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「……ぁ、…はぁー…――もう出ちゃった、…」
俺はがっくりと肩を落とした。
……動きはじめておよそ五分、下手したらそれ以下の時間で、俺はもう射精してしまった。
これはきっとこの半年間溜めに溜めていたせい…だと男としては思いたいところだけれども、…正直、俺が「初めて」だからというののほうが原因としては大きい、…俺はちょっと自分を情けなくは思いつつも、そのことをきちんと正直に認めている。
大お父様いわく本来は、『シタハルは陽の物から氣を放出したくて堪らなくなるだろう。だが、すぐに出してはならん。…溜めに溜めるのだ。そうして氣を溜めに溜め、氣を多く濃くしたのち…――シタハルがウワハルの中にその氣を放つ、というのが望ましい』とのことだった。
が、といって大お父様も『しかし、床入りにおいてはその気負いは無用。初めは早くとも落ち込むことはない。次第に長持ちするようになる。』ともおっしゃっていたし…――ただ何度ためしても「早すぎる」ようなら、気軽に相談においで、ともおっしゃってくださったけれど…――。
ただ俺が「初めて」というのの他に、俺の射精が早かったのには、もう一つわりかし大きめな原因がある。
――それはウワハルが絶頂したせいだ。
それこそ人間の女性たちは未経験だったりすると奥のほうははじめは痛い、と感じやすいそうなのだけれども、運命られた夫夫神である俺の陰茎とウワハルの膣内とは、お互いのためだけにあつらえられたようなもの、といっても過言じゃない――だからさっきまで初心だった兄のなかが俺のに慣れてきても、その凹凸 が寸分たがわずぴったりなのは変わらないという――し、そうなったらお互いの性器の性感帯は、目合いのなかでそのすべてが余さず刺激されるわけで、…また何より俺たちにとっての情交とは、ちょっと大げさにいったら、俺たちが生きるために必要不可欠な行為なのだ。
人間の子たちはもちろん子どもを作る目的でそれをするからしなくても死にはしないが、俺たちの場合は定期的に情交をしないと(万が一、というくらいの低い可能性ではあるけれども)最悪消滅、なんてことにもなりかねない。
だから、生まれつきウワハルのものである俺の陰茎であれば――また生まれつき俺のものであるウワハルの膣内であれば――はじめの破瓜 はともかくとしても、俺たちの体は初めからお互いのもので気持ちよくなれるようにできているらしい。
これはたとえば、人間の子たちが生まれつき眠ることに心地よさを感じ、また生まれつき食事に美味を感じるのと同じようなことだ。…いわば快感を知り、その快感があるから次を求める、それを次々求めて得るから生きられる、みたいな切実な本能ってかんじ。
それで大お母様も、『ウワハルは初めからきっと〝秘め宮〟でも快くなれることでしょう』とおっしゃっていた――けれど、…まさかこんなにすぐウワハルがイッてくれるだなんて、…嬉しいやら…その絶頂の膣内の反応に巻き込まれて俺までイッちゃって恥ずかしい、こんなすぐじゃもったいない、ほんと惜しいやら悔しいやらで、……
「…はは…、…はぁ……」
ため息でちゃうな……。
ちなみに俺は今まだウワハルのなかにいる。
……「統合」や神氣補給のためには、こうして俺の射精後もしばらく一つになったまま、俺たちはじっとしていないといけないらしい。けれども、床入りにおいてはまだ「統合」は無理だろう、とのことだ――わりに難しいことなので、回数をこなさないと「統合」までは成されないらしい――。
「…はぁ…はぁ…、……?」
ウワハルは汗の光沢がなまめかしい真っ赤な顔であえぎ、…おそるおそると薄目を開けた伏し目、今しがた絶頂したばかりの下腹部にそっと…確かめるように手のひらで触れる。
――『あたた…かい…、これが…シタの、神氣…? 〝秘め宮〟に…どんどん、心地よく…溜まって…、…それに…、……? ……?? 僕…いま…? 何…? なにが、起き、て……?』
「はは…ウエは今、イッたんだよ…」
「……え…、い…イッた……?」
ウワハルはとろーんとゆるんだ両目で俺を見上げ、どうもいまいちよくわかってはいないらしいけれども、…といって兄はもう「イッた」の意味くらいはわかっているはずだ。
たとえば「気を遣 る」とか「イく」とか「絶頂」とかってのが意味するこの快感の爆発についても、俺と兄とは大お父様と大お母様から習ったからだ(まあ俺は習う以前に知っていたけど)。
……ウワハルはふと艶めく黒く長いまつげを伏せ、ぼんやりと「これが……」
「……これが…イく…か…。…はぁ……頭が、真っ白になった…、それに…体が、勝手に…――まるで、自分の体ではないかのように…――ビクビクと痙攣して、強張って…、…なんだか…お、恐ろしかった……」
「…ふ、…でも気持ちよかったでしょ…?」
俺がちょっとからかうようにそう尋ねるなり、兄はふと俺をうつろな涙目でまた見上げた。
「いや…よく…わからない…、…その…少なくとも、僕が知っている気持ちよさでは、なかった……」
「……かわいぃなぁもう…、……」
どうしてだろう?
ウワハルのこんなに愛おしくなる顔…――なんだかこの表情はちょっと独特というか、特別な感じだ。
何かが達成されて気が抜けたようでもある。最中よりもうんととろーんとし、すっかり普段の高慢ちきのかけらもないこのか弱そうな、しおらしい恍惚の色っぽい表情…――俺でさえ初めて見た、兄のこの気の抜けたというくらいぼんやりと火照った表情は、なぜか俺の男心をくすぐる。
それで、…なんていうんだろう?
兄のこのぽうっとした表情を見た今の俺の気持ちは、ちょっと複雑なかんじ――ものすごい使命感、…愛おしいこのウワハルをどんな危険を冒してでも守りたい、俺が夫を守らなきゃ、という強い庇護の欲求にも似た使命感――それと優越感、…こんなに美しい兄を、兄の美しい体を今に「俺の夫にした」という優越感、至上の美神の愛らしいこの恍惚の表情を初めて見、そしてこれからも兄のこの顔は夫の俺しか見ることができない、という優越感――それから、
……俺は何となく自分の「いけない気持ち」を察して心に「蓋」をする。…それから、
このぞくぞくとくる快楽はなんだろう?
つい昨日まで俺にありとあらゆる減らず口を叩いていた嫌味ったらしい皮肉屋の兄が、あの自惚れ屋で高慢ちきでいけ好かないあのウワハルが、今はなんて儚げな眉目で俺を見上げてくるんだろう。
ともすれば今の兄は、活気に満ち溢れた年少の子どもよりもか弱い、ほがらかに笑っている健康な女性よりもか弱いかもしれない。…なぜだか「夫の俺に守られるべき」だなんて確信させるようなこの弱々しい感じ――俺の助けの手を頑固な矜持 からしばしば跳ねのける、あの気の強い負けず嫌いのウワハルが!
それに、さっきのあの甲高い声!
なんて弱々しくてか細い、かわいい声だっただろう!
あの色っぽい弱々しい泣き顔、あの俺にただ揺さぶられていた真っ白な無力な細い体、あのすがるような目つき、あの可憐なかわいそうな涙、――俺はきっとあの高飛車な兄を今に夫として征服したんだ!
――あのウワハルが!
あのウワハルが! あのウワハルが!
あのウワハルが、俺の手のなかで翻弄されていた!
あの高嶺の花のウワハルが、もはやウワハル のものでさえなくなり、確かにあのときは俺だけのものになっていた!
すると、これからはこの高慢ちきなウワハルも、さすがに褥の上でばかりは俺に逆らえないんじゃないか?
この兄とて夜は否が応でも、俺の支配下に置かれるほかないんじゃないか?
――そう思うと、どうして俺はこんなにも気分が高揚するんだろう?
「……ところで、ねぇウエ…もう一回しよ…?」
足りないとか、飢えているとかってわけじゃない。
むしろ今俺はとっても満たされている。…けれども、俺は次こそもっと上手くやりたい――もっとウワハルの艶姿 が見たい、もっとあの可愛らしい上ずった声が聴きたい、もっともっとウワハルと気持ちよくなりたい、もっと…――もっとこの褥の上のウワハルを知りたい、もっとウワハルを愛したい。
満たされている。でも、ウワハルをもっと求めている。――俺のこれは気分の高揚のすえの意欲だ。
でもウワハルはあまりノリ気ではなく、きゅうと恥ずかしそうに目を細める。
「……え…? そんな…、…もう、いいよ…」
そして兄はその長いまつげを可憐に伏せ「もう一回、だなんて……」と、困ったような――でもやたらと色っぽい――かすれ声で言う。
「それでなくとも、すごく恥ずかしかったのに……」
「…へへ…、……」
俺は笑ってごまかしながら――今やウワハルの脇ばかりを隠すくらいに開かれた白い浴衣の、その青紫の衿をもう少し開け、そしてその極あわいうす桃色の平たい胸を――粒だったままの紅い乳首を――片方だけ撫でまわしながら、兄の唇に唇を近寄せる。でもギリギリで触れさせない。
またそうすると、俺たちのはだけにはだけた白と黒の浴衣をまとう上半身は、ほとんど密に重なり合っている状態になる。
「…っ♡ ん…♡」
俺にまだ敏感な胸を撫で回されているウワハルの腰がぴく、と跳ねる。そしてこの至近距離、切ないうっとりとした眼差しで俺の目を見つめてくるウワハルは、きゅぅ…となかを締めながら、「だめ…」と俺の唇に色っぽい熱いささやき声を触れさせる。
「…二度もするだなんて…、そんなの、きっとものすごくはしたない…」
「はは、ウエはほんとうに何も知らないんだなぁ…。そんなことないって…、みんな一晩に二度や三度は普通だよ…?」
……俺は心に「蓋」をしたまま――嘘だよー。と心のうちで舌を出す。
まあそれも別に完全なる嘘、というわけではないんだけれども、…大体は一度で満足するふうふが多いのが事実だ。
でも、俺はゆっくりと腰やお尻をうねらせるようにぬちゅ…ぬちゅ…と動きだしながら――兄の狭い膣内のこのひだやざらつき、ぬるつきや熱さ、やわらかさをじっくりと陰茎全体で楽しみ、そうして勃起の硬度をより高めながら――、
「ん、♡ …んん…♡ …ん…♡ し、した…」
気持ちよさそうに目を細めつつも、その翳 りに蒼くなった瞳で俺を叱るウワハルに、…うそぶく。
「なんなら夜を明かして睦み合うようなふうふだって、世の中にはザラにいるんだから」
「…ん…♡ …ほ、本当か、それ…?」
……すると無知なウワハルは、疑いつつもまんまと流されかけている。
「…うんうん、ほんとほんと。…俺、実はたまに人間の子たちの閨事に出くわすことがあったんだけど、みんな朝まで楽しそうに褥の上で睦み合ってた…」
「……ぁ…♡ そ…そんな……、で…でも…、もし…♡ 仮に、それが…〝普通〟なのだと、…してもぉ……♡ ん…♡」
俺は目をつむり、ウワハルの唇を斜めから唇でふさいだ。――あむあむと食むと、ほとんど習性的にか、兄のやわらかいぷるぷるの唇も食みかえしてくる。
「…んん…♡ …ん…♡ ん…♡ …ん♡ ん♡ ん♡」
そして俺の先端にゆっくりでも素早くでもこちゅこちゅと奥を突かれるそのたび、ウワハルはかすかな甘い声を鼻からもらす。…そればかりか兄の両手が、そっと俺の背中にまわる。
……これはウエ、完全に「流された」んじゃ…?
確認。俺は唇を離し、また唇同士が触れるか触れないかの距離でじいっと、兄のとろんとした半目開きを見つめる。…腰はまたぬちゅ…ぬちゅ…とゆっくり、じっくりと動かす。でも、兄は不安げな眼差しで俺の目を見つめながら、
「ぁ…♡ …ぁ…♡ だが…そもそも…♡ ん…♡ 大お父様と、大お母様は…しばらくは動くべからず、と…」
なんて、まだ気がかりがあるらしい。
やっぱりウワハルはこうして(媚薬のせいもあってか)とろーんとしていても、一筋縄ではいかないんだなー。――まあ俺だって兄を言いくるめるだけの知恵はあるけれど。
「…いや、俺ちゃんとしばらくは動かなかったでしょ…? それにさ…二回目をしたほうが、当然君のなかに注がれる俺の神氣も多くなるわけだし……」
「……そ…れは、そうだが…ぁ…♡ ぁ、♡」
俺が言葉を封じ込めるようにこちゅこちゅとやや速めに、でも優しく奥を突くと、ウワハルは切ない顔をしてきゅっと目をつむる。
「ぁ♡ ぁ♡ ぁ♡ だ…だめ…シ、タぁ…っ♡」
「何がだめ…? 気持ちよすぎて…? ふふ……」
けれどもウワハルは「ちが…」と目をつむったまま、ふるふると顔を横に振る。
「ぁ…♡ だめ…♡ そろそろ…昼になって…――だ、誰か…ここに来るかも…しれな、…ぁ、♡ ぁ…♡ だめ…ねぇ、し、した…♡ 見られたら、…ん…♡ こ、こんなの…よくない……♡ はぁ…♡」
なんて甘い声だろう…――ウワハルは苦悶げに眉根を寄せると、ふと斜め下へ顔を伏せる。
俺は彼の真っ赤にそまった頬にちゅ、と口付ける。
「大丈夫でしょ、はは…――俺たちが今〝何をしてるか〟なんて、みんなわかってるはずだし…。…ね…」
なんて俺がニコニコしながらささやき声で言うも、…やっぱりウワハルはその黒い秀眉 を困ったように曇らせ、ふと半目開きで俺を見上げる。
「ぁ…♡ ぁ…でも…だめ…♡ ねぇ…ん、♡ だめぇ…♡ した…これはなんだか…きっと、これは…♡ ぁ…♡ ぃ、いけないことだ…、ん…♡ した…ぁ…♡ おねが…♡ あ、♡ 明日の…夜に、…」
「…ふふ…でもそうやってだめだめ言いながら、実はウエももう気持ちよくなっちゃってるでしょ…?」
そもそもやめてとは口ばかりで、それを言うのだってこんなにしおらしくって可愛いとろとろの声のくせに、よく言うよ。
ウワハルは「はぁ…♡」と上ずった響きのある吐息とともに、その半目開きをうっとりとさせて俺の目を見つめてくる。
「ぁ、♡ ぁ…♡ ぁう…♡ だ…って…、ん…♡ 奥、とんとん…される…と、…ぁ…♡ ぼく…♡ 思考が…♡ は、…かすんで……♡」
「ふぅん…、……」
俺はウワハルの片耳に唇を寄せ、ぐんっと強く兄の奥へ亀頭を押し付ける。
「あぁ…っ!♡」
するとビクンッと腰を浮かせたウワハルは、そのあと俺にぐちゅぐちゅとすばやく力強く奥を突かれると、
「あ…っ♡ あ…っ♡ あ…っ♡ だめ、し、したぁ…っ♡ 僕、ぅん…っ♡ ぼく、♡ っ変になってしま、っあぁ……!♡♡」
と不安そうな甘い声で言いつつ、俺の背中にしがみついてくる。
俺は「いいじゃん、変になっちゃえよ、」なんて少し残酷な気分で兄の耳に言ったあと、汗にぬれた美しい首筋をめちゃくちゃに舐めて、食む。
「ぅあ、♡ ぁ、♡ で、でも、っん…♡ ん、♡ ぁ、♡ あ、?♡ あ…っ?♡ ね、ねぇした、♡ ぼく、また、っく…!♡ まっ…まって、♡ 止まっ…♡」
「…あーイきそうなんでしょ、…へへ、…」
そうだ、…と俺は腰の動きを止め、また至近距離でウワハルの顔を見る。
――すると当然絶頂寸前のウワハルは今、焦らされている状態…至近距離にのぞき込んだ彼の目は切なく細まり、潤んだその蒼い瞳でばかりは焦れた『お願い、もっと…』という甘えを孕んでいる…――というのに、そもそも「焦らされている」ということ自体を理解はしていない(知らない)ウワハルなので、…腰をもどかしそうに前後にくねらせながらも、
「はぁ……は…、…助かった、止まってくれて…、僕、また今…頭が真っ白になりかけて……」
「…はは、……」
なんか、…俺、ちょっと感謝されてる……?
まあ「止まって」と言われていたとはいえ、…それが少し可笑しかったけれども、俺はだ か ら こ そ ニヤリとする。――これだけ無知ということは、今から俺が言うこともまた「淫らだ」とさえわからないで、兄はそうなの、と素直に従う可能性がある、なんて思ったら楽しくてしょうがない。
「ね、頭真っ白になりかけるとき…つまりイくときは普通――〝イく〟って夫の俺に教えるんだよ…? それも、〝イく、イッちゃう、もっとして、僕をイかせて〟ってお願いもするもんなの……」
「……、…?」
すると…兄は、とろーんとしつつも不思議そうな顔をして、
「そう…なのか…、だがそれは…またどうして…?」
……やっぱり知らなかった。
俺はしめしめとこううそぶく。
「だって、いきなり抱いている相手が頭真っ白になったら驚いちゃうでしょ…? だからぁ、相手に自分がイくことを伝えるっていうのは世のふうふのなかで、暗黙の了解になってんの。――それにイくことは幸せなことだし、それを相手に〝お願い、もっとして、イかせて〟って頼み込むのは、礼儀正しい日本の神なら、まあ当然の礼儀といえるんじゃない?」
「……、そう…なのか…? まあ、確かに…そうかもしれない…。…? だが、大お父様や大お母様は一言もそのようなことは……」
なんていぶかるウワハルに、俺は「あーそりゃそうだよ?」なんてまるで全部わかってるような明るい声を出す。
「だって俺の言ってる礼儀は〝応用編〟だもん。…大お父様と大お母様がお教えくださったのは、〝基礎中の基礎〟だから。」
すると、俺のこのやたら自信満々な態度に(無知ゆえに)騙されたウワハルは目を丸くして、
「とすると…じゃあ僕はさっき…その決 ま り を破ってしまった…? 知らなかったとはいえ…それはすまなかった、シタ……」
なんてちょっとしゅんとするウワハルに、俺は「ううん、いいよ大丈夫、しょうがないし」なんてほほ笑んでそれを許す。――実は別にそんな「決まり」なんかないけど、…でも、まあわりとみんな「イく」とはよく言うし、何より「ツンケン淫らだ魔」のウワハルは下ネタを嫌うから、まさか自分からそれに関する話題をふるも仕入れるもしないことだろうし、これが実は俺の(ただウエにそう言わせたいだけの)嘘だってバレる可能性は限りなく低い。
「…じゃあ早速実践ねー? ウエ、ちょうどそろそろイきそうみたいだし……」
と俺は意気揚々、…ただ言わせたいので一旦加減して、ウワハルの奥をトントンと速さは十分、強度は優しく突きながら、『ほら言って…?』と両目で兄にほほ笑みかけてうながす。
するとウワハルは気持ちよさそうに――でも恥ずかしそうに――目を細めながら、小さな声で、
「ぁ…♡ ぁ…♡ …ぃ…いく…♡ いく…♡ いく…♡ ぁ…ぃ、♡ いっちゃう……♡」
「……っ、」
俺はウワハルの耳もとに顔を隠した。
最高すぎて思いっきりにやけちゃったのだ。
……そもそも真面目なウワハルは、規則とか決まりとかって俺に言われたのでそれに素直に従っているだけなんだけれど…、それにしてもあの潔癖も潔癖な「ツンケン淫らだ魔」が、あまーくてかわいーい声で「いく…♡ いく…♡ いっちゃう…♡」なんて繰り返してるんだよ…?
ほんと最高……俺はウワハルの耳にこうささやく。
「〝お願い〟は…? 〝お願い、イかせて〟って…〝僕をイかせてシタ、もっとして、もっと僕の奥を突いて〟って……」
するとウワハルは俺の背中にきゅうっと抱きつきながら、またそれもあまぁい声で素直にこうくりかえす。
「ん…♡ …ぉ…お願い、した…♡ ぁ…♡ ぁ…♡ おね、がい…♡ ぼくを…ぃ、いかせて…♡ もっとして…♡ もっと、ん…♡ もっと…♡ ぼくの、…ぼくの奥を…もっと突いて……♡」
「…ふふ…かわいいウエ……」
無知の潔癖も案外悪くないかも…――。
俺はウワハルの頬を両手ではさみ込み、「イくまでずっとそれ言うのが決 ま り だからね…?」と無知な兄に嘘を教えながら、いよいよウワハルをイかせるために力強く彼の奥を次々攻め立てる。
するとウワハルは泣きそうな顔をしながら、俺の目を切なく細まった涙目で見つめつつ、
「んっん…♡ あっ…♡ あ、♡ ぉ、お願いした、♡ あっ♡ ぼっ僕、いっいく、♡ いく、♡」
とか、…
「いくっ♡ いく、♡ いっちゃう、♡ あっ♡ あ、♡ おねが、…いかせて、♡ ぼくを、…っいかせて、♡ あっあぁ、♡ あっ…♡ もっと、♡ お願いした、♡ もっとぼくの奥、♡ もっと奥、ぼくの奥もっと突いて、♡」
とか……ものすごーく素直に「実践」してくれる。――めっちゃ興奮する!
俺はニヤニヤしながら、
「そうだ、実は〝気持ちいい〟って言うともっと礼儀に適 ってるらしいよぉ…?」
とかもっと欲深になる。
……いつものウワハルならきっとさすがに騙されなかったことだろうけれど(俺のニヤケ顔で嘘がバレたことだろうけれど)、…今切羽詰まっている兄にそんな聡明さがあるはずもなく、絶頂のもどかしい気配に、俺の恥骨が打ち付けられっぱなしの臀部をゆらめかせながら、――きゅうっと切なげに細めたその目からつーと涙をこめかみへ伝わせ、
「あっあ、♡ きもちいい、♡ きもちいい、♡ いく、♡ いく、♡ あっ…い、いかせ、♡ したっもっと、♡ もっと、♡ ぁ、あぁいっいく、♡ …っいっちゃぅ、うぅ…――ッ!!♡♡」
と律儀に「決まり」を守りながら、ぎゅっと目をつむって、ビクンッ…――絶頂した。
……あぁやばい、やっぱりイッてるときのウエのこのなかの動き、
「…っは、……」
なんていうか、…と俺は眉をぎゅっと寄せる。
絞りとられる…? みたいな、…ほんとつらいくらいきもちいい、――でも一回出してるから、今回はこらえられるかも。
……ややあって…びく…びく、とウワハルの体の痙攣が、なかの収縮が緩慢になってきたところで、薄目をあけて俺をとろー…んと見上げる無知な兄に、俺はほほ笑みかける。
「はは…ねぇウエ、笑顔でお礼も言うんだよ…? 〝僕をイかせてくれてありがとうシタ、すっごく気持ちよくて幸せだったよ〟って……」
「ぁ…♡ はぁ……♡ は…、…」
するとウワハルはぽうっとした恍惚の表情を、色っぽくうっすらと微笑ませ……、
「ぼくを、ぃ…いかせて、くれて…♡ ありがとう…したぁ……♡ はぁ……は…、…すっごく…きもち、くて…♡ しあわせ…だったよ……♡」
「……えへへ、…こちらこそ、イッてくれてありがとウエ…、俺も幸せー、…ふふ…、……」
俺、目合いが大好きになっちゃった。
――だってあの高飛車な高嶺の花のウワハルが、こんなに俺の思うがままになるだなんて!
「……じゃあウエ、――」
俺は今度はどんなことをしてやろうかな、なんて思うと、パッとすぐにひらめいたまま――、
「…今度は俺の上に乗って、自分で腰振ってみよっか……?」
……なんて、欲の深ーいことを更に要求してみる。
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