fujossyは18歳以上の方を対象とした、無料のBL作品投稿サイトです。
私は18歳以上です
東の風はいずれ西の風となり 第27話 | 美玲の小説 - BL小説・漫画投稿サイトfujossy[フジョッシー]
目次
東の風はいずれ西の風となり
第27話
作者:
美玲
ビューワー設定
27 / 71
第27話
清蓮
(
せいれん
)
は、
名凛
(
めいりん
)
と
友泉
(
ゆうせん
)
がいない日々を、忙しくも穏やかに過ごしていた。 「清蓮様、今日はこちらの品々を確認なさいますか」 「あぁ、そうだね。見てみようか」 清蓮の乳母が、卓の上に包みや箱を置きはじめた。 卓の上に置かれた大小さまざまな包や箱は、どれも成人のお祝いとして清蓮に贈られたものだ。 清蓮は時間を見つけては、一つ一つ丁寧に贈り物を確認し、礼状を書くのを繰り返していた。 清蓮は、乳母の入れてくれた茶を飲んで一息つくと、一つ一つ包みを丁寧に開けていった。 贈られた品々は、一級品ものばかりだった。 清蓮はすべての贈り物を丁寧に確認し、感嘆と感謝を示しつつも、どれ一つとして手元には残さず、すべて元の箱に戻すと、すべてを保管庫に運ぶよう侍従たちに伝えるのであった。 そういったことを何度か繰り返すうち、卓の上には小さな箱だけが残った。 清蓮が中を開けると、水晶の首飾りが入っていた。 水晶は、一寸ほどの六角柱状のもので、丁寧に研磨され鎖に繋がれていた。 清蓮が、太陽の光に水晶をかざすと、光が反射するたびに虹色の輝きを見せた。 清蓮は首飾りを身につけると、清蓮の肌に溶け込むように馴染んだ。 清蓮は、どの豪華や宝飾品よりも、この水晶の首飾りを気に入った。 「送り主は誰だろう? 」
梅雪
(
ばいせつ
)
は、包み紙を確認するが名前など身を明かすものはなく、送り主は分からずじまいであった。 清蓮は何の根拠もなく、この送り主が成人の儀で、自分を助けてくれた
男
(
ひと
)
ではないかと思った。 そう思いたいだけだったのかもしれない。 梅雪は、清蓮が飽きずに水晶を眺めているのを暖かい眼差しで見た。 「清蓮様、あとでこれを運んだ者に聞いてみますわ。どなたが贈ったか、分かるかもしれませんから」 「そうしてくれると助かるよ。是非ともお礼を言いたいからね」
前へ
27 / 71
次へ
ともだちにシェアしよう!
ツイート
美玲
ログイン
しおり一覧