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僕は上等な白いしき布団に両ひざをつき、夫のシタハルにあらわな白い尻を――ひくひくと夫に許しを希 う、ぽってりと赤らみ熟れきった蜜濡れの膣口を――向けたまま、これまで羞恥心のあまり枕に顔をうずめていたが、…さすがに息苦しくなってきては、はぁ、とやわい息を吐きながらその顔を横へむける。
「……はぁ…、は……」
そうしてふっくらとした枕に片頬や耳やをしずめたなり視界に入った、枕上に置かれている行灯の、その白い和紙越しに灯 る火の妖しいゆらめきが、僕の熱く潤んだ目をひととき憩 ませる。――ちなみにその行灯の膝もとには僕とシタハルの髪留めである、赤と青の組紐 が二匹のくねる蛇のその身のように無造作に置かれ、そのなまめかしい灯火の揺らぎに舐 られている。
しかし当然、それはほんのひと時の安らぎに過ぎなかった。
「…ほらウエ、〝おねだり〟は……?」
シタハルはそう言いながら、ぬる…ぬる、と硬く熱い陰茎の幹 を僕の膣口に、僕の濡れた菊門にこすりつけてくる。――僕は何も答えない。
「……、…」
その代わりふと尻を下ろし、おもむろに布団の上に正座した。
そして僕の背後で息を呑んでいる夫も気にかけないまま、僕は目を伏せながら指先で行灯の近くの青い組紐 を取り――それを口に咥えたのち、自分の長い黒髪をうなじから両手ですくい上げる。……すると『俺の夫はなんて艶 めかしいんだろう』とシタハルが、心のうちで「蓋」さえ忘れて感嘆する。
――『この骨ばった曲線をえがく雪も恥じらう生白い背中、この折れそうに細くくびれた柳腰、この艶美 な黒髪をまとめ上げる妖艶な所作、…なんて凄艶 なんだろう、…もし彼が俺の〝運命られた夫神〟でなきゃ、この世にも美しい男神の肉体を暴 きたいがために求婚するような輩 も跡を絶たなかったことだろう、…もしウワハルが俺の〝運命られた夫神〟じゃなかったらと思うと、俺はとても恐ろしくなってしまう……』
「……、…」
僕は目を伏せたままちょっと得意気になった笑みを浮かべつつ、…後ろ髪のすべてを後頭部も高い位置にまとめてから、片手ではその髪を掴んだまま、もう片手で唇から取った青い組紐を、その髪の根元にぐるぐると巻きつけてゆく。
それが終われば次に紐の一端を前歯で噛み、もう一端はつまんで引き、キリキリと引き絞って固定したのち――最後に頂点で蝶 結びにして、…僕はそうして手際よく髪を括 りおえた。
シタハルは僕がこのとおり髪を括ると、その心の裡で『こんなのはいよいよまずい』とひとりごちる。『このえり足、この生白いうなじ、俺は髪を下ろした夫にこそ〝夜〟を感じて欲情するもんだとばっかり思っていたけれど、…まさか髪を結ったウワハルをどうにかしていいだなんて、昼間のあの気位の高いウワハルを支配していいだなんて、…』
……たかだか髪をまとめ上げたくらいで、なんぞと僕は思わない。――僕は知っているのだ。
シタハルが太陽の下で白く輝く僕のうなじや首筋、整えたえり足やまとめ上げた揺れる黒髪なんかをじっくりと見ては、ひそかに欲情していることを。…酷ければ、僕をそのまま太陽の下であばく妄想さえしていることをも…――僕は知っている。
とはいえ、これはただ「やりやすいように」とまとめただけのこと。――だが、思いがけず夫は髪を上げた僕に「昼の王」の姿を重ねて、背徳的な欲情を覚えてくれているらしい。
きっと昼の僕ならば不機嫌になったに違いない。
しかし今の僕には、夫のその欲情さえ悦び――。
「……あぁ、我が夜の王よ…、……」
僕はそう誘惑的にささやき声でいいながら、おもむろに体を背後の夫のほうへ返し、そのたくましい肉体に身を寄り添わせ、彼の流れるようなあめ色の首筋に口づける。…熱いほどの体温に温 められてその白檀 の体臭がやたら濃い。夫の汗ばんだ肌が僕の唇に吸いつく。
僕は唇でその筋ばった首筋を食み、ぺろ…ぺろと舌の腹で舐めながら、彼の厚い胸板を片手で撫で、ときおりそのツンと凝 った乳首の先をそっと人差し指の先でこする。
しかし我が王は僕のこの媚態をお気に召さなかったようである。――夫は僕の両頬を手のひらではさんでぐっと仰向かせると、鋭いまなざしで僕を見下ろす。
「…俺は君に、〝おねだりしろ〟って言ったんだけど…?」
「……、…」
この男の真紅の瞳には、ねっとりとした攻撃的な情欲が絡みついている。――シタハルの肉体はもはや前戯的な奉仕など望んではいない。…と、そう気がついた途端、僕の子宮が震えながら甘くうずく。…それは僕が無意識に、自分の下腹部を撫でて慰めてしまっているせいもあった。
「……、…、…」
でも…舐 め さ せ ら れ た い 、のに……。
……シタハルが険しい顔でチッと舌打ちする。夫の手が僕の結わえた髪の根元を下から掴み、僕の頭をぐっと自分の、ほとんど直立というほどそり返ったその勃起へ無理やり沈める。
「……んっ…!♡」
妖しい光沢を放つその長大な勃起の熱が、その亀頭のぬるつきが僕の唇に触れたなり、僕はやたら悦んだ呻きをもらした。
そして、じゅわ…と奥からわき出た蜜のその感覚に操られるよう、また夫に「口開 けよ」と命じられたまま、僕は口を開いてそれを口内に押し込まれるままにした。
……前歯があたらないようにと顎を目一杯ひらき、しかし唇は夫のそれに吸いつかせ、…くくった髪の根元を掴まれたまま、僕は懸命に頭を上下させてそれをちゅぷ…ちゅぷ、としゃぶる。
「……ん…♡ …ん、♡」
ああ、奉仕させられている――。
…無理やり、髪を掴まれて、乱暴にしゃぶらされている。…僕の清廉 な唇が、僕の可憐な舌が、自分の淫らな愛液と夫の先走りにまみれた、猛々しい淫欲の証を、…快楽、背徳、背信、愛しさ……。
「…舐めさせられたい、だって。…初めて舐めさせたときはあんなに嫌がってたくせに…、今じゃウワハル、俺のおちんぽ舐めるの大好きになっちゃったね……」
「……、…、…」
べ、別に…大好き、というわけでは……。
当然顎も疲れるし、細心の注意を払わねばならないし、…何より…陰茎を口にふくんでしゃぶるこの口淫という行為は、ひどくみだりがわしいようで…――それに君、たまに意地悪をして僕の口に精を出したり、僕の顔にかけたりするから……。
「…飲まされるの好きなくせに…。うん…でも、ウワハルの顔にかけるの、君が綺麗だからこそ俺もめっちゃ興奮するんだよね…。なんか美人の君を俺だけが征服してるって感じがあって…――まあそもそも、その上品な唇にしゃぶらせてるだけで征服感満々でたまんないんだけど…――俺、ウワハルが清雅 な美人だからこそ、俺だけにそういう淫らなことさせたくなっちゃう……」
「……、…」
僕の頬や耳あたり一帯がかあ…っと羞恥の炎に炙 られる。
……どうしてそんな…この変態め、…僕はそっと眉を寄せながら目をつむり、夫の勃起をやはり絶えずちゅぷちゅぷとしゃぶってやりながら――自分の勃起をゆるくしごく。
「…ふふ…それに君だって、いつも俺のちんぽしゃぶってるだけで興奮してんじゃん……」
「……、…」
だって、…我が身にもまるで同じものが備えつけられていればこそ、シタハルの陰茎に触れさせている自分の唇や舌の感触が、自分の陰茎にまで何かかすかに共感されるようなのだ。
ましてや夫のそれが雄々しく勃起すればするほど想起される、その力強い存在が自分のなかに攻め込んでくるあの震えるような快感、それが僕の奥を突き上げるあの身も心も支配されていると感じる快感、…こんなに太く長く硬いものが信じられないことに自分のなかにすっかり入ってしまうのだ、夫のこれが今から自分のなかを荒々しく犯すのだ、…僕は自分が今から犯されるために丹念な口淫奉仕なんかしているのだ、…すると、今すぐの闖入 さえやぶさかではないと思えてしまうほど、僕はいつも奥底のほうで期待してしまうのだ。
「…んぐっ、?♡」
……夫の亀頭が僕の喉を突く。
どうもシタハルは攻撃的な興奮が増してしまったらしく、掴んでいる僕の結わえた髪の根元をぐいぐいと引っ張ったり押したりしながら、なおかつ僕の口の中でそれが行き来するように腰を小刻みに突き上げる。
「…ん゛っ…!♡ …ッんフ゛、♡ ぐ、…んん…っ♡ んぐ、♡」
ぐちゅぐちゅと喉の入り口を突かれ、…苦しい、…僕の顔中がその苦痛に熱くなり、僕のぎゅっと閉ざされたまぶたの下からは涙があふれる。
僕の喉の奥から粘液があふれて夫の太い勃起にまとわりついてゆく。それを潤滑油ににゅるにゅると僕の舌が、すぼめたままの唇が、その硬く熱いものにこすられて、――♡
「……ッぐ、♡ ……〜〜〜っ♡♡♡」
…気持ち、いい……っ♡♡♡
えづくたび背筋をぞくぞくとした悪寒のような快感がなめ回す。ゆさぶられる髪の根元が痛む、息がうまくできない、口の中を荒らしまわられている、…だが、君にこうされるの、…好き…――♡
こうされたかった、♡♡ ……しかし、僕の結わえられた後ろ髪の根元をぐうっと持ち上げたシタハルは、僕の口から自分の剛健 な陰茎をずるるっと抜き出した。
「……っは、♡ ゲホ、…はぁ、はぁ、…」
今日は…僕の喉の奥まで、この愛おしいものの根本まで、…挿れて、くれない…のか……。
僕の喘ぐ口からたらたらと流れ落ちる粘液が、夫のそり返った勃起に垂れまぶされる。
「ごめん…、俺、今はそこまでの余裕ないから…」
とシタハルは少し申し訳なさそうに笑うが、…そのわりに僕の髪を引っぱり、僕を再び褥 にドサッと引き倒す。
「……ぁ…っ!」
あぁ…♡ ――僕は片手を褥に着き、腰をひねって夫を潤んだ目で見やる。
「…さてと。…余興はもういいから、早く〝おねだり〟してよウワハル…――ね…こういうとき、ウエはどうやっておねだりしたらいいんだっけ……?」
と、そう妖しい暗い微笑をその精悍な顔に浮かべたシタハルを見つめる僕は、…僕はもうこの夜の王の支配欲というその媚薬に、すっかり身も心も侵 されていた。
はぁ、はぁと上ずった熱い呼吸で唇を湿らせる僕は、自ずから白い清らかな布団に両手と両ひざを着き、夫に自分の濡れた尻を向け、
「…だ、旦那様……」
……しかし片頬を布団にあずけては震えている両手で、自ら尻たぶを割りひらいた。いや、自分のいやらしく発情した膣口を夫相手にあらわにし、王への服従を示したのだ。
「…どうか、ぅ、ウエの、…ここに…く、下さい……」
「え?」
しかしシタハルは「とことん」との宣言通り、これくらいの辱 めでは許してくれなかった。――この状態の夫は、僕をいっぱい可愛がって くれる…、あぁ、嬉しい……♡
くちゅくちゅと僕の熟れた膣口を、同様に熟れた亀頭でこする夫は、
「……ウエのこ こ はなんて言うんだっけ…?」
「……ッ♡」
その厳しさがまた僕の子宮をなめ回すように刺激する。
「…ぅ…えの、ぉ…おまんこ…」
ああ僕、なんてことを、なんて下品なことを、…
「聞こえないんだけど」
「うっウエの、ぉ、おまんこ、…」
僕は泣きそうになりながらも声を張った。
「どうかウエのおまんこに、…旦那様のぉ…おち、…お、おち、んちん…、おちんちん…、…ウエの子宮まで、ぜんぶ、ぃ、挿れて、…ください、…」
泣きそうだった。それくらい恥ずかしい。
……何度言わされても恥ずかしい…――しかし、僕はこんなセリフを口にした途端、じわーーっと脳が熱く悦ばしくしびれてゆくのを感じた。
そのしびれは僕の気高さを踏みつけにした。ただしそれは、そうしておのが矜持を踏み台に、僕が服従や隷属の、――夫の支配におもねることへの――快楽へと素直に両手をのばせるよう、僕の魂が悦びながら分泌している麻酔に違いなかった。
……しかし、ぐりっぐりっと彼の亀頭が僕のやわらかい濡れた膣口をえぐる。…これは「もっといじめたい」の合図だった。
「でも、ほんとにこのまま挿れていいの…?」とシタハルが嘲笑めいた声で僕に確認する。
「……ッ、……」
実は僕は、この体位があまり好きではないのだった。
なぜならこれはもっとも本能的な、動物的な体位だったからだ。まるで犬の交尾のようだ、と僕は普段からこの体位を蔑 んでいた。
しかし僕の意に反して、…いや、精神的にも「今から犬のように犯される」というのに興奮して――なぜなら僕は自らこの体勢を取ったのだ――、僕の尻は夫の熱い勃起に愛液をぬるぬると縦にこすりつけてしまう。
「……、ぃ、犬で…いいから……」
「…え…?」
「シタハルの…盛りのついたメス犬で、いいから、…交尾…でも、い、いいから……」
僕は自分の膣口を開いたまま、媚びるようにそこをシタハルの勃起にぬちゅぬちゅとこすりつけ続ける。
お願い、お願い、お願い――僕の頭のなかはもう夫との「交尾」でいっぱいになっていた。
「お願い…、もうなんでもするからぁ…っ♡ ウエの淫らなおまんこに…旦那様のおちんぽ、奥まで挿れてぇ…――獣みたいに乱暴に犯してぇ…――発情したメス犬のウエと、いやらしい交尾いっぱいしてぇ……♡」
「……はは、かわいー…っ!」
「っンあ、?♡ …〜〜〜っ♡♡」
一気に押し入ってきたシタハルの勃起は、にわかに僕の子宮をずんっと突きあげ、僕は思わず顔を上げた。――夫が僕の腰をつかみ、獣のようにパンパンと夢中で僕の奥深くへまで勃起を打ち込んでくる。
その僕の上半身が縦に揺れるほどの力強さに、僕は支えに胸板の下に折りたたんだ両腕を敷いて、
「…ぅんっ…!♡ んんっ、♡ んっ…!♡」
必死に唇を引き結び、みだらな声を押し殺す。
「ウエ、今夜は声出さないならやめるよ、…」
「…〜〜っん、♡ …ぁ…っ♡」
やめないで、やめないで、やめないで――僕は口を開いた。
「あっ…!♡ あっ…!♡ あっ…!♡」
あぁ、ああどうしよう…――気持ちいい…っ♡♡♡
僕はシタハルの猛攻にただひたすらの声、なす術無しの声、…いいや…。
「あっあっ…♡ あぁ、♡ あぁっだめ、♡ だめ、♡ だめっ…♡ あぅう、♡ あっ…♡ ああぁ……っ♡」
本当は唯一無二の夫に可愛がられたいための甘えた嬌声を、あたかも「不本意な」ふうにあげていた。
「はは、そんなに声出して…気持ちいいの…?」
と聞いてくる夫の声は、しかしいつもの通りにやさしく余裕ぶっている。
「ぁうっ♡ …っは…ぅ、♡ …〜〜〜っ♡♡」
やめ…ないで、…やめないで…――言えない、
でもやめないでぇ……しかし案の定シタハルが動きを止めてしまう。
「…ほんとうは気持ちよくてたまらないくせに、…」
と僕にその余裕を誇示しようとした夫の声には、本能的な肉体の駆使によって散り散りにあがった呼気が含められていたのだ。
要するに彼のその「余裕」は、普段は対等、ともすれば若干下手 に回りがちな自分が、褥でばかりは僕よりも優位に立とうと、可愛い支配欲を抱いているがゆえの――僕をたやすく、こころよく支配する――愛おしい、なまめかしい「作られた男の余裕」だった。
「…ほら…俺のおちんちん、気持ちいいんでしょ…?」――シタハルの亀頭がぐりぐりと僕の子宮口付近を押し上げながらこすってくる。
「……は、…ァ…っ♡ …ンん、♡ …〜〜っ♡」
コクコクとうなずく僕の下腹部――夫の勃起に攻めこまれてなお守りの脆くなった僕の子宮が、
「…本当は誰より淫らなんだもんね、ウワハルは…。昼間はあんな高飛車なくせに、ほんとは俺のおちんぽ毎晩おまんこに咥えこまないと生きていけないんでしょ…?」
「……〜〜〜っ♡♡」
彼のその意地悪なセリフにまでツーンと歓 び、軽い絶頂のせいで、鼠径部 や内ももがぶるぶると震えながら力む。
「…はは、…はぁ、…すごい締まって、ウエのまんこにゅるにゅる絡みついてくる、…ウエの体が〝そうです、もう僕は毎晩シタハルのおちんぽをもらわないと生きていけません〟って言っちゃってるね…、……」
そう嬉しそうに笑ったシタハルは前のめり、下から僕の顎をく…と上げ、
「ほらウエ…ちゃんと言って…? 言わないと終わりにしちゃうから……」
と更なる意地悪をもって僕の耳を、子宮を上からやさしく撫でまわして愛撫してくる。ピク、ピクッと僕の下腹部は、その焦らされるような快感にさえ甘い反応を生じさせてしまう。
「はぁ…はぁ…ゃ、やだ…やだ……」
僕は悩ましい思いに眉をひそめながら目をつむり、もじもじと自ら腰をわずか前後させ、彼の勃起を包みこむ己の熟れた果肉を気休めになぐさめる。
くち、くち、…と、…しかし、本気で落城をもくろむ戦士の攻め方とそのような気休めの慰めとでは比にならず、これはさながら渇 きを覚えた舌に一滴、一滴と一滴ずつ水を垂らしてゆくようなもので、かえって我が身のせいで物足りなさばかりが募ってゆくだけだった。
「はは…自分で動いちゃだめでしょ。もう…」
するとシタハルは上体をもとに正し、僕のゆらめく腰をつかむ。
「終わりにしてほしくないなら――なんて言うの…?」
と僕の夫が、――僕の夜の王が、――あたかも賢王らしいやさしい声でありながら、しかと僕の身の上にもっている王の権力を振るってくる。
……ああ、恥ずかしい……しかし僕はその己の羞恥さえ快感として楽しめるほど、今や夫の危険な権威におもねる快楽に酔い痴 れている。
「…き…きも、ちいい…、…気持ちいいの…、シタハルのおちんちん、すごく気持ちいい……」
ああ…ああこんなこと言ってしまうなんて、恥ずかしい…僕、なんて淫らなことを…――夫の勃起の太く硬い剛健な形が、僕の恥じらって縮こまる果肉にしかとくい込む。
……だのに僕は抗えない欲望から自ら腰を前後させていた。ぱちゅん、ぱちゅん、と僕が夫の恥骨に尻を打ちつけるたび、僕の尻はねばついた自分の愛液を夫の恥骨とのあいだに糸引かせている、そんな淫らな音を今の僕はきっとあえて立て、夫に聞かせてやっている。
シタハルのおちんちん、……シタハルのおちんぽ気持ちいい、♡ 気持ちいい、♡ 気持ちいい、♡
「ぁ…♡ ぁ…♡ …ぁうぅ…♡ …気持ちいい、♡」
ほとんど泣いているように顔をかすかにしかめ、僕は夫の勃起が自分の膣壁をこすり、夫のカリ首が奥のほうの肉をひっかき、そして夫の亀頭を奥に押し付ける――押し付けたなら二度三度夫の先端に子宮口をくちくちとこすりつける――この快感の虜ともなっていては、腰の往来をやめられない。
「……ふふ、…」
と笑ったシタハルが、胸の裡で『なんて背徳的なんだろう』と満足げにひとりごちる。『この揺れる結わえた長い黒髪、このえり足のおくれ毛、この汗ばんだ白いうなじ! この淫靡 な俺の夫はなんとあの昼間のウワハル、これはあの気の強いウワハル、こうして髪を結っていては、まるであの昼間の高潔なウワハルがこうして、生白い背中をあらわに、いいや、あの守りの固い着物を何もかも脱いで、自ら脱いで、そして自ら淫蕩 に腰を振り、快感を貪 っているとしか見えない!』
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