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第3話
「ご馳走様でした」」
4人揃って丁寧に手を合わせて食卓を締める
今までで1番活気があって、和やかな食事で、奏斗だけでなく、晶や宮本もいつも以上に満足していた
やはり美風には、周りを絆す何かがあるのだろう
彼がいるだけで、それだけでこの場の雰囲気が明るくなる
晶はそんな彼が不思議でならなかった
「手伝うよ」
晶が後片付けをしていると、美風がキッチンを覗きにくる
客人を手伝わせるのはよくないと、断りはしたのだが、美風も何もしないのはよくないと言うことで、お言葉に甘えて手伝って貰うことにした
「よく食べますね」
「いやぁさすがに、食べ過ぎた。夜ご飯食べなくてもいいね」
「変な時間にお腹空きません?」
「え、わかるぅ。夜中にお腹空くんだよね」
晶は皿を洗って、それを美風が拭くといった作業の中で、そんな他愛無い話をした
確かに美風は人当たりがよく、奏斗が懐くのもよくわかる
どこか気さくな彼は人との距離を縮めるのが早い
だから晶も、知らず知らずのうちに、余計なことを聞いてしまったのだ
「…宮本さんとは、付き合わないんですか…?」
行った後に後悔した
今日初めて会って事情も何も知らない癖に、そんなこと聞くのはお門違いだろう
気分を悪くしたかもしれない
晶は恐る恐る彼の方を見やるが、意外にも美風はとくに気にしてなさそうに即答したのだ
「いや僕他に好きな人いるし」
さも当たり前かのように、美風はサラッとそんなことを言った
晶は勝手に何か特別な事情があるんじゃないかと身構えていたが、案外凡庸な理由で、拍子抜けた
「あ、そうなんですね」
「あとさー、普通にタイプじゃないんだよね。あの人と付き合ったら束縛で雁字搦めになる未来しか見えない」
「あー、ちょっと、わかります」
「でしょ?あと多分僕、年下が好き」
「…そう言えばミカさんっておいくつなんですか?パッと見、同い年くらいにしか思えないんですけど…」
美風の身長は奏斗より少し低いくらい
宮本と知り合いということは、晶よりも年上なのはわかるが、どこか無邪気さがある美風は、どうしても年下のように思えてならない
恐る恐ると言った様子で晶は美風に聞くと、美風はなんでもないように答えた
「僕今年で30だね」
「えっ」
「君は21?」
「…はい」
「いやぁ若いねぇ。羨ましい」
「いやいやいやいや…」
当たり前のように言い出す美風に、晶は混乱気味に否定する
たしかに年上なのは理解していたが、一回りほども違うとなると全く理解ができなかった
だってどう見たって年下にしか見えない
肌も綺麗で生き生きしている
童顔と言うレベルではないだろう
それかメイクをしていると言っていたが、プロ並に化粧が上手いのか?
考えれば考えるほど混乱してくる晶に、追い討ちをつくように、いつの間にか横から見ていた宮本が口を挟んできた
「美風は会った時からずっと変わんないからね。俺も不思議に思ってる」
「不老不死か何かですか?」
「なんか、もうちょっといい褒め方知らないの?そんな化け物みたいな言い方」
美風はムッとした表情で最後の一枚を拭き終わる
と、同時に、見計らったように奏斗がキッチンに顔を出すと、目の前にいた晶と宮本に目もくれず、奥にいる美風を呼んだ
「ミカ」
「ん?何?」
「あそぼ」
「いーよ。何するの?」
「ゲーム」
短いやり取りで、美風と奏斗はキッチンを後にする
残された2人は、微妙な顔を互いに向き合わせた後、はぁ、と大きなため息を同時に吐き出した
「あの2人すごく…仲がいいです」
「たった数時間でこんなに距離が縮まるなんて、さすがだな」
「本当に。嬉しいですね」
口振では喜んでいるのに、2人の顔はそれほど晴れていなかった
キッチンから見えるのは、初対面とは思えないほど近い距離感でじゃれ合う、奏斗と美風の姿
美風の影響か、いつもより活発になった奏斗の表情はどこか柔らかい
そんな姿を、晶は恨めしそうに見つめるのだ
「嫉妬してる?」
「…はい、そうみたいです」
「だろうね、顔に出てるよ」
「宮本さんも、出てますよ」
互いに指摘し合うと、2人はまた大きなため息を吐いた
「あんな兄さんの姿、俺にも見せたことないのに…」
「俺だって久しぶりなんだけど…奏斗くんに取られた気分」
晶は奏斗を、宮本は美風を独占したい気持ちがある故に、奏斗と美風の距離が近いのがなかなかきつい
2人の距離が近ければ近いほど、晶と宮本の入る隙がなくなってしまうのだ
「喜ぶべきなんでしょうけど…見れば見るほど、俺と一緒じゃないほうがいいんじゃないかって」
奏斗が楽しそうな姿は、普段の彼と比較しても違いは明らかだった
その差が晶に嫌な考えを浮かばせる
自分といるせいで素が出さないとか、本当は晶が身勝手に奏斗を縛り付けているんじゃないかと、不安が募るのだ
こういう葛藤は、奏斗と共に過ごす限りずっと続く
覚悟していたはずなのに、これを機に奏斗に拒絶されたらと思うと、やはり怖くて顔が強張ってしまう
はしゃぐ2人を目前に、どこか遠い目をしている晶に気づいた宮本は、何も言わずに肩をぽんと叩いた
そんな暗い顔をした2人に気付いたのか、リビングから美風がやってきて、不思議そうに聞いてきた
「何してんの?早く来てよ」
「え、俺たちも?」
「当たり前でしょ?人数は多い方が楽しいじゃん」
当然のように言われて、晶と宮本は唖然としたが、早くと促されては、行かないわけには行かなかった
美風に連れられリビングに戻る頃には、やる気満々の奏斗が、すでにTVゲームをセットして待機していた
奏斗は、晶と宮本に操作機を渡してくるが、2人の顔は少々困ったように強張ってしまった
「あー、俺はいいよ。こう言うの晶くんの方が得意でしょ?」
「いや、俺も、ゲームはあまりやらなくて…」
「やって」
「あ、うん…」
差し出されたゲーム機を受け取れずにいると、痺れを切らした奏斗は、少しイラついたように晶に押し付ける
奏斗に頼まれては断れない晶は、言われるがまま受け取るが、いかんせん操作も何もわからない
「兄さん、これ、どうすれば…?」
「…これ、ジャンプ。こっち、進む」
おずおずと奏斗に聞くが、ざっくりとしていてよくわからなかった
「トーナメント戦ね。まずは奏斗と晶くん。次に僕と響さん」
「結局俺もやんの?」
「もちろん。そして一位の人には〜なんと僕から景品を与えます」
美風は対戦メンバーを指定すると、パチパチと手を叩いて1人でに盛り上がる
美風の有り余るほどの元気さに、宮本と晶は顔を引き攣らせるがそんな2人にお構いなしに、話は進められて行く
そして美風は満足げに頷くと、パンッと手を叩いて楽しげに言った
「じゃあ早速始めよう。一戦目、すたーとぉ」
美風の掛け声と共に、TVゲームの画面が切り替わり、格闘ゲームのキャラクターが現れる
「え、もう始まってる?」
「…」
「あ、兄さんちょっとまっ、あ、あー…負けた」
ゴングが鳴ると同時に、奏斗がカチカチと操作機を叩くので、慌てて晶もキャラクターを操作するが、もちろんあんな雑な説明でわかるはずもなく、呆気なく晶が負けて、勝負は終わった
そしてすぐに二戦目が始まる
宮本は一戦目の間に操作を教わったのか、かなりいい動きをしていた
対して美風は操作を知っているにも関わらず、攻撃が全く当たらない
つまりヘタクソだったのだ
「え?弱くない?」
「いやこっから、こっからだから」
そんなことを言っているが、やはり宮本のゲージは一向に減らない
あと一撃で宮本の勝利、と言うところで、徐に奏斗が宮本の肩を叩いた
「宮本さん、負けて」
「えぇ?」
「負けて」
「あ、はい…」
奏斗に言われてしまっては、もちろん断れるはずもなく、宮本が操作機から手を離した隙に、美風が遠慮なく攻撃をしたことで、ある意味逆転勝つことができた
やったー。とわざと勝たせられたと言うのに純粋に喜ぶものだから、宮本も、よかったじゃん。などと言って美風の頭を撫でる
よく宮本は晶に、奏斗を甘やかしすぎないようにと注意してくるが、この感じだと、宮本は美風にさぞかし甘そうだ
晶は心の中でそんなことを思いはしたが、口には出さなかった
次に、晶と宮本の負けた同士で対戦することになったが、結果は晶が惨敗
結局、細かい操作は最後までわからなかった
そして、待ってましたと言わんばかりに準備運動をしていた美風と、奏斗の最終戦だ
奏斗が宮本をわざと負けさせたのはこのためだろう
どうしても一緒にゲームがしたかったのだと思うと、なかなか微笑ましいものだ
ついに、ゴングとともにゲームがスタートするが、やはり美風はヘタクソだった
「あ"ー!それ僕の!舐めプやめっ、うわあ"ー死んだ!?」
「勝った…」
おそらく、今までで最速で終わったゲームだったろう
結果はもちろん美風が惨敗
一度も奏斗にダメージを入れられず、一方的に攻撃されて美風のキャラクターは場外へと吹き飛ばされた
「おめでとう。君にはこの優勝商品を渡そう」
「何これ」
「可愛いネコの置物です」
ミカは負けたことを潔く認め、荷物をゴソゴソと漁ると何かを取り出した
それを奏斗に手渡す
なんだか見たことあるような形、見た目に、奏斗の表情は固まった
「…可愛くない」
「"かわいい"ネコの置き物です。これ飾っていつでも僕を思い出してね」
「いらない…あげる」
奏斗は貰ったネコをまるで押し付けるように、そばにいた宮本に手渡した
「え、何これブサイク。呪物?」
「なんか、独特なセンス、ですね…」
「なーんで君たちは揃いも揃って失礼なんかね」
傍で見ていた晶にも言われてしまい、美風はジトリとした目で3人を睨む
すると3人は徐に、不細工なネコと美風を交互に見る
ジトリと重くなった瞼、跳ねた髪、いろいろ重なるところがあった
「なんか、似てますね」
「はあ?そんなおブスと一緒にしないでくれる?」
「いやブスって言っちゃってんじゃん」
晶の言葉に反応した美風は、途端に怒り出すが、それに宮本がツッコんで、その場は笑いが溢れた
和やかな雰囲気の中では、あっという間に時間が過ぎる
しばらくゲームで遊んだ後、奏斗の変化に最初に気づいたのは晶だった
「兄さん?眠いの?」
「…ちがう」
宮本と美風がゲームに夢中になっている時、ソファで頭を揺らす奏斗に気づいた
否定はしているが、奏斗の目はしぱしぱと重そうに瞬いていた
いつもなら昼寝をしている時間で、今日は昼食も普段より多く食べた
毎日ゆったりとした時間を1人過ごす奏斗にとって、はしゃぐ美風に付いていくのは少しハードだったかもしれない
「無理しないで、寝てもいいんだよ?」
「何?奏斗眠いの?」
奏斗の様子に美風も気づくと、俯く奏斗の顔を覗き込む
どこか目線は遠く、瞬きも多い
本人はまだ起きていたいようだが、無理矢理起きてたところで何も楽しくないだろう
宮本と美風に断りを言って、奏斗を寝室まで抱き連れた
ベッドに降ろされた奏斗は不服そうながらも、シーツをかけられた途端に重い瞼を閉じた
「夕飯前に起こしにくるから」
「…ん………」
「おやすみ」
おでこに軽くキスをしようとしたが、みじろいで避けられてしまった
仕方ないので奏斗の頭を撫でるだけに留まり、その場を離れた
「寝ちゃった?」
「ええ、すみません、普段は寝てる時間で」
未だリビングに寛ぐ2人の傍に行くと、それまでゲーム機を握っていた美風だったが、先ほどと打って変わって、ゲームに関心を全く示さなくなった
そしてこちらを見やると、神妙な面持ちで、少し小声で晶に聞いてきた
「2人ってさぁ、どこまで進んでんの?」
「え」
「いやだからさ、セックスとかすんの?」
「ちょっ、美風!」
あまりに唐突すぎる質問に、晶が目を丸くし固まるが、先に宮本が驚きに彼の名を呼んだ
美風は慌てた様子の宮本に、眉を顰めながらも、晶の返事を待つ
その表情は、別に責めるような表情ではなく、単純に疑問に思っているのだろう
こういう訝しい話を、そんな純粋そうに聞かれても、どう答えればよいものか
晶は俯きがちにも、少し確信から離れた言い方で返す
「…あなたは、どう思いますか。俺たちが、そういうことしてるって聞いたら」
止めるべきだ。普通なら。
半分とは言え、血は繋がっている、同じ母親から生まれた同士だ
その間に愛など芽生えてはならない
ましてや男同士など、簡単に受け入れられる話ではないだろう
身近にいた宮本でさえ、あれほど反対していて、この間やっと認められたというのに、初めて会った彼が、受け入れられるわけがないのだ
もしこれで酷く罵倒されたとしても、晶は何一つ言い返せないだろう
そう覚悟して聞いた言葉を、美風は微妙な顔つきで答えた
まるで子供に対して適切な伝え方を探しているような、表情だった
「べつにぃ、君たちがいいなら、他人がどうこう言う必要はないんだけどさ…」
「…そう、ですか」
あっさり返せれて晶は目を見開く
ぽりぽりと頬を掻きながら言いづらそうに話す様を見て、なんでこの人の方が気まずそうなのだろうと、晶は首を傾げた
「でもさ、なんか、君が無理してるように見えて」
「…俺がですか?」
「そう、君。大丈夫?話くらいなら聞くけど」
まさかの自分にそんな言葉がかけられるなんて思わずに、晶は目を丸くする
彼には晶がどういう風に見えているのだろうか
無理をする?
晶が奏斗に無理をさせているのだ
大丈夫?
本当にそれは、晶に向けての言葉だろうか
事の真意がわからず何も答えられずにいると、痺れを切らしたのか宮本が美風に呟く
「晶くん、前は精神科行ってたけど、あんま意味なかったみたい」
「あー…専門の人がダメなら僕が話聞いたところで、か」
そう困ったように美風は首を傾げると、うーんと唸りながら腕を組んだ
晶はその様子を見て気まずそうに目を伏せる
宮本に言われ、精神科に通っていた時期は確かにあったが、晶はいまだにあれに意味があったかどうかわからない
宮本や、奏斗のためにも自分なりに努力してみたが、奏斗への独占欲は治ることはなかった
迷惑ばかりかけて申し訳ない
そんな気持ちはもちろんあるのだが、自分ではどうしようもなかった
それが不甲斐なくて、居た堪れなくて。
己の欲望を奏斗に無理に押し付けてはいけないと、理性は止めるが、時々どうしても我慢できない時があるのだ
きっと美風はそれに気付いたのだろう
美風の肩が、奏斗の肩に触れた時、
美風の手が、奏斗の手に触れた時、
奏斗の笑みが、目が、美風に向いた時、
その度に
強い力で拳を握りしめる、爪が食い込むくらい。
唇をこれでもかと噛む、血が滲むくらい。
酷く鋭く睨みつける、穴が空いてしまうくらい。
確かに、あれだけわかりやすい反応をしていれば嫌でも気づくだろう
それでいて、普通に話しかけてくるのだから、美風は困惑したことだろう
もちろん自分が嫉妬していることくらいわかっている
ただ最近は、奏斗はそんな晶を諦めていた事もあってか、その分大胆に嫉妬するのだ
だからと言って、美風との仲を邪魔する様なことはしないのだが
「嫌な気分になりましたよね、すみません…もちろんミカさんが嫌いなわけではないんです。ただ、俺の我慢が足りないだけで…」
「それは気にしてないけど…なんかなぁ、このタイプは初めてだから、なんとも言えないな」
そう言って苦笑いを浮かべる美風に、また申し訳なさが滲む
明確な不快感を与えているのだから気にするな、と言っても無理があるだろう
「俺、兄さんに対して気持ちが強くて…我慢したいんですけど、どうしても」
「別に我慢しなくてもいいと思うよ?嫉妬なんて誰でもするし」
「まぁ、そうですけど…」
「ていうか、そんなに気を張って疲れない?別に奏斗は君から逃げないし。もっと信用してあげたら?」
そんな美風の言葉に、晶は素直に頷く事はできなかった
「っ、そんなの無理です。兄は…奏斗は、俺が嫌いなんです。それに、異常でしょう?家族にこんな感情を持つなんて。きっと兄も、嫌なはずなんです。だから」
捲し立てるように言った後、ハッとして顔を上げる
自分でもびっくりするほど冷たい声だった
思わずそんな態度を取ってしまって後悔する
2人は晶を心配して話を聞いてくれているのに、こんな態度は失礼だ
だが、当然怒った顔をしていると思った美風の顔は、意外にも寂しそうに歪んでいた
「すみません、つい…」
「…そっか、そうなんだ」
「…え?」
そんな様子の美風に晶は慌てて謝ったが、美風は怒ることもせず、ただ、何かに納得したように声を漏らした
訳もわからず呆然としていると、美風はすぐに晶に向き直って、淡々と話し始めた
「僕ね、君とそっくりな人を知ってるよ。すごく信頼してたけど、ある日突然、人が変わったようになってしまってね、僕に酷いことをしたんだ…でも今思うと、あの人も君みたいにずっと我慢してたのかな。だから限界がきて、急にあんなふうに壊れちゃったのかな」
「美風…それって…」
晶に話すのではなく、まるで思い出をポツポツとこぼす様に語る美風を、晶は黙って見つめていた
その姿は酷くショックを受けたような、とても寂しく、小さく見えてしまったのだ
そんな美風の様子に、晶だけでなく傍にいた宮本も息を呑む
おそらく宮本は、美風の言う”あの人”を知っているのだろう
宮本はそれが誰だか気づいた瞬間、やはり悲しそうな表情に変わったのだ
「それで僕、すぐに逃げたんだ…でも、あの時ちゃんと話してたら、僕がちゃんと向き合ってたら、何か変わったのかも。今よりずっと、マシだったのかも」
「………」
まるで気づかなかった方がよかった、と後悔するような言い振りと、気づいてしまったがための、一気に押し寄せる罪悪感に、美風は眉を顰めた
「君は奏斗が逃げると疑ってるだろうけど、実際はそうじゃないかもよ。確かに何も言わない奏斗もそうだけど…お互い信用しないと。疑ってばかりじゃ、君の心が持たないよ」
俯く彼に、晶はなんと言えばよいかわからなかった
それは宮本も同じなのか、何も言わずただ、美風の横顔をじっと見つめていた
「怖いよね、すれ違いって。ちゃんと話し合わなきゃ。手遅れになる前にね」
先ほどの口先だけの言葉より、ずっと説得力のある言葉が、晶に重くのしかかる
まるで懇願するように言われて、もう目を背けることはできないと、無意識ながらに思ったのだ
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