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東の風はいずれ西の風となり 第6話 | 美玲の小説 - BL小説・漫画投稿サイトfujossy[フジョッシー]
目次
東の風はいずれ西の風となり
第6話
作者:
美玲
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第6話
清蓮
(
せいれん
)
は舞台の中央に立つと、二階の貴賓席にいる国王夫妻に向かって深々と一礼した。 清蓮はゆっくりと腰を落とし、腰に下げた剣に軽く手を添えると、呼吸を整えた。 研ぎ澄まされた感覚が剣を持つ手に集まった時、清蓮は一気に剣を抜き、水平に空を切った。 清蓮は間髪入れることなく縦横無尽に剣を操る。 無駄一つない動き、軽やかな身のこなし。 まるで清蓮が目に見えない敵と戦っているかのようだ。 清蓮の華麗かつ軽妙な剣捌きは見事の一言であった。 清蓮に向けて新たな剣が投げられた。 清蓮は振り向きもせずに剣を受け取ると、二本の剣を巧みに、再び見えない敵を切り倒していく。 この二つの剣は真剣だ。 一本でも十分重たいはずだが、清蓮は難なく使いこなしてしまう。 清蓮は友安国の人々と同じく武術に並々ならぬ情熱をもっていて、そのたゆまぬ努力と、地道な鍛錬で得た剣の技術は、群を抜いていた。 清蓮にとっては、剣が一本増えたところで、どうということはないのである。清蓮の外連味のない剣捌きは、演舞場を埋め尽くす人々の期待をはるかに上回った。 演武が終わってもいないのに関わらず、すでに演舞場は割れんばかりの拍手、喝采が沸き起こっていた。 清蓮は手にしていた剣を鞘に納めると、もう一本の剣を横に振り切り、静止した。演武を終えた清蓮は軽く肩で息を切らしてはいるものの、余裕の表情だ。 清蓮は呼吸を整えると、そろりそろりと歩を進める。 扇をもった右腕を振り上げ、勢いよく振り落とすと、それを合図に舞台下の宮廷楽団が一斉に演奏を始めた。 演舞の始まりだ。
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美玲
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