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第13話 スノウの不在

 またデートに誘うと言って以来、パッタリとスノウは姿を消してしまった。  カイの店にも顔を出さない。  はじめはオークションにアレキサンドライトの出品予定がないからだと思っていたカイだが、1週間が過ぎ2週間が過ぎ気がつくと一月が経っていた。  その間、カイは何度かオークション会場にも足を運んだが、スノウの姿は見当たらなかった。  アレキサンドライトが出品されていた事もあり、カイは今まで通り競り落としたが、以前のような達成感は感じなかった。 (スノウは……教えてくれなかったのか……)  アレキサンドライトが出品されたら教えると言う建前で、一つだけ外してやった隷従の腕輪だが、スノウが律儀にアレキサンドライトの情報をカイに教えていたのも、最初だけだったということなのか……  自分でも想像していなかった位落ち込んでしまって、カイは塞ぎ込んだ。  自宅である魔石店の奥で、ケット・シーのキキに店番を任せて、カイは落札したアレキサンドライトをじっと眺めている。  カイの肩に乗っていたカーバンクルのララは、心配そうにカイを見つめていた。  カイはアレキサンドライトを手に取ったが、目を瞑っても何の映像も脳裏に浮かばなかった。 「魂魔石(ソウルイーター)じゃないか……」  魔物の魂で出来た魂魔石(ソウルイーター)ならば、カイが触れれば魂の記憶が見える。 「これはただのアレキサンドライトだ」  魂魔石(ソウルイーター)ではないアレキサンドライトは、ただの綺麗な宝石だ。若干魔力を持っているので、普通の魔石として店に並べるしか使い道がない。 「結構な金額払ったんだけどな……」  テーブルに突っ伏したカイは、大きな溜息を零した。 「またギルドで稼がないと……」  久しぶりにギルドに顔を出したカイは、無意識にスノウの姿を探していた。ぐるりと見渡しても、やはりスノウの姿はなかった。  カイは壁際に張り出された依頼書を眺めながら、ソロで出来そうな物を選ぶ。  気持ちが沈んでいる今は、難易度の高い物に手を出す気にはならず、比較的簡単な依頼を選んだ。  受付嬢に依頼書を持っていくと、意外だと言いたげな顔をされてしまった。 「今日はスノウさんはご一緒じゃないんですか?」  突然尋ねられ、カイは咄嗟に何も言えなくなる。 「……しばらく会ってないんで……」 「そうなんですか……最近カイさんもスノウさんもいらっしゃらなかったから、どうしたのかな? って思ってたんです」 「スノウは来てないんですか?」  思わず食い気味に尋ねると、受付嬢は驚いたのか目を丸くしている。 「はい、ここ一月は来ていないですね」 (スノウが俺の店に顔を出さなくなったのと同じ時期から、ギルドにも来てないのか……) 「薬草採取依頼ですね。今日は天候も良いですから、カイさん頑張って来て下さいね」 受付嬢に見送られ、カイはギルドを後にした。  

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