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第11話

「ちょっと、向野課長は呑み過ぎです。」 「いいから寄越せ千紘。」 「今日は午後から何があったんですか?機嫌が悪いし黙ったまま何も食べずにひたすら呑み続けてるし何か食べて下さい。」 「うるさい。お前は黙って呑めよ。」 親友から結婚式の招待状を渡されて好きだと言えずにヤケ酒飲んでる。 隣で千紘がうるさく言ってくるが話す気分でも無くてこの時だけは1人で呑みたいと思ってしまった。 「久しぶりに来られたと思ったらまた何かありましたか?彼の言う通り明日はお休みかも知れませんが呑み過ぎですよ。」 「マスターまでうるさいですよ。」 そう言って俺はカウンターに突っ伏してしまった。 「おやおや向野様がこんなに酔われるなんて初めてですね。」 そうだなこんな呑み方なんてした事がないよ。 「そうなんですか?確かに家でもお酒は控え目に呑んでますよ。仕事でもプライベートでも凄く完璧で憧れます。今日は少しこんな向野課長が見れてラッキーかもです。」 俺は完璧とかじゃ無くてただ人に弱みを見せたくないだけでそれでも千紘には弱みを見せても良いと思えた。 「瀬名様がご一緒でしたのでお止めはしませんでしたがかなり呑まれてます。お酒はお強いのに余程何かがあったのでしょうね。」 「呑みたい日もあると思います。僕が責任を持って連れて帰りますよ。」 「これはこれは頼もしいですね。」 そんな2人の会話を俺はただBGMの様に聞いていた。 すまない千紘。 今日だけは・・・・・。

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