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第12話 信じても良いのかな?
夜の公園でスノウと別れたカイは、自宅である魔石店へと戻って来た。
店番をしていたケット・シーのキキが、カイの様子がいつもと違う事に気付く。
どこか戸惑っているようなカイの様子は、滅多に見られないものだった。
「カイ様、デートは楽しかったですか?」
キキに尋ねられ、カイは珍しく動揺していた。
「楽しかった……のかな? よく分からない……でも……」
普段あまり出かけないカイにとって、スノウと入った賑やかなレストランでの食事は美味しかった。
洞窟の探索も、アラクネ相手にスノウが側にいてくれて、ソロの時とは違う安心感があったのだ。
そして……アラクネの魂魔石 ……その存在と、何故自分がアレキサンドライトを買い集めているのか……誰にも話した事のない秘密を、スノウに話してしまった事が、カイは自分でもどうしてなのか分からなかった。
「スノウも……滅亡した一族の出だと言っていたな……」
カイの呟きを聞いたキキが、大きな目を丸く見開いた。
「あのチャラそうなスノウさんが? あの方も苦労してるんですね」
キキの言葉に、カイも思わず苦笑した。
「またデートに誘ってくれるそうだ」
「嬉しそうですね、カイ様」
「嬉しそう?」
思わずカイは首を傾げてしまった。
(そんなに嬉しそうに見えるのか?)
「カイ様にとってスノウさんが、良いお友達になればと私は思っていますよ」
キキも嬉しそうな顔をしている。
他人との関わりを避けて来たカイには、ケット・シーのキキやカーバンクルのララと言う家族がいる。
それでもときおり感じていた寂しさは、スノウと出会ってから感じなくなっていたのだ。
「信じても良いのかな……」
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