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第14話

「みなの者、今回のことでは、多分の心配をかけたが、皇太子が無事であったことはなによりであった。だが、この騒動については偶発的とはいえ、暴徒と化した一部の者たちによって、皇太子が襲われるなど、前代未聞、あってはならぬことだ」 固唾を飲んで聞いていた臣下たちは、嵐の前触れに戦々恐々とした。清蓮の父である清良(せいりょう)は、誰に対しても公明正大で、優秀な者は身分の高低なしに登用した。  伝統を重んじながらも柔軟な姿勢をもった王であった。 その一方で、容赦なく切り捨てていくだけの非情さも持ち合わせていた。 臣下たちが息を潜めて成り行きを見ていると、清蓮(せいれん)は、「恐れながら」と国王の前に跪いた。 「陛下。どうか、(わたくし)に、発言の機会をお与えください」 国王は無言で頷いた。 「今回の件に関して、すべては、この私に責任がございます」 「何故そう思う? 」 「そもそもの発端は、私が成人の儀に人々を招待するよう願い出たことに始まります。良かれと思っての事でしたが、今となっては浅慮であったと言わざるを得ません。それ故に、すべての責任は、この私にございます。陛下、どうか私を罰してください! 」 「……! 」 その場にいたすべての者が言葉を失った。 自らの発案が招いたこととはいえ、自らを罰してくださいなどと訴える皇太子がどこにいるのか。 呆れる者、感心する者。 その場にいる者たちは、皇太子の発言に様々な反応を示した。 すべての目が国王と皇太子である清蓮に注がれるなか、同席していた国王の弟である天楽(てんらく)が一歩前に出た。

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