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第9話
暴徒と化した人々を止めるすべはなく、場内に渦巻くか混沌と怒声は、虚しく激流にのまれていく。
母親と話を終えた清蓮 は、押し寄せてくる人々を見て、何が起こったのか理解した。
彼は母子を安全な場所まで案内すると、続いて自分も避難しようとした。
「うわっ!」
暴徒と化した観客の一人が清蓮に飛びかかり、清蓮の衣装の裾を引っ張った。
清蓮は不覚にも床に倒れ込んだ。
普段の清蓮なら難なくかわすことができただが、先程まで舞と剣術を披露しており、少なからず体力を消耗していた。
また清蓮が身にまとっている衣装は見た目の軽やかさとは裏腹にかなりの重量があり、扱いにくいものでもあったことも災いとなった。
男は清蓮の足元の裾を掴んで手繰り寄せ、清蓮に迫ってくる。
清蓮は男を振り払おうとしたが、転倒した際に足を捻ってしまい、痛みで思うように動けない。
清蓮は身動きとれず、どうしたものかと途方に暮れた。
その時だ——
突然、一筋の閃光が清蓮の前に現れた。
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