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そりゃあ、そりゃあもう……そりゃあもう…――至高の幸福に…全身を……。
………包み込まれなかった。
「っは、…はぁ、…や゛、やっと全部はいっ…入った゛、……っ」
……俺は耳の奥の警告的な甚 だしい鼓動のそのドクッドクッドクッという音を、われ知らず奥歯で噛みころす。――痛すぎ、…狭すぎ、…俺のちょっとしぼんだ半萎えの陰茎が、先端から根本まで、ウワハルのその過ぎるくらい窮屈な膣内に全体をキリキリと絞 め殺されかけている。
そもそも挿れるのだって決して、決して、決して容易じゃなかった。
まず俺が目で確かめたとおり、ウワハルの膣口はやわらかいけれどもほんとうに小さい、小さい、穴とも思えない薄もも色の肉ひだの集合体、みたいな感じだった。――で…俺が自分の亀頭をぐうっと押し込もうとしたら、…入らない。
そう…なかなか入らなかったのだ。
兄のその「入り口」はもはや入り口とも呼べないほど門が固く閉め切られていて、とにかく反発力がすさまじく、お互いのぬるつきもあっては「ぬるんっ」と俺の亀頭は上にすべって――ウワハルの膣口をただ上にこすっただけのようにすべって――、そのなかに入ることを幾度も拒否されてしまった。
……とにかく手こずった。何度も「位置」を確認し、何度もぐっと押し込もうとしては「ぬるんっ」を繰り返し――俺もウワハルも冷や汗をかくような気まずい無言のさなか、一心に『入れ…入れ…』と願っていた。
そして俺は次第にちょっと怖じ気づきはじめた。
……まず軽くて優しい力じゃ無理だ、と、ここにきて察したのだ。――もはやこの瞬間ばかりはウワハルの体の痛みを顧 みないくらい、とにかく…とにかく全力というくらい、それこそウワハルの体を壊す覚悟の力押しをしなければ、きっと俺は兄のなかには入れない。
でも、…可哀想すぎるじゃん、それは…――。
それこそぐううう…っととにかく強く、無理やり、まるで暴力をふるうように押し込まなきゃいけない。
ウワハルの痛みを見ないふりして、わがままに、身勝手に、まるで犯すように――侵略するように、とにかく力押しで推し進まなければならないだなんて、…ここからは絶対優しくする、とウワハルに誓ったばかりなのに……。
ただ、ウワハルは俺のその苦々しい葛藤を察し――恥ずかしそうにカタカタと震えている両手のその白く長い指で、くぱぁ…と自分の初心な膣口を目いっぱいひらいた。それは少しでも俺が入ってきやすいようにだけれど、それでも「穴」は見えない。
――そのまま兄は『いいよ…』と、優しく甘い年上の声で言った。
『来て、シタ…、痛いのは元より当然のことだ…。耐えるから…――僕は…その痛みをもきちんと乗り越えて、必ずシタと一つになりたい…。…僕は……』
そしてウワハルは眉尻を下げ、可憐な涙目で、美しく俺にほほ笑みかけた。
『…僕は…夫のシタハルが己に与えるその痛みさえ、必ず君の夫として喜ぼう…――それは幸せなことだ…、その痛みは僕の幸せなのだ…――だからどうか、僕にその幸せな痛みを与えて……』
つまりウワハルは「力押しをして構わない」と俺を許したのだ。――まるでその力押しが、その力押しがもたらす痛みが自分の望みかのように、そう言うことで俺の心の負担を軽くしようとやさしく気遣って。
でも、兄のそれはほとんど『僕を壊していいよ』と許したようなものだった。…どのみちそうしなきゃいけない、他に方法はない、とはいえ、……
『わかった、…』
……俺はウワハルのその健気 さに勇気づけられた。…これを乗り越えなくてなにが夫夫だろう。――この狭き険しい道は、いずれにしても俺たち夫夫が必ずともに乗り越えなければならない難関だった。
どっちみちいつかは俺たちはこれを乗り越えなければならない。…ならば今、少しでも早く…――。
だから俺は、とにかく押し込んだ。
ぎゅっと目をつむり、眉を全力というほど強ばらせ、ウワハルのその反発力のすさまじい固く閉ざされた入り口を、自分の太い先端で無理やりこじ開けるように――布団に着いている膝から太ももに、お尻に筋肉が浮きでるほど力を込めて、全身の重みを腰一点にかけて、ぐーーっと無理やりに押し込んだ。
自分の硬い勃起が折れるんじゃないか、というくらい、強く、強く…とにかくウワハルの膣口一点に、すさまじいほどの力を込めた――メリメリ…とウワハルの膣口が裂けてゆく恐ろしい感覚があった。
『……っ、…』
俺は一瞬また弱気になりかけた、…きっと今ウワハルはかなり痛い思いをしていることだろう、と――だって肉を俺に裂かれているのだから、――、…でもここまできて進む意志を弱めてしまえば、俺はたちまちまたにゅるんと押し戻され、きっとそうしてまた外に追い返されてしまう。
するとまたはじめからやり直しだ。もう一度こんな思いをさせるほうがウワハルを苦しめることになる。
俺は再度意志を固くした。
あえて残酷になろうとした。それによって自分を鼓舞した。狭い、キリキリと締めつけられるこの痛み、…俺は合わさった上下の奥歯がギリッときしんだ音を立てるほど思いきり顎を引き締め、…ウワハルの腰を掴んで、残酷にも強くぐんっと引き寄せた。――『ぅ゛、』とウワハルがうめいた。
それはずぶんっと俺の太い亀頭が、兄のその狭いところを開裂 させながら、侵寇 したせいだった。…まだ亀頭しか入っていない。でもドクンドクンと俺の陰茎は全体が脈打っていた。ただその鼓動は痛みで、快感のそれじゃない。
『っは、…はぁ、……』
……俺はひと息ついて薄目を開けた。
見下ろした先、俺の亀頭ばかりはすべてウワハルのその薄もも色の固い膣口に呑み込まれていた。…ほんとうに入ってしまうものなんだ、…と思った。――あんなに小さかった兄のそこは、その小ささにしては不当なほどの俺の亀頭の太さに広がっていた。…それに、兄の裂けたそこからは血が出ていた。白い無垢な布団に、無垢な紅いしみをつくっていた。
……俺はその紅いしみを見てまた恐ろしくなった。
でも――次に見たウワハルの顔が痛みにゆがみ、真っ赤になって、脂汗をかいて…――それなのに俺と目が合うと、兄はぽろ、と弱々しく細まった目から涙をこぼしながらも、…ふと苦しそうに微笑んだ。
『あぁ、気持ちいい、…幸せだ、…』
ウワハルはそのカタカタ震える赤い唇で、震えた声で、気丈な嘘をついた。
……俺も眉を、顔を強ばらせたまま、笑い返した。
『…俺も、…ウエのなか、気持ちいいよ、幸せ、…』
俺も嘘をついた。…痛かった。でも、嘘をついた。
俺はウワハルと両手を、指を絡めて繋いだ。そしてここからは「教え」の通りゆっくり…少しずつ、彼の熱く狭いなかを行きつ戻りつしながら、畑の土をやわらかくたがやすような開拓の気分で、少しずつ奥へと進んでいった。
ただ幸い、もちろん拓いてゆくように進まなければならないくらいかなり狭いながらも――兄のなかはやわらかくたっぷりと濡れていて、ぬるぬるとなめらかだった。…いや、絡みついてくるような深いひだやざらつきやはあるようだったけれども、入り口付近の固いキツさが嘘のように奥のほうはぷるぷるとやわらかく、…入り口という難関を抜けてしまうと、俺は少しずつ痛みの中にも快感を見いだせるようになった。
『……シ、タ…、はぁ……』
はぁ、はぁとしきりに赤い唇で喘いでいるウワハルは、儚げな苦悶の表情を浮かべ、ぽろ…ぽろとその切れたまなじりから涙をこぼし、その綺麗な涙をこめかみへ伝わせながらも――俺のことを、その潤んだ青白い瞳でじっと見上げていた。
『…シタ…、……シタ……』
あえかな吐息の声で俺の名を呼ぶウワハルの、その苦悶の表情をうかべた美貌は決して微笑んでなんかいないのに、どうしてか儚げに微笑んでいるように見えた。
それは、俺にすがるような――すがるものが夫の俺以外にないとまで追い詰められたような――兄のその美しい青い光沢のある瞳が、愛おしげに微笑して俺の目を見つめていたからだろう。
『ウエ、…好きだ、君が一番綺麗だ、ほんとうに、…ほんとうに綺麗だ、…ウエ…、……』
俺は上体を低くしてウワハルに口づけた。
俺の指の股をきゅう…と締めつける兄の愛おしい両手の指…――すると、一番奥の付近になると、何かその一番奥に吸い上げられるように、俺の陰茎はぬるーっと自然に呑み込まれ――いよいよ俺の恥骨は、ウワハルの膣口に密着した。
……ウワハルの唇を食みながら思う。相変わらず根本が一番キツい。いや、狭すぎて全体がキリキリと痛んでいる。…俺の陰茎の先端から根本まで、絞め殺されそうなくらい締めつけられている。
で、……
「っは、…はぁ、…や゛、やっと全部はいっ…入った゛、……っ」
なんて唇を離しざま、俺は痛みに喘ぎながらその「達成」を、これでも喜んでいる。…すぐ痛くて奥歯を噛みしめたけど。
……正直ちょっとしぼんじゃってる。俺の頭から、顔から、うなじや首筋から夥 しくふき出る脂汗が、ポタポタと下のウワハルにしたたり落ちる。
「はぁ……はぁ…、……」
……ウワハルはというとボーッと放心状態だ。俺よりなにより彼のほうが相当痛かっただろうし、きっと今もズキズキと痛んでいるはずだ――俺がやむを得ず裂いてしまった入り口は特に――。
でも、ウワハルはうつろな表情で俺を見上げ、
「入った…、はぁ……よかった…、…だが…君も、痛いだろう…」
と俺を心配してくれる。
ウワハルが、ほんとうに愛おしい。
「俺はだいじょぶ…、へへ……ごめん、痛い思いさせて……」
「……ふ…それはお互い様…、…はぁ…それにしても…、何故だ…はぁ、…聞いていた話と違うぞ…」
とウワハルはぼんやりした微笑み顔のままボソリ、そう冗談っぽく不満をもらす。
……まあ確かに、聞いていた話と違う。
伊弉諾 の大お父様と伊弉冉 の大お母様が、俺たちに目合いとはなんたるかをお教えくださったとき、そのお二方は間違いなく(正直若いころの記憶ともあって美化してたんじゃないの、なんて今は生意気な推察をしそうになるくらい、とにかく、とにかく)「もっとも気持ちよくって幸福な行為」であるとおっしゃられていた。――それこそ全身が至福に包まれ、その幸福のあまり気が遠くなるようですらある……と。
……いやいや、むしろ痛みで気が遠くなりそうだったけど……?
ただ、
「でも大お母様も言ってたじゃん、ほら……」
大お母様はこうもおっしゃられていた。
『何事にも〝初め〟には苦痛が伴 うもの…、しかし〝始める〟という苦痛を勇気を持って乗り越えさえすれば、そのあとはその辛酸 を嘗 めたような痛みをさえすっかり忘れられるほど、この身全てを包み込まれるような名状しがたきよろこびを味わえるようになるのです』と。
「……なら…、……」
……そう何かを言いかけて――ウワハルは、…こて、とうつろな顔を気だるそうに斜め下へ伏せた。
「はぁ……はぁ…、…もうよく…わからない……」
「……、…」
色っぽい…このうす赤いうつろな、憂い顔……。
俺はシクシクと痛む自分の陰茎が、それなのに、だんだんウワハルのその狭いなかでまた膨らみつつあるのを感じる。
……それに俺…なんだか、だんだん…――。
えっと、でも……イザナギの大お父様はまず『〝一つ〟となったらシタハルの方はすぐ動くでない。しばし潔 く堪 え留まれ。』と…、…まだ動いちゃ、だめなのか……。
動き出していいのは…――。
『そして、お主らの二 つ の 器 が 一 つ に な っ た 、との感覚があったなら……』
「……?」
一つになった…感覚…?
何となく抽象的でよくわかんないけど……(物理的には「一つ」になってる…けどね……)。
それで――『そのあとは……』
そのあとは…――伊弉諾 の大お父様はいかめしい立派なお顔立ちの男神だが、…「教え」を受けるため、ご夫妻のお宅にお邪魔した俺たちにこれを話して聞かせてくださったときばっかりは、彼もはにかんで笑いながら、
『……しかし、わたしと妻とが〝一つ〟となったとき、わたしも彼女も〝そのあとどうしたらよいか〟をまるで知らず、そのまましばらくぼーっと呆けていたものだ…』
『うふふ…懐かしいことですわね、あなた…』
と大お父様の隣に座られた、凛とした美貌の伊 弉 冉 の大お母様が、その顔を可憐にほころばせる。
『ああ、まことに。…しかし、すると困りきったわたしたちのところへある一羽の鶺鴒 が飛んできて、…なあ、振 っ た の だ よ 。振 っ た の だ 。振 っ た 。…そうしてわたしもとにかく振 っ た 。…ははは…』
俺たちは「ははは…」と一斉に笑った。
……ただし、俺の隣のウワハルを除いて…、ウワハルだけはきょとーーんとしていたのだ。
『……???』
振った? ……振った……? 振った……。
なぜって、ご夫妻の家に集った四柱のうち、この潔癖な兄だけはその「振った」の「意味」を知らなかったからだ。
つまり無防備ではなくなっても無知は無知のままの兄は、その「振った」の意味を完全に理解してニヤけている俺の隣、『振 っ た とは…?』と並んですわられた大お父様と大お母様の顔を見比べながら、尋ねた。
……するとお二方は意味深な笑みを見合わせ、それから大お父様は目をつむり、腕を組んでうむうむと力強くうなずきながら、『急がずとも、お主とていずれは自然と知ることになる…』とだけ答えた。
……てか、
「……、…」
そっか…なるほど…自 然 に 、か…――。
じゃあ俺のこの「衝動」――今俺の勃起の根本にどんどんうずうずと溜まってゆくこのおそらく「本能の衝動」も、…自 然 ?
ならひょっとして、も う い い 、ってことじゃない…?
「…ねぇウエ…、そろそろ振 っ て いい…?」
「……? 振るって…何を…?」
ウワハルはきょとんとして俺を見上げたが、…ふ、と顔をまたやや斜め下へ伏せ――恥ずかしそうな切ない顔をしながら――俺のほとんど開かれた黒い浴衣の布の下、…そっと震える手の指先で、俺の乳首の先をやさしく撫でまわしてくる。
「……ぁ、あの…ところで、…これは、淫ら…だろうか…?」
「……へ…?」
……いやまあ、…淫らじゃないって言ったら嘘、ではあるけど…(乳首さわってたらね、そりゃ…)。
するとウワハルはきゅっと眉を寄せて目をつむる。
「…や、やっぱり…、…〜〜〜っ」
「……ふふ…」
自分から愛撫したごときで恥ずかしがってるのめっちゃ可愛い…。
「だが、」としかし、ウワハルは恥ずかしそうなまま薄目を開け、伏し目になる。
「ふ…触れ合えと…お互い…、…大お父様と大お母様は、お互いに……しかし…それなのに僕は、シタに触れられてばかりで…――で、でも…その……」
そして、またうるうるの切ない目で俺を見上げてくるウワハルは、「好き…」と可愛いかすれ声でいいながら、やっぱり俺の乳首をさわさわ。
「好き…、触れたいのだ…。淫ら、でも…今は、とても…シタに……ふ…触れたくて…、ど、どうしても…――君を…気持ちよくしてあげたい……」
「……ぅぁかわい……」
可愛すぎ…そういうこと言われてされると余計に例 の 衝 動 が……ただ別に俺、実はそこ触られても気持ちいいのかどうかはちょっと微妙かも…――するとウワハルが「え、」と俺の目を見上げる。
「気持ちよく…ないのか…?」
「…ん、まあ…でも、きもち…いい…ような、気も…しないでも…?」
ないけど、そりゃ…――何よりウワハルに愛撫されてるってだけで嬉しいし、――ただ感覚としては、肌を愛撫されてるなーって感じかなぁ…?
「……しかし君、一人で己の体を触っておけとあれほど……」
「まぁ、言われてたけどぉ……」
ウワハルが言っているのは例の、神氣をため込んでおくための「寸止め自慰」のことだ。
ただそれには己の体を差し出すべき伴侶への、その「贈り物」をより素晴らしいものにできる――すると感度を上げられる、己の気持ちよい場所を知っておける、その結果伴侶もまた喜んでその場所を愛撫できる――と、つまり情交をより情熱的で楽しいものにできる、なんて目的も含まれていた。…ので、こうして乳首でいまいち感じられない俺を、兄はいぶかっているのだった。
「でも俺…実は自慰で触っていたの、おちんちんばっかりで……」
「この怠け者…」――ウワハルがちょっと不服そうに俺を見上げる。
「僕は恥を忍んであちこち触っていたのに…」
「…でも…」
俺はムッとする。
「ウエと一つになれる場所だけでいいと思ったの。だって、それが俺の欲する唯一の幸せなんだから。…それに俺は、ウエがあちこちで可愛く感じてる姿を見られるだけで十分だもん。」
「……、…♡♡」
すると…とろぉんとした顔をするウワハルは、腰をゆらゆら――なかをきゅうきゅう…――俺の背中を抱き寄せながら、切ない半目開きでじいっと俺の目を見つめてくる。
「あぁ…♡ 好き…♡ 好き、シタ…♡ シタぁ…♡」
「……はは…、……」
俺にとっては幸い、媚薬はまだ効いてるみたい。
「はぁ…は…、シタ…♡ シタ、好き…♡ 好き…♡ 最近…君の肌を見ると、僕……――僕…、実は体が、どうしようもなく熱くなって……、それなのに…なんだか、体の奥が寂しくて……」
「……、…」
ゴキュ、と俺の喉が鳴る。
ウワハルは「だから、ここを…」と目を伏せながら、自分の下腹部を撫で…――恍惚と微笑む。
「…ずっと撫でてばかりいた…♡ あぁ…♡ 僕のこんなところにまで君が…、はぁ…やっと…ここに…、やっとここに…君が、きてくれた……♡ ふふ…♡ ――いま…僕のなかに、大好きなシタがいるだなんて……なんてしあわせなんだろう……♡」
「……、…、…」
俺もう無理……。
ただ念のためウワハルにこう尋ねる。
「もう…痛くはないの…?」
するとウワハルは、「ん…?」ととろんとした顔で俺を見上げ、
「…入り口はまだヒリヒリするが…、なかは…幸せがいっぱいに満ちている感じだよ…?♡」
なんて……うっとりと微笑むのだ。
それも腰の揺蕩 を大きくしながら……。
「ぁ、♡ ぁぁ…♡ …?♡ ……??♡」
そしてウワハルは、なんだか不思議そうな、けれども恍惚とした顔をして、また斜め下へ顎を引く。
「ぁぅ…♡ な、なんだか…? ぁ…♡ ぉ、奥が…♡ おく、が……♡ きもち、いい……?♡」
「……、…、…」
奥…当然だ、…ウワハルが腰をもぞもぞくねらせれば当然、俺の亀頭の先はウワハルの肉厚な子宮口を小さくこすっている。
挿れたばかりのときはコリコリとしていたのが、今はむにむにとした柔軟性を帯びてきたばかりに、そこがまるで分厚い唇のように俺の先端にちゅうっと吸い付いてくる。…その状態でこすられたら、
……俺は美しい兄のそのなまめかしい恍惚の、それなのによくわかっていない無垢なその表情、そしてその快感をむさぼる肉体に興奮、…ましてや俺も、だんだん痛みより兄のなかが与える快感のほうがまさってきている上、敏感な先端をそうしてくちゅくちゅとくすぐられちゃったら、
「ねぇほんと…もう振 っ て いい…?」――とか聞いているくせ、俺はもうすっかりその気で腕を立てる。
……するととろんとしてはいつつも、ウワハルが不思議そうな顔をして俺を見上げる。
「……? ふ、振る…? だから…なにを……?」
でも、その兄の清らかな無知がまた俺を駆り立てるのだ。
「だからこう…っ」
と、腰 を 振 る ことに――俺を駆り立てる。
「あ…っ?!♡♡」
ウワハルはにわかに眉目を色っぽくゆがめた。
俺にどちゅっと奥を突かれたからだ。――俺は本能のまま振 っ た 。とにかく振 っ た 。
「あっあん…っ♡ あん、♡ や、♡ …っ??♡♡」
ウワハルのこの甲高い声! この色っぽく歪んだ顔!
「はは、…」
それにほんとうだ、…なんて気持ちいいんだろう!
あの痛みが嘘みたいに腰が止まらなくなる。
まるで真空でもされているんじゃないか、というくらい俺の勃起をぴったりと隙間なく包み込み、締めつけてくるウワハルの膣内――この熱いほどの心地いい温度、このぷにぷに、ぬるぬるとしたやわらかさ、その狭く熱いなかにぎっしりと内蔵された深いひだやコリコリとした場所や、ちょっとザラザラとした天井が、にゅるにゅると彼の愛液と共に絡みついてくる。
……それに奥へ突き入れるたび、俺の亀頭の先端は兄のむっちりとした子宮口に吸いつかれたあと、ぐちゅ…っと、その周りのとろけるようなほどやわらかい溝 に全体を包み込まれる。それも、そのやわらかい溝にはプツプツとした突起が、深いひだが、そこにたっぷり溜まっている愛液とともに俺の敏感な亀頭ににゅるにゅる、ねっとりと絡みついてくるのだ。
「っはぁ、……っ」
実はもうちょっと出そう、かも、…やばい、溜めてたのもあって、…でも腰とまんない、
……俺にはげしく縦に揺さぶられているウワハルは、恥ずかしそうにその美貌をゆがめながら、その赤い半開きの唇から洩 れでる、愛撫のときのそれよりももっとしおらしい、可愛い、奥深くから上ってきた深い吐息のなかに紛れている上ずった艶のある声を、
「あふっ…♡ あんっ…♡ あ、♡ あ、♡ あ、♡ やっ…だめ、やあっ…!♡ な、なに、なにっこの、あっ♡ あっ♡ いやっ…いやだ、こ、この声、…こんな声、いやっ…」
……未知のそれと恥じらって、口をふさごうとした。けれども、
「だめっ…へへ、…」
と俺はウワハルの両手をすかさず捉え、兄の両耳のそばに押し付ける。
「その声めっちゃかわいいよウエ、…聞かせて、…」
「へ、? でっでも…な、あ…っ♡ っあ…♡ な…なん、だか…変、なぁ…っ♡」
……ここでウワハルがぎゅっと目をつむり、ぐっと腰を浮かせ、体をのけ反らせるようにして強ばらせる。
「あぁ、♡ まっ…!♡ ぁ、♡ らめ…っや、♡ やだ、あぁな、♡ なんか、おか、しいの…っ♡ ぼく、おかし、♡ ぅあっ…あぅう…っ♡ まってシタ、シタ、…らめ、まってっぼく、♡ ぉ、おなかが、…あ…っ♡」
「…お腹が、なに、…」
「…わっわかんな、♡ わかんない、♡ わかんない、♡ でも、な、♡ なんか…へ、へんらの、♡」
わかんない、わかんないと泣きながらかぶりを振るウワハルのなかがきゅーーっとせばまる。――入り口は特にキツいくらい、奥のほうはまるで俺を奥へ奥へと吸い込もうとしているみたいに、…そして、
「あっ…ぅ、♡ やっやら、♡ やら、やらやらやら、♡ …ぁッらめ、…〜〜〜っ!♡♡♡」
……目をつむったまま、ぎゅっと顔をしかめたウワハルの体が、ビクンッ! と大きく一度跳ねた。
ぎゅうっ…ぎゅうっ…と俺の勃起した陰茎が熱いぬるぬるの肉壁に揉みしごかれながら奥へ奥へと断続的に吸いあげられ、俺の亀頭の先にむっちりと吸い付いてくるその肉厚な子宮口は、…
「……ぅっやば、――…っ!」
俺のことも 、…もうイかせちゃった……。
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