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第16話 【ヨギ視点】聖龍様の唯一になりたい

聖龍様がちょっと緊張するのが伝わる。この頃聖龍様は、オレが「手伝って」って言うと、少し緊張して恥ずかしそうに目を逸らすことが多くなっていた。 「聖龍様、オレね、聖龍様に伝えたい事があるんだ」 「? なんだ? 言ってごらん」 「オレね、聖龍様の事がすっごく、すっごく、すっごく!!!! 大好き!」 「ふふ、ありがとうヨギ。私もヨギの事が大好きだよ」 幸せそうに目を細めて、聖龍様はオレをギュッと抱きしめてくれる。オレもぎゅうっと抱きしめ返した。 「オレね、聖龍様と『つがい』になりたい」 「!」 目をぱちぱちさせて、聖龍様は戸惑ったみたいな声を出す。 「つがい……つがいとは、あの番、か? 生涯を共にする伴侶のことだろうか」 「うん! おれライアとカーマインに色々聞いたんだ。雄同士でも恋人になって番う事はできるって」 「それはもちろん、できはするが……私とお前では種族も違うし、第一お前はまだ幼いだろう」 「そんな事ない。獲物だってたくさん狩れるし、獣人的には立派な大人だよってロンも言ってくれた。聖龍様に欲を感じてしょうがないくらいには大人だもん」 「欲? 私にか」 「うん。舐めて、触って、いっぱいちゅーして、いちゃいちゃしたい」 ほんとはもっと色々したいけど、そういうことにあんまり興味なさそうな聖龍様に言うのはちょっと早い気がするから言わない。思ったとおり聖龍様は、今言った事だけでもびっくりしちゃったみたいだ。 「こ、これは困った……」 聖龍様は、どうしたらいいか分からないって感じの困りきった顔をする。でも多分そんな顔するって思ってたからなんて事ない。勝負はこれからだ。 「困らないでしょ。聖龍様だって、俺のこと大好きだって言った」 「それは、言ったが」 「お互いに大好きで、ずーっと一緒にいたくて、その人を幸せにしたくって、独り占めしたくなって、えっちな事したくなるならそれはそーゆう意味で好きなんだって、おれだってもう知ってるもん」 「……」 聖龍様の眉毛がますます下がった。こんなに困ってる聖龍様は初めて見たかも知れない。 でも、断られてるわけじゃないから、押しまくるだけだ。 「ねぇ聖龍様。オレは、聖龍様の可愛い雌でありたいし……聖龍様の頼れる雄でありたい」 「ヨギ……」 「オレは……聖龍様の唯一になりたいんだ」 逃げられないようにぎゅうっと抱きしめてた聖龍様の体から、ふと力が抜ける。さっきまで緊張したみたいに強張ってたのに、急にふにゃっと柔らかくなった。 「聖龍様?」 「どうすればいいのか分からない……」 おれの首のあたりに顔を埋めて、聖龍様は力無く言った。 「これまでこんな求めを受けたことがないわけではないが……」 そりゃそうだろうな。だって、聖龍様はこんなに綺麗で優しくて、格好良くってキラキラしてて、塔の外の人は知らないだろうけどいっぱい褒めてくれて、大切そうにギュッてしてくれて、いい匂いだってするんだから。 「だが、きっぱりと断れば大概は退いてくれたし、そうでなければ叩きのめすか触れられぬように転移してしまえば済んだのだ」 「やだ、ダメ! 転移しないで!」 おれは慌てた。しっかり抱きしめてた聖龍様の体に、さらにギュッと力を入れてくっついたら、頭を優しくぽんぽんされる。 「泣かずとも転移などしない」 「ほんとう?」 ちょっと体を離して聖龍様を見つめたら、聖龍様は困ったみたいに笑って、おれの涙を指先で拭ってくれた。びっくりしすぎて涙が出ちゃってたみたいだ。 「……出来ぬから困っている」 また涙が出た。聖龍様を困らせてるって分かってても、おれ、聖龍様を諦めることができない。 「ああ、愛しい子。泣かないでくれ」 「ごめん……ごめんなさい。でもおれ、聖龍様のこと、大好きすぎて諦められない。おれじゃダメなの?」 ピス、と鼻が鳴った。 「やれ、本当に困った」 おれの背中を子供をあやすようにぽんぽんしながら、聖龍様は優しい声で困った困ったって呟く。 「ヨギがこんな風に悲しむと思うと断ることも転移で逃げることも叶わぬ。叩きのめすなどもっての外だ。おまけに」 おれのこめかみにあったかいのが触れたかと思うと、ちゅ、と小さい音がした。 「聖龍様、今……」 おれのこめかみに、ちゅーした? 「お前があまりにも真っ直ぐに欲をぶつけてくるものだから、近頃では私まで、僅かに欲を感じるようになってしまったではないか」 その言葉を聞いた瞬間、おれは聖龍様を思いっきり押し倒していた。 「ほんとう!!!???」 聖龍様の顔じゅうにめちゃくちゃにちゅーして、マーキングするみたいに体中を擦りつける。嬉しくってしっぽは暴れまくってるし、ちんちんもぎゅんって一気に硬くなってきた。 「これ、そんなに振ったらしっぽがちぎれてしまう」 「ちぎれてもいい!!! 聖龍様、聖龍様、大好き!!!」 間に服があるのももどかしくって、おれは一生懸命に腰を振った。 ……ホントだ。 おれのを擦り付けられて、聖龍様のもだんだん硬くおっきくなってきた。

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