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第5話
「うっっくはっ」
「これが欲しかったんでしょ?」
「あ、あ、やばっ、くっ、待って、イッてる…」
「ダメだよ。止めてあげない」
「待ってっヤバいから…っ」
「ダーメ」
「はぁっはぁっ…」
こんなの知らない。
淳平もその前も、自分のイきたいタイミングでピストンを早くしたり、遅くしていた。だが、この男は、ガツガツと出し入れを繰り返すが、しっかり一点を狙ってくるため、何度も中でイっているのだ。
自分がイくタイミングではなく、俺をいじめ抜くために、ゆっくりであっても一点をしっかり抉り、今はダメって言う時は猛スピードで、攻撃してくる。
頭がおかしくなり、泣き言を言う。
「もう、許して…」
「ダーメ」
「んっもう無理。許して」
「まだ、俺はイッてないから」
「…はぁっ」
悶えて、枕を握りしめる。
体がバカになり、さっきから、ずっとイキっぱなしでこの快感をを逃がすために枕に縋ったのだ。
力強く握る手が、別の何かに絡まった。リョウが指を絡ませて、手を握ってくれる。
(あぁ、手ってこんなに暖かく感じるんだな…)
初めてかもしれない…こんなにぎゅっと握られたのは。
だが、勘違いしてはいけない。その手を、首に持っていく。
「何?こうして欲しいの?」
と、首を絞められる。
バカになってる体に酸素がいかない。それでも、苦しいより、もっとして欲しい…
「っはぁっゲホっ、ゲホっ」
手を離された瞬間、大量の酸素を吸い込んだせいで咽せる。
息を整えている最中に、深いキスをされ、こぼれ落ちる唾液なんて気にもせず、お互いの舌を貪り、上手く息ができず苦しいのだけど、キスを止めようとは思わなかった。
リョウは、キスをしながら「俺もイくよ」と言う。
俺も、キスをしたまま「うん」とだけ返す。
その後のことは、覚えていない。
リョウがイく直前に、イッてしまい、そのまま気を失うように眠ってしまったようだ。
***
翌日、予めセットしておいたアラームで起きた。
淳平とのことがあってから、眠れずにいたのが嘘のように熟睡していた。
なんとなく、晴々とした気分だった。
ふと、テーブルを見るとリョウからのメッセージ。
ーー澤田南 様ーー
当店を、ご利用頂きありがとうございました。
当たり障りのない、お決まりのテンプレで書かれていたが、なんと無しに裏側を見た。
今日で、店を辞めます。
090ー〇〇〇〇ー〇〇〇〇
リョウ
最初で最後だと思っていた…だけど、この紙を捨てることはできなかった。
***
今日で、11月も終わり、明日から新しい職場へ出勤する。
あれから、不思議と少し眠れるようになったし、食欲も出ていた。
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