはずだった一月二日まで、陸郎だけじゃなく優雅も家に戻ってきた気配がなかった。
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