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第20話
「京也ぁ〜ゲームしよーぜ」
兄ちゃんは笑顔で片手に折りたたみ式のゲーム機を持ちながら話しかけてきた。
「うん!!」
もちろん俺は兄ちゃんと遊ぶ。
優しくて、かっこよくて、頭もいい俺の兄ちゃん。毎日遊んでくれて本当に大好きだし、離れたくなかった。
「京也。もう話しかけるな。」
ある日、兄ちゃんは言った。
冷たい、表情の掴めない、俺の見たことない顔で。「何で?」と問いかけても答えてくれない。俺が質問する度に顔を歪ませて目をそらしてこっちを見ようともしない。
あぁ、俺嫌われたんだ。
そう確信した。次の日の朝、兄ちゃんは大阪の大学に行ってしまった。俺には何も教えてくれなかったどこの大学で何について勉強しているのか、どこに住むのか。
ショックすぎた。でも、涙は出ない。人って余りにも悲しいと涙も出ないんだ。何だか笑える
それからは家に帰りたくなくなった。家に帰ったら兄ちゃんの事を思い出してしまうから。てか、思い出さない方がおかしいだろ?ずっと一緒に育ってきたんだぞ。
「…にいちゃん、、、会いたい。会いたいよ」
言葉に出すと涙が出てきた。
兄ちゃんが居なくなってから初めて泣いた。
「…お前兄貴いるの?」
ふぁ???
この声って、イケボの、、たしか、神崎
俺、夢見てたんか。
ん?神崎って
「あぁぁぁあ!!俺のバージン奪ったやつ!」
くそっ、コイツに俺犯されたんだ泣
「くくっ、バージンって、顔も乙女だけど中味も乙女だな」
楽しそうにヘラヘラ笑いやがって。
「俺帰るっ。」
勢いよく起き上がると腰に尋常じゃない痛みが襲った。
「痛っっ、、はっ?何で?」
意味分かんねぇ。帰りたい
「馬鹿だな。痛いに決まってるだろ。奥にガンガン突いてやったんだから」
と、真顔で言ってくる神崎。死ねっ。
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