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俺が動きを止めたからか――ウワハルはうっとりとした半目開きで俺を見、「ふふ…♡」と俺にはにかみ混じりにほほ笑みかけてきてから、そっと目をつむって俺の唇を食んでくる。はむ…あむ…と、…俺も兄のその唇をはみ返す。
「……、…、…」
ね、ウエ…――じ、実はまだ決 ま り があって…、と俺は口づけのさなか、「蓋」をはずした心の中でウワハルに話しかける。
「……、…ん…?」
するとウワハルはあむ…はむ、と俺の唇を甘やかすように食みながら、そしてぬちゅ…ぬちゅ…とお尻を動かしながら、鼻先で『何?』
俺は心の中でこう続ける。
あのね、上に乗っているほうは、『シタ、大好きだよ、愛してる、愛してる僕の旦那様、どうか僕のなかでたくさん気持ちよくなって』って動きながら艶言を言うのも、決まり…――。
俺がそう要求しながら、俺の肩を掴むウワハルの両手と指をからめてつなぐと、ウワハルは「は…♡」と恍惚とした薄目で俺を見ながら唇を離した。――そしておもむろに上半身を起こしては、にちゅん……っぬちゅん……っとゆっくりながら、その腰の縦の動きの幅をやや大きくし、切ない伏し目で俺を見下ろしながら、
「…は…♡ ぁ…シタ…♡ ぁぁシタ…♡ …大好き…♡ 大好き…♡ ぁ、愛してる…♡ …愛してる、僕の、旦那さま…♡ …どうか…♡ …ぁ♡ ……ぁ…♡ どうか…ぼ、僕のなかで…♡ はぁ…♡ たくさん、気持ちよくなって……♡」
「……、…、…」
俺の高まった熱に乾く眼球が、それなのにすぐじわりと欲情の涙に潤う。
最高…。…潔癖、楚々 、高飛車、誰もが欲しがる高嶺の花…そんな気高い美神のウワハルが、俺の上で腰を振りながら、こんな可愛い(きっと男なら誰でも)嬉しいことを…――こんな火照ったとろとろの可愛い顔で、
「…ぼくの、旦那様…?♡ ぁ…♡ は…♡ きもちいい…?♡♡」
……俺と手を繋ぎながら、…こんな……。
いつの間にかその生白い両肩からずり落ちた白い浴衣の、その青紫の衿は今、俺と手を繋いでいることで曲がっている兄の両肘にとどまり――そのさくら色の胸板についた紅く凝 った二つの乳首も丸見え、縦にゆっくりと振れるその紫の帯が巻かれた細い腰、結局は浴衣の割れ目からまたあらわれてしまっている前向きの美しく可憐な色をした陰茎、その紅っぽいつやつやの亀頭がゆらんっゆらんっ…――何より俺をうっとりと慈しむような、この妖艶なうす赤い微笑の美しさ!
「ぼくのなか…♡ どう…、気持ちいい、ですか…?♡ はぁ…は…♡ 愛してる…♡ ぼくの、旦那さま…♡♡」
「……、…、…」
ゴクッと生つばを飲み込みながら、俺はコクコクと何度もウワハルに頷いて見せた――俺はウワハルのこの艶姿が見たかったんだ! ――。
すると、その恍惚ととろけた美貌を少し切なげに翳らせたウワハルは、ぱちゅんっ……ぱちゅんっ……と俺と手を繋いだまま、腰を上下させつづけながら、
「は…あぁシタ…♡ シタ…♡ 僕の旦那さま…♡ 好き…♡ 好き…♡ もっと…♡ もっと僕のなかで、きもちよくなって…♡ ――僕、僕は…シタにも…もっと、きもちよくなってほしい…♡ …だから…どうしたらいいか、…僕に、もっと教えて…?♡」
と、少し不安げに――いじらしく――俺を喜ばせようと、俺に聞いてくる。
「……ぅ、うん、…」
もう十二分……だけれど、媚薬とか、この暗い部屋の中に満ちた独特な妖しい雰囲気とか、昨日から一睡もしてないとか、あと初めての情交をしてるっていう特別な高揚感とか、…多分いろんな原因はあるけれど、今のとろとろに甘くなっているウワハルなら…――今のウワハル、なら、…俺のお願いは何でも聞いてくれる、かも…。
えっと、じゃあ、…なんて俺は、普段のウワハルなら絶対嫌がるだろう要求をしてみる。
「じゃあみ、見たいなぁ俺、…その…俺たちが繋がってるところ…――」
いやでも、…意地悪すぎかな…?
もし嫌だ、と言われたら無理強いはしない。絶対。…とは心の中で決めつつ、やっぱり応じてほしさに俺はこう付け加える。
「だって、愛するウエの体とちゃんと繋がれてるのが目に見えてわかったら俺、嬉しくって、もっと気持ちよく感じられると思う、から……」
「……、…」
するとウワハルはひたと動きを止め、恥ずかしそうに翳った伏し目で俺を見下ろし、その半開きの紅い艷やかな唇をふるふると震わせている。
恥ずかしいのだ。
……やっぱ嫌か…――さすがにね、そりゃそっか……。
「…はは…なんてね…? 嫌だよね、いいよ…、ごめん意地悪なこと言って……」
でもウワハルは切ない表情で俺を見下ろしたまま、ぽそりとささやき声で……、
「…いいよ…」
「……え…」
俺はウワハルを見上げたまま目を丸くした。
俺をじっと見下ろし、少し泣きだしそうな顔をしたウワハルの膣内がきゅうきゅうと締まり、にゅるにゅると俺の勃起に絡みついてくる。
「見せて…あげる…、僕の全部……君に、だけ……」
きっと無理をしてそう言っているのだ。だってウワハルのそのか細い声は震えている。
「いやっでも、恥ずかしいならいいよ、無理は…」
でもウワハルはふと目を伏せ、うつむかせたその泣きそうな顔をふるふる、と小さく横に振る。
「…いいんだ…シタになら…、シタに、だけは…、…………」
そして目を伏せたままウワハルは、おもむろに俺と繋いでいた両手をほどき、まず肘までずり落ちていた浴衣の衿を首もとまで上げ直して、…それからその両手を後ろへ着くと、その白い両足も布団に着き――そうして上体を後ろへかたむけ――カタカタと震えている純白の細い内ももを、控えめに俺へ向けてひらく。
……そうすれば当然、ウワハルの前向きに勃ったうす桃色の勃起は丸見え、もちろんその先の濃い桃色の濡れた亀頭も…さらにはその小ぶりな白い陰嚢の下の、俺のが今入っている彼のつやつやとした薄ももの膣口は俺のほうに突き出され、その結合部はすっかり丸見えになる。
ぷるぷると兄の濡れたあわい薄もも色の鼠径部 の筋が恥ずかしそうに震えている。
そしてウワハルは泣きそうな小声でこう言う。
「どうぞ、み…見てシタ…、見ていいよ…――僕の、恥ずかしいところ…――夫の君にだけは…その、僕の全てを見てほしい、から……」
「……、…な、」
俺は目を見開いて赤面しながら、きゅ…きゅ…と俺の太い勃起の根元付近をくわえたまますぼまろうとする、兄のその綺麗な薄ももの膣口を――なんだかいけないことをしている気分なのに――じっと見ている。
「なんて可憐な、…す、すごく綺麗だよウエ、薄桃色をして…まるで濡れた桜の花びらのように妖艶 で…、ウエはここまでとても美しい……」
これは大お父様から教わった一つの礼儀ではあったけれども、俺の本音でもあった。でも可憐なのはウワハルのそこばかりか、健気なくらいのウワハルの態度もそうだ。――恥ずかしいのに、あんなに潔癖なのに、なんなら愛撫のときも見られるのをあんなに嫌がってたのに、…やっぱり愛する夫の俺になら自分の全てを見てほしい、だなんて…――あぁ、どうしようもなくウエが愛おしい…!
「……は…、は…」
耳まで真っ赤にして目を伏せているウワハルはすくめた両肩の、その片方の肩口にあえぐ紅い唇を寄せ、何も言わず、動きもしない。ただ羞恥にぷるぷると震えている。
俺は愛するウワハルが恥辱の思いをしていると思って――しかも兄にそれを強いてしまったのはほとんど俺だ、という罪悪感もあっては、
「あり、ありがとウエ、見せてくれて、…もういいよ、ほんとうにありがとう、ほんと綺麗だった、…あの何ていうか、眼福 って感じ、今俺…へへへ…」
もう見えなくしていいよ、と慌てて――でも幸せに笑いながら――声をかけた。でも、
「……っう、ウエ、…」
「……ん、♡ ……ふ、♡」
きゅっと苦しそうに目をつむったウワハルは、そうして俺に自分の秘所をあらわにしたまま、その紫の帯が巻かれている細腰を低くすべらせるようにぬちゅ……と指三本ぶん引いて――ぬちゅぅ……と、俺の勃起をそのやわらかい薄もも色の粘膜で呑み込み、お尻を後ろへ引くことで根本まで呑み込んでは、またぬちゅ……と後ろへ引いて、ぬちゅ……ぬちゅ……それを緩慢にくり返す。
その細い腰のしなやかな動き、そのあらわな出し入れの光景もさることながら、ウワハルの前向きの勃起が、そのたびゆら…ゆらと揺れているのが――それもウワハルの心のうちの『恥ずかしい、恥ずかしい、恥ずかしくて死にそうだ、でも、…シタに喜んでほしい…』なんて健気なつぶやきが――なんだかもう、俺、
「…はぁ……はぁ……♡ ぁ…♡ シタ…♡ シタ、ど、どう…その、…そ、その…――」
ウワハルは声というより、もはやはにかんだ色っぽい吐息で「興奮…してくれる…?」と――鼻血でそうなくらい。
「最高…、というか、…最高以上…?」
「……ッ♡♡」
ウワハルのなかがうごめき、ビクッとウワハルのまっ平らな下腹部が跳ねる――垂直で出し入れするのとはまた違って、お腹側をこすられたりカリに引っかかれたりする、この体勢ならではの快感があるんだろうし、何より嬉しかったのだろう――。
……それでもウワハルは動きつづけてくれた。
「はぁ、は…♡ ん…♡ ……ん…っ♡」
「……、…、…」
ぬちゅ……くちゅ……とこの小さい音、太い俺のをずぷ…ずぷと呑み込んでしまう柔らかい濡れたうす桃色の肉、…この淫らな眺め…――ほんとやばい、
あ、…つい心に「蓋」を忘れて……。
するとウワハルはきゅうっと膣口をすぼめながら、震えたか細い声で――でも動きは止めず――こう俺にしおらしく謝ってくる。
「は…♡ み、淫らで…ごめん…、でも、シタが喜んで、くれるなら…と、そう…――こ、こんなにはしたないこと…、…がっかり、した……?」
「…いやまさかっ…俺が見せてって言ったんだ、がっかりどころか、ほんとに最高だってウエ…――俺、今実は鼻血出そうなくらい喜んでるからね、…えへへ、ほんとありがと……」
ていうかウエ、…さっきから「はしたなくて…」とか「淫らで…」とか俺に謝ってくるけど、…もしや潔癖だったの――俺に、失望されない…ため……? ………も、ある…?(といって俺のことも「このけだものめ!」とか言うしなぁ…)。
まあでもだとしたら……、いや、そうじゃなくても……、
「ほんとかわいい……」
「――…♡♡♡」
きゅうぅ…とウワハルのなかが狭まり、にゅるにゅると肉ひだと愛液とが俺のに絡みついてくる。
そしてウワハルは自分の肩口の上でポソリと、
「…はぁ、はぁ…、だいすき、シタ…」
〜〜〜っかわいすぎ!!
でも俺はちょっとだけ意地悪。
「え、俺のおちんちんが大好きなの…?」
「…違うっ…シタが…っ」――すると、さすがにウワハルが嫌そうに眉を寄せる。目をつむったまま。
「へへ、ごめんごめん、ほんとはわかってる…」
なんて俺が謝ると、ウワハルは肩口へ紅い半開きの唇を寄せたまま――その斜めに傾いた顔のまま――そっと薄目を開け、少し憎たらしそうな、でもうるうると潤んで火照った伏し目で俺を見下ろした。
……ウワハルの白い片手が、自分のまっ平らな下腹部にあてがわれる。そして、ぬちゅ、ぬちゅ、ぬちゅ、ぬちゅと、速い動きで腰を振りはじめる。
「……っ、ウエ、?」
「…は…っ♡ は…っ♡ ぁ、♡ で、でも…♡ 夫の…そ、その…♡ ん…っ♡ す…好き…♡」
とウワハルは横を向き、その整ったうす赤い横顔で、恥ずかしそうにきゅっと目をつむる。
「夫の、君の…体なら、どこでも…好き…♡ 全部、好き…♡ 大好き…♡ だ、だから、…ぁ、♡ こ、これも…すき……♡ 好きだよ、君の…そ、その…♡」
ウワハルの手がなまめかしく、自分の下腹部――俺のが出入りしている下腹部――を撫でている。…そして兄のはにかんだ吐息は、こうこそこそと言う。
「シタのぉ…おちんちん…も…♡ だ、だいすき…だよ…♡」
「……、…、…」
えっウワハル、可愛すぎ、ない、…てかど、どうしたの、どうしてこんなかわいーの、あの高慢ちきが、…いつの間にこんな可愛すぎる夜の作法(俺に愛される夜の夫しぐさ)を覚えたの――ってよりにもよって潔癖のウワハルがそれを覚える機会なんかあったはずもないのだから(しばしば人間の子たちの閨事を覗き見してたスケベな俺じゃあるまいし)、…ウエは天然(と、最中の艶言は恥ずかしくてもはっきり、なんて「教え」のおかげ)で俺が喜ぶようなことを言ってくれてるんだ、…
「…可愛…すぎ…――だいすき……ほんと……」
俺がきっと真っ赤になりながらにやにや、あまりの兄の可愛さにへにゃへにゃになりながらこうつぶやくと、ウワハルは興奮したように――嬉しそうに悦んで――ぱちゅぱちゅとその腰の動きを弾ませるようなより軽快なものにしながら、斜 へ伏せたうす赤い切なげな顔をやや俺のほうへ向け、薄目を開けたなり俺をその涙に濡れた伏し目で見つめながら、
「あっ♡ ぁ、♡ あん…っ♡ あん…っ♡ 大好きっ♡ 大好きっ♡ 僕も大好きシタっ♡ シタっ♡ 愛してる、♡ あぁっすきっ♡ すきっ♡ きもちいいっ?♡ 僕のなか、きもちいい…っ?♡♡」
そう切実な愛のあまりちょっと泣きそうな微笑で尋ねてくるウワハルの白い浴衣は、いつの間にかまたその青紫の衿が片方だけ二の腕まで落ち、今その真っ白な肩は片方だけあらわになっている。…もちろん肩ばかりか、その桜色の胸板につく紅い粒だった乳首まで……。
「…いやもう気持ちいいなんてもんじゃないからっ、…っほんと可愛すぎるよウエ、…ごめんっ俺もう我慢できない、――っ!」
なんて俺は興奮のあまりもうじっとしていられなくなり、むくっと体を起こした。
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