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第44話
その「女」の話によると、女は男を求めて各地を転々とした後、温蘭 にたどり着いたという。
男は最後まで自分は女だと言い張り、その場を離れようとはしなかったが、店の者たちは、「あぁ、そうですか、では、どうぞお好きに」と言えるはずもなく、暴れる女をつまみ出したのだった。
そんなこともあり、店では新入りが入るたび、下半身を確認して、本当に女か確かめることになったのである。
(なるほど……、そんなことがあったとは。どちらにとっても、いたたまれない話だな。でも、まぁ、そうなると、店としては、何かしらの対処をするしかない……)
そうはいっても、「さぁ、遠慮なく、ご覧あれ」とは言えるはずもない。
ただ、自分が男だと分かれば、つまみ出されるかもしれない、つまみ出されるだけならいいが、謀反人として引き渡されたりなどしたら、たまったものではない。
そう考えると、清蓮 は素直に感心ばかりもしていられない。
ここにいる女性たちも助けてやりたいと思えば、尚のことだ。
女は清蓮の困惑など知るはずもなく、下衣を脱いだら、一列に並ぶようにと冷ややかに言った。
清蓮は焦った。
どう考えても、ある物をないとするには無理があった。
清蓮は考えた。
何かあるはずだ。
考えろ、考えるんだ!
「ある」を「ない」に変える方法が!
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