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第3話

「ストーカー!!」 「声がデカイ。」 ストーカー? 会話を盗み聞きするつもりは無いが静かな店内で大きな声を出せば嫌でも聞こえて来てしまう。 BGMも心地が良いジャズが流れていて自然と耳に入る様な音量だから少し大きな声を出せば店内に響き渡る。 カウンター席は8席でテーブル席も4人掛けのテーブルが3卓あり後は2人掛けの席が5卓。 狭くない店内だが俺以外は客が居ないんだから声が響き渡るのは分かりきっている。 彼らは酒が入り判断力が無くなって来ているのだろう。 「あの男まだお前に付きまとってるのか?」 「断っているんだけどこの前は自宅の玄関に・・・その・・・・・。」 「なんだよ。」 「白い液体が・・・。」 男が男に言い寄られストーカーされて自宅の玄関に白い液体とか本当にある話なんだなと俺は酒をチビチビと呑みながら思っていた。 それにしてもストーカー被害に遭ってるやつの声が何処かで聞いた声なんだが何処だった? 「千紘は黙ってたら可愛いからなぁ〜。抱いてもいいぜ!」 千紘? 「可愛いとか言うな!俺は男なんて嫌だよ。それに抱かれるより抱く方がいいんだよ。」 「だよな。男なんて俺も無理だわ。」 千紘って言って可愛いとかを連想させたのは瀬名千紘だ。 それに声も瀬名千紘に似ている様に思えて来た。 バカバカしい酒を呑みすぎた。 そんな自分に失笑して彼らの会話を思い出してグラスをカウンターに置いた。 抱かれるより抱きたいか・・・・。 男なら抱かれるより抱きたいとそう思うはずだが俺は・・・。 「どうかされましたか?」 「いや、そろそろ帰るよ。」 「そうされた方がよろしいですね。」 ストーカーと騒いでいた客も気付いたら居なくなっていた。

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