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「……ハヅキ…、大好きだよ……?」  と僕に抱きついていたハルヒさんが顔を見せ、僕の両頬をその熱いくらいの手のひらでそっと包み込む。  ……僕は目を上げられない。 「……、…」  僕は嘘をついていたのだった。  こんな陰キャ引きこもりオタクの僕が性経験豊富だ? ……思えば無理のある話だった。どうせいずれはそんなバレバレの嘘、こうしてバレにバレるに決まっていた。  ハルヒさんに申し訳ない、という気持ちはもちろんある。――だが今僕のことを苦しめているものとは、その嘘が嘘と露呈した決まり悪さにもいやまさる、……僕は耐えきれずきゅっと目をつむり、ちょっと眉を寄せる。 「……ははは……」  乾いた笑いがこみ上げてくる。  僕はなんと先ほどまで「襲い受け」であった。  しかしこれまではBLでいうところの受けか攻めか、というのに自分を当てはめた試しなどなかった僕だが(まあ親友のリリカにはさんざん()()()()されてはきたが)、…といっても僕は、ハルヒさん相手にはどうしたって受けになる以外の選択肢を与えられていないのだ。  それはなぜか?  ……僕の膣に彼の陰茎を差し込むというその方法でのセックスこそ「統合」のやり方だそうだからである。  まあしかし、いくらそれの他に選択肢を与えられていないからといって、じゃあ僕がハルヒさんを「抱きたい」のか、と聞かれたら――もちろん抱けない、なんてことは決してないが。  案外僕としては身体的にも精神的にも決してそうなっても無理はないのだが(彼可愛いので、思うとなかなかイケなくもない自分もいる)、 「やだ。俺ぜったいハヅキには抱かれないから。…だって俺が抱きたいんだもん。」 「……、…」  …………ただ何分(なにぶん)妄想でさえ彼とのセックスを思いえがいてこなかったので、そのポジションにおける理想という前提がそもそもない、というところはあるにせよ、…おそらく僕の膣とは、どだい彼とのその「統合」のために僕のからだに(もう)けられたものである以上、…この場合における僕の感情としてもまあ、たしかにどちらかといったら彼に「抱かれたい」という感じが強いのである。  だが、僕のそれはおよそ当然の感情なのだろう。  それこそ僕は、いうなれば運命られた夫神である彼の「運命られた受け」――生まれつき彼の陰茎を挿入されるべき膣をもうけられている時点で、はなっから夫に「抱かれる」ことをも運命られていた彼の夫神――として生まれている、という感じなのだから、…いくら僕が男(神)とはいえ、僕という男神の誕生前から決められていたその運命にはどうやっても抗いきれず、…すると僕が無性に(()()()()()()()()()たる)彼に「抱かれたい」と思えてしまうのは、まあ当然のこと、言ってしまえばもはや僕にはどうしようもないことではあるわけである。  だが、… 「だが?」 「……、…、…」  ……こうして今しがたまで演じていた「襲い受け」の仮面を外され、改めて今ここにさらけ出された――いろんな意味で丸裸にされた(いや、といってワイシャツだけはまだかろうじて着ているが)――ありのままの天春(アマカス) 春月(ハヅキ)として認識するに、…  …なるほどこの「受け」というポジションの気恥ずかしさは、尋常ではない。  あるいは女性ならもう少しこのポジション、この「(好きな人に)抱かれたい」という感情を受け入れやすいものなのだろうか?  まあよくオタクの女性は(こと夢女子たちは)推しに抱かれたい、と口々に言うものだが、…それは推しへの好意を誇張した故のセリフなのか、はたまた本当に彼女たちの本音からのセリフなのか…――男の僕にはそれの真偽さえ定かではない。  しかし、といって今や彼の陰茎をズッポリ挿入されておいて(というか進んで自分のなかに彼のを挿入しておいて)、…こんなのは今さらっちゃあ今さらの羞恥心である。我ながら今さら何を恥じらっているのやら、… 「あれ…? なんでいきなり冷静…?」 「……、…、…」  ハルヒさんが僕の背中を抱きかかえながら、そお…っとやさしく、かつかなりゆっ…くりと時間をかけて、僕のことを押し倒してゆく…――いっそのこと荒々しくしてくれよ(恥ずかしすぎるのでいっそ殺せ)、とさえ僕が思うほど、…これではまるで王子様、それこそ世の女性たちがたちまちお姫様に変貌(へんぼう)してしまいそうな、女性たちが理想としそうなほどの完璧な優しさを、それもこの絶世の美青年にかけられながら――ああ着々と進んでゆく、…進められてゆく、…もちろん()が。 「……、…、…」  すっかり形勢逆転、しかも()()()()()正常位――僕は上まぶたを伏せ気味、かつ真横に目をそむけている。  そりゃあセックスの王道中のど真ん中王道たる正常位とは、何も特別な体位というわけではない。…かえってセックスという行為を経験するにおいて、必ずといっていいほど誰しもが経験するのが、きっとこの正常位というオーソドックスな体位で間違いない。  だが今の僕にとっては悪いことに、…この体勢は我ながら()()()()()である。自分が「受け」であることをこれほど認識する体位もないのである。  ……脚をほとんどM字開脚にしてベッドに仰向け、結合部はズッポリと結合部らしく容易につながり、さらに上を見やると、おおよそそこには背後の照明の優しい明かりを後光に、薄墨の影にそめられてなおその美貌を妖しく引き立てられている「美形攻め」の、攻めらしい強気なハルヒさんの顔…があるはずである。  なるほどこの正常位という体位は、まさしく「抱かれる」という感が非常に、非常に強い。 「……、…、…」  しかも、どうやら僕は今はもう嘘などつけない。  これら思考さえ今やハルヒさんには筒抜けに違いない。…それへの(おも)はゆさときたら、なるほどやはり並大抵のものではない。 「…ハヅキも…俺のこと大好き…?」 「あのからかうのはゃm、…っはい…」  ああ…――。 「大好きですハルヒさん…、好きで好きでもうおかしくなりそうです…。早く僕の子宮をいっぱい、貴方のおちんちんでいっぱいいっぱい突いてください…――。……、…、…」  あああ〜〜…っ! 僕は眉をひそめながらきゅっと目をつむった。  ……これは思いのほか恐ろしい「呪い」である。  僕は今嘘がつけない。つまり口をひらけば本音しか言えない「呪い」をハルヒさんにかけられている状態なのだが、…この「呪い」の何が恐ろしいって――僕本人さえも認識していない僕の本音が、こうして僕の口からつらつらと並べ立てられてしまうところである。 「…えへへ…子宮……?」  とハルヒさんのこのニヤけたようなからかう調子の質問にも、僕は決して言いたかないというのに、 「はい…、別にポルチオは開発したわけでもないのに、実はもう…ちょっと貴方のおちんちんが当たっているだけで、もうちょっと気持ちいいんです……」  いやハルヒさんに何を言っているんだ僕は……?  目を閉ざしている僕の顔や耳やがにわかにかーーっと熱くなってゆく。 「ただもともと興味はあったんですが…、ポルチオでイくと全身で気持ちよくなれて、それも何回でもイけるとネットで見たもので…――でも僕のおまんこは、将来の夫のハルヒさん専用のものだと、…僕は本能でそれをわかっていたらしく……」  待っ…僕、何、言って、…やめろ、…   「そうなんだぁ…?」 「…はい…。それに僕、さっきやっとわかったんです…。運命の夫であるハルヒさんとの初めてのえっちのために、初めてでも貴方と一緒に気持ちよくなれるように、…僕は夫になるべき貴方のためだけに、これまで自分の体を開発してきたんだって……」  そう…だったのか……? 自覚するところ漫画のため、としかなかったんだが……。  ――しかも(まあ膣があるとはいえ僕も曲がりなりにも男、理屈はわかる)痛みのせいか、多少僕のなかでしぼんでいたらしいハルヒさんの陰茎が、むくむくとまたみるみる膨張してゆくのをなんとなし感じる。 「…ぁ…ハルヒさんのおちんちん、どんどん僕のなかでまた大きくなって…嬉しい……♡」  何言ってんだ僕はああああああ!!! 「…ふふ…♡ そう…このおちんちんのためだった……ハルヒさんに触れられたあの瞬間に、僕は気が付きました…――自分の奥の奥が、貴方のおちんちんだけを求めて(うず)いていること…。そして愛する夫のおちんちんを受け容れる…ただそのためだけに、自分のおまんこが奥のほうから濡れてきて、…はぁ……貴方のためだけに、自分の体が愛液をとろとろ溢れ出させていること……」  もうやめてえええ…っ! なんというこの上もない羞恥プレイか、 「…僕のおまんこは夫の貴方のおちんちんのためだけにあり…、僕の愛液も、愛する貴方のためだけに分泌されている…――貴方のおちんちんを自分のなかに挿れてもらい、そして、貴方の精液を子宮で受け留めるそのためだけに、僕の体はこんなにも熱く欲情して、濡れている…――僕、それが本当に幸せで……」  そ、そんなの僕が初耳なんだが、  ……僕のなかで太いのがドクドク脈打ってる、…ハルヒさん、僕のこの恥ずかしいセリフに興奮しているのだろう…――それがまた僕の羞恥心をかき立てる。 「…ぁ…ハルヒさん…♡ だめ…貴方のおちんちんが、僕のなかで(たくま)しくドクドクして…愛おしいけど、ちょっと感じちゃう…♡ …あぁ恥ずかしい…、これじゃどんどん僕のおまんこも濡れてきちゃいます……」  誰か助けてください。 「…はぁ…♡ …それにしても…僕の体に初めて触れてくれたのがハルヒさんで、本当によかった…。あと…貴方を奥の奥に感じている今、僕はいよいよわかりました…――僕の体は、なかも外もはじめから夫の貴方だけのものだったんだって……」  お願いします。誰か()()()()()()()()をしている僕を助けてください。 「でも…僕はもっと貴方だけのものになりたい…。どうしてか本能でハルヒさんに支配されたいんです…。夫の貴方に征服され尽くしたい…――だから、どうか僕の体をめちゃくちゃに揺さぶって…、いっそ僕が壊れてしまうくらい、激しく僕を抱いてください…――僕の全てはもう永遠に貴方だけのものなんだって、どうかもっと僕に教えて……」  おいおい征服されつくしたいって、…とすると僕って潜在的マゾヒストだった、ということなのか……?  いやなんにしても本当に本当に、…後生ですからどうか誰かこの哀れな僕を助けてください……。 「どうかもっと、もっと僕の体に貴方を刻み込んで…――僕はもうハルヒさんだけのものなんだって、そのことを僕がうっかり忘れてしまわないように、どうか貴方の形を僕の体に覚えさせて…、……」  あぁ死にた……恥ずかしすぎて……。  ……ハルヒさんのやわらかく熱い唇が僕の唇に押しつけられた。「可愛い…」とその低い欲情した男のささやき声に僕が反応する間もなく、僕の唇は彼の唇の荒波に揉まれて否応なしにされるがままとなる。 「……ん、♡ …っんん……♡」  ただ、結局僕にはまだよくわからないのだった。  キスの作法が、である。ましてこれだけ激しくあむあむと唇を食まれてしまうと、食みかえすタイミングがいまいちつかめない。――唇を動かそうにも次にはもう彼の唇に食まれている僕の唇は、すると彼の唇を捉えようにも先んじてその唇に捉えられている。 「……、…いいよ、ハヅキは何もしなくて…ふふ、――そういうところでさえ、初々しくてかわいーから……」 「……、…、…」  こういうゲロ甘な感じ、…そう、それこそこの「初めて大切に抱かれている感」が何より僕の羞恥心の源になっているのだ。  甘やかされる…それも恋人、というか夫、…恋心を抱いて十年も憧れつづけてきた絶世の美青年に、…しかし四歳も年下のその美青年に、年上の自分がその甘ったるい関係性らしく――言ってしまえばいちゃラブ系の受けらしく――甘やかされている、というこのシチュエーションは、なんやかんやたくましくしたたかに生きてきたこの三十二年間にも、陰キャオタクともあればそんな経験などあるはずもない(自覚するところ恋愛においては枯れに枯れた三十路男の)僕を汗顔(かんがん)必至というほと気恥ずかしくさせる。 「へへ…ハヅキはただ俺に全部(ゆだ)ねてくれてればいいの。なにかしようとか思わず楽にしてて…。……じゃあゆっくり動き出すけど…――でもちょっとでも痛かったら、ちゃんと言って…?」 「…あぁ…そういう優しいところも大好きです、ハルヒさん…。僕、貴方と結婚出来て本当に嬉しい…、本当に幸せです…。………」  もう僕は口を開こうと思わないほうがいいのだろう。――「えへ、俺も…」と嬉しそうな小声で僕の唇を震わせ、その熱い蒸気でこの唇を湿らせたハルヒさんが、宣言どおりいよいよゆっくりと動きはじめる。  ……ただやはりあまりにも甘ったるいのは、…さっき僕に「めちゃくちゃにして」と言わせたわり――というかまあ僕が勝手に言ったのだが――、…彼が気遣わしげにも体感ほんの二三センチ、それもかなりゆっくりと、ぬる…ぬる…と微動からはじめてくれているところだ。 「…ん…♡ ……ぅん…っ♡」  ……だのに僕の鼻からは――いつも自分が聞いているそれよりも奥深くからの、やたらしっとりとした――かすかながらも甘い声が、自然ともれてしまう。 「…ん…♡ ……ん…♡ ……ん…♡」  たかだか二三センチ、されど二三センチであった。  僕の膣口は今や裂けておそらく血が出ている(傷口になっている)ので、たしかにいまだそこはかすかにヒリヒリと熱をもっている感覚はあり、また多少キシキシとした痛みもあるが、それさえ忘れるくらい――太く硬い彼の勃起が僕の膣内の全体をやさしくぬる…ぬるとこするもどかしいこの快感、彼のカリ首が僕の奥のほうのやわらかい肉を引っかく腰がふるえそうになるこの快感、彼の亀頭が奥底に押しつけられるたび、子宮にずん…とじっくり響いてあとを引くこの快感、…僕は自分の全身が脱力してゆくのを感じる。 「…ん…♡ …ん……っ♡」  ……そしておよそ夫に身を許した者の本能からか、僕はハルヒさんのわきの下から回した両腕で、彼の背中を力弱く抱きよせた。 「はは…すご…ハヅキのなか、めっちゃぬるぬるで気持ちいい…。…でもだいじょぶ…君は痛くない…?」 「…い、痛くありません…、むしろ…、ぁ…♡」  やたら甘えた自分の嬌声に、僕は胸の底からこみ上げてくる気持ち悪さ――要するに羞恥心――が、喉の奥から口のなかにまで上ってきたような想像に襲われ、それをぐっと奥歯で噛みくだいて唾液ごと飲み下す。ゴクンと僕の喉仏が上下する。  もう何も言うまい……。 「…はは…恥ずかしがってるのもかわいー…――俺の、気持ちい…? ねぇ俺…ちゃんとハヅキのこと、気持ちよくできてる…?」 「……はい…、むしろ、すごく…ぁ…♡ すごく…ハルヒさんのおちんちん、すごく…っ気持ちい…♡ あ…♡ ぁ…♡ 声、――声出ちゃ、…恥ずかしい声出ちゃう、…初めてなのに、…今僕、…すごく感じてしまってます、――………。」  しかしハルヒさんに話しかけられて、無視するのも感じ悪いので答えると、その僕の誠実性が(あだ)となり、…それの内容がどれだけ恥ずかしい赤裸々なものであろうと――それが羞恥の予感のあまり、普段なら口に出すのをどれだけはばかられるものであろうと――、今の僕の口からは(時に自分でさえ認知に及ばない)本音しか出てこない。  ……憎むべきはそんな本音をわれ知らず抱いている己なのか、はたまたこのような「恐ろしい呪い」をかけてきたハルヒさんなのか――。 「よかったぁ…。ふふっ…でも俺たち、運命られた夫夫神だから…――俺のは君が最高に気持ちよくなれる形になってるし…、君のなかも、俺が最高に気持ちよくなれる形になってるんだって…――だから君の子宮も、俺のなら初めから気持ちよく感じられるの……」 「……、…」  なるほど……いわく女性たちなら、端からポルチオ周辺で性感を得られる人は少ないというが――まあそもそも神の僕の(ある意味特注品である)性器と人間の女性の性器とは、およそ似て非なるものなのだろうが――、…その「運命られた」というのはどこまでも厳密、かつうまいこと(都合よく)できているものらしい。 「へへ…、でもそのせいで、いつもすぐ出ちゃいそうになるのはちょっと問題だけど……、…ほんと気持ちいいよ、ハヅキのなか…。ありがと…、……」 「……ん…♡」  ハルヒさんの唇がやさしく僕の唇を食む。  はむ…はむ…と今度は僕の唇の表面を、熱くやわらかい唇の表面で撫でるようにだけ――ゆっくり、そっと…――そしてそのこそばゆいようなキスのさなかにも、僕の長い前髪と横髪をまとめて耳にかける彼の指のやさしい愛撫が、僕の耳殻(じかく)(耳の外側)のやわ肌にもくすぐったい快感を与えてくる。  ……ずん…ずん…と子宮にひと度ひと度じっくりと響く彼の雄々しい存在は、その心地よい快感とともに僕の内側がみるみる素直にひらかれてゆくような、どんな荒っぽい侵略さえも無抵抗をもって許してしまいそうな――降伏したとも思わせずに僕の心身を自然と降伏させるような――、そうしたふしぎな、子宮から手足の爪先、髪の先まで全身にひろがる絶対的な受容を自覚させてゆく。  ……たしかに僕のこの絶対的な受容、絶対的な許しというものは、間違いなく相手が夫のハルヒさんであればこそのものだった。  僕は何となくそう思うのである。  こんなにも自分の深い深いところまで誰かの侵入を許している、いや、いっそハルヒさんのその侵入を大歓迎というほど(よろこ)んでいるだなんて――たとえば僕が彼と出逢う以前に、他の誰かとセックスをしたところで、僕はここまで深い、自分のなかはこれほどまでに深かったのかと我ながら驚くほど深い、この底なしの受容の心地よさを感じられることはなかっただろう。 「……ん…♡ …ん…♡ ……ぁ…♡」  ハルヒさんのやさしい唇のなかで甘い声がもれる。  ただ僕の心臓は絶えずドキドキと自分の性的興奮を訴えかけてくるのだが、そのわりに、僕の意識は目をつむったままというのもあるか、眠たいと思えるほどうっとりとおだやかに――ハルヒさんが、自分の夫が自分に与える愛撫の一つ一つにひたりきって、羞恥心さえ忘れるほどの恍惚とした幸せを感じている。 「…ぁ…♡ ……ぁ…♡ ……ぁ…♡」  子宮にずん…ずん…と響く快感が、そのたび僕にそこからの深く甘い声をあげさせるのだ。 「……なんてかわいい声…。ハヅキ、ちょっと目ぇ開けて…?」  やさしい夫の甘い要求に、僕は薄目を開けた。  この至近距離、彼の甘いタレ目――上下の長い銀色のまつ毛が、その非現実的な美しさを際立たせているタレ目――が、そのうっとりとゆるまっているのに何か捕食者めいて鋭い両目が、…その僕の瞳に絡みついてやさしく捉えるような暗い真紅の瞳が、僕の瞳の奥底を愛撫して、…するとぞくぞくと腰がふるえ、僕の膣内が奥からきゅうっと締まる。 「…ぁ、♡」  僕の眉が寄り、ぴく、と臀部(でんぶ)にわずかな快感の反応が生じる。  彼の太さ、硬さ、形、…僕のひと際やわらかい肉に全方位食い込むその人の勃起した陰茎が示す、憧れの人のその自分だけに向けられている肉欲の(はなは)だしさが、僕の羞恥にまみれた悦びとなって、それは子宮の奥のほうから熱く()れてゆく。 「…あ…♡ …あぁ……♡」  そしてハルヒさんの真っ赤な瞳に魅入られている僕の膣内は、憧れの人に抱かれているこの幸せをどこかで疑い、そして恐れているかのように、きゅう、きゅうっと彼の存在を確かめよう、確かめようと締まり、――だのに変わらずその太く硬い陰茎は二三センチ往来するせいで、その奥の深い快感も彼の形もより確かに増して感じる。  ハルヒさんの銀色のまつ毛がやわらかく微笑する。 「ほんとかわいい…、綺麗だね、ハヅキ……」 「…ん…ッ♡ …――っ♡」  僕の眉尻が下がり、僕はきゅっと目をつむった。  ……よくわからないのだが、彼に「可愛い」だの「綺麗」だのと褒められると、それだけで子宮がつーんと切なくよろこんで、照れくさいほど腰がもぞもぞと動いてしまうのだ。  よく、わからないのだが…僕はハルヒさんの背中に回した両手で、そのまま裏から彼の肩をつかんだ。 「…ぁ…♡ ぁ…♡ 好き…です、ハルヒさん…」  切なくなる。  ……あれほど叶うはずもないと決めつけてきた僕の恋心が、望むだけ損をするだなんて諦めてきた彼への恋心が、…僕があえて枯らしたはずの、水も与えず世話もせず、見限ってきたはずのその恋心が、今や僕の胸の中いっぱいに、熟れきったみずみずしい果実のような幸福へと昇華されて――はぁ…と熱くなった甘い吐息をして、僕にこう言わせる。 「…愛してます…、…愛してます…、あ…♡ ぁ、♡ っあ、愛してます、ハルヒさん…、僕、ずっと貴方が好きだった…――僕はずっと、貴方だけを想ってきました…、僕、…だから、僕は……」 「…うん…?」    貴方は恐ろしいほど僕の深いところまで愛してくれるから――僕は恐ろしいほど深いところまで、()ちていってしまう。…きっと、貴方と共に、このまま…――こうして一つに、なったまま。 「僕、貴方のためなら何でもします…、何でも……」  貴方が相手なら何だって許せる――貴方が命じるなら何だってする――貴方が喜ぶのなら、僕は何だって差し出せる。…今やみずみずしい甘い幸福に染められて熟れた僕の恋心は、どうも魂の奥底からの服従、彼のその白い尖った獣のような歯が恋心(自分)()らい尽くすことを望んでいた。 「だからどうか…、もうどこにも行かないで……」  僕は泣きそうになりながら、ハルヒさんにぎゅうっとしがみついた。  ……その隷属(れいぞく)的な自分の願望に、不健全なそれを口に出してしまった背徳感に、僕の背筋の神経がぞくぞくと甘やかにわななく。――ぬるぬると縦に、彼の亀頭の先が僕の子宮を刺激している。…気持ちいい…。  愛する貴方が自分のこんなに深いところまで来て、そしてここにいてくれる。だがこの至高の悦びがいずれ終わってしまうことを思うと、泣いてしまいそうになるほど悲しい――。 「…あは…」  ハルヒさんが何か僕をからかうように笑う。 「…ハヅキ、やっぱめっちゃ可愛い…――でも…そやって全身でしがみつかなくても、俺別に、どこにも行かないよ…?」 「……、…」  はたと陶酔から我に返った僕は固まる。  ……僕は気がついたらハルヒさんの腰の裏に両脚をまわし、両腕ばかりか四肢のすべてで彼にしがみついていたのだった。  それも僕は自ずから腰をもぞ…もぞと前後に動かし、彼の恥骨に濡れた膣口をくちゅ…くちゅと、彼の陰茎の先端に子宮口あたりをにゅる…にゅると、淫らにもこすりつけていた。……何事もなかったかのように、僕はそっと両足の裏をかけ布団の上にもどす。 「…だいじょうぶ、俺はずっと…永遠にハヅキの側にいるから…――でもさぁ…俺、ハヅキに尽くされてばっかの男じゃないよ…。ハヅキに尽くしたい男でもあるんだよ……」 「……ッふァ、?♡ …んん……!♡♡」  ハルヒさんが言いながら腰をゆっくりと回すようにして、じっくりとほぐすように、僕の子宮口のまわりのやわらかいところを押し上げながら円くなぞってくる。――どうしよう、…それ気持ちいい、…気持ちいい気持ちいい気持ちいい……っ♡♡♡ 「…んんん…っ♡ …ん…っ♡」  ふとハルヒさんの唇が僕の唇をじっくりと食んでくる。  今度のそれは、自分の熱い唇のやわらかさを僕に堪能させてくれるように、はむ…と僕の唇を咥えてからそのままゆっくり、時間をかけてゆっくりと引いてゆくようなキスだ。  ……だが僕はぎゅっと閉ざしたまぶたに力を込め、恐ろしいほどの羞恥心から全身を熱くさせながらも、…はむ、とヤケクソなかばに彼の唇を一度食んだ。  すると、はむ、はむ、と食みあうようになる。  ゆっくり、じっくりと僕の子宮口付近はあいかわらず彼の亀頭に押しこまれながらなぞられ、僕はその脳を熱くしびれさせる鈍い低音のような快感に、…結局は唇を動かせなくなる。  ……しかしハルヒさんは僕の唇を、やさしくじっくりと食みつづけてくれる。 「…ん、♡ んぅ……♡」  優しいキスされながらポルチオじっくりほぐされるの、おかしくなりそ……頭、とろけちゃ……♡ 「……、はは、かわい…――じゃぁあ…、これはどぉ…?」 「…ぁ…っ!♡」――僕の腰の裏がビクンッと浮く。  突かれるのではなく揺さぶられている、小刻みに、くっくっくっと小さく、やさしく、しかし速く――。 「ぁ、♡ ぁ、♡ ぁ、♡ そっそれ…っきもちぃ、です、♡」  怖くなるくらい気持ちいい、…と僕はハルヒさんの背中をぎゅっと抱き寄せる。  絶頂の萌芽(ほうが)が僕の子宮に根を張り、その芽は(くき)をみるみる上へ向けて伸ばしてゆく。――たどり着くべき天へ向けて成長するその快感に気を取られているうち、『僕の旦那様のおちんちんでイきたい』と僕の奥底から、媚びるような甘い声がその双葉とともに喉もとまでせり上がってくる。 「あっあ…!♡ ィく…っ♡ ぅ、♡ …ッ僕の、旦那様のおちんちんで、…イきたいです、♡ …シタハルのおちんちん気持ちいい、♡ シタのおちんちん大好き、♡ お願いシタ、…お願い、――っ僕を君のおちんちんでイかせて、♡」 「……え…っ?」  ……しかしハルヒさんがひたと動きをとめる。

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