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「そっかぁ…、ごめんねウエ…? でもさぁ、俺にとったら…――ううん、ウエがだーいすきな夫のシタにとったら…、……」
ウワハルは「褒められる」ことに滅法弱いのだ。
その類まれな美貌を、その品の良い所作を、その高潔な性格を、その文武両道の有能さを「褒められる」というのにものすごく弱い――ある意味ウワハルの弱点ともいえる――、なぜなら小さな頃から周りに褒めに褒められ、蝶よ花よと育て上げられた兄のなかには、「褒められる」ことすなわち自分の血のにじむような努力の報酬、というある種の快楽の感覚が根深くそなわっているからだ。
「このまんま気持ちいぃことに流されちゃって、」
たしかにウワハルは自惚れ屋だが、その自惚れの根拠には生まれついた自分の素晴らしさをより磨きたてるための、すさまじい努力の堆積 がある。…なんなら兄は、褒められるためだけに――その快感を味わうためだけに――卒のない完璧を目指して、白鳥のように表向きはまったく優雅に、水面下では自分を追い詰めすぎなほど厳しい努力を積んできた、といっても過言じゃない。
そんなウワハルが――、
「けだものになっちゃった俺に悦ぶウエのほうが…〝いい子〟なんだけどなー…?」
なんて俺に言われちゃったら……?
「ぁ…♡ ぁう…♡ ぃ、いいこ…、いいこ…?♡」
このままじゃだめな子になっちゃう、というのがたちまちその「いい子」という俺の言葉に揺らぎ、とろぉんとした弱々しい顔で俺を見上げてくるウワハルに、俺はぬちゅ…ぬちゅと動きつづけながら「そうだよ…?」
「ウエがけだもののシタでも〝いい子で〟受け入れてくれたら…俺、ウエのこともっと大好きになっちゃうのにー……」
「……はぁ…♡♡ はぁ…♡♡」
ウワハルはとろぉ…とした恍惚の表情、その俺への愛情の蜜がたっぷりとあふれたうるうるの涙目で俺を見上げてくる。――『すきぃ…♡ すき…♡ すき…♡ した、だいすきぃ……♡♡』――でもウエ、もう頭んなかまでとろとろ(多分俺の「もっと大好き」を聞いて、頭が「いい子」よりそっちに支配されちゃったのだ)。
「ウエ、〝いい子〟になりたいよね…?」
「んぅ…♡ うん…♡ うん…なりたぃ……♡」
俺の質問にウワハルはぽーっとしながらコクコクとうなずく。
「…じゃあ、どんな俺でも好きって言って…?」と俺は聞きながら、ウワハルの紅い乳頭をちょっと強めにカリカリしてみる。
「……ッんァ、♡♡」
するときゅっと目を細めたウワハルに、俺は「ねぇ」
「けだもののシタでも好きでしょ、ウエ…?」
ともう一度聞きながら、ウワハルの乳頭をぎゅーっと指の腹で押しつぶす。と、眉をひそめながら固く目をつむった兄は、コクコクと何度もうなずく。
「ァ゛、♡ 〜〜〜っン、♡ ぅッすき、♡ すきっ…!♡ すき、♡ だいすき…っ♡」
……腰をゆらゆらさせながら。それも内心で『どうして、♡ ちくびぎゅうってされるとぼく、痛いのにピリピリきもちよくなって、♡ 子宮まで、子宮までツーンってする、♡♡』――なんて、可愛く困惑しながら……俺はもうひと押しかも、とウワハルのそのヒリヒリしているだろう乳首を慰めるように、汗に濡れた胸板をやさーしく撫でまわしながら、兄の耳に唇を寄せ――その熱気をまとった耳の入り組んだ骨組みを舌先でなぞり……、
「…ぅ、♡ …〜〜〜っんん、♡♡」
それにぞくぞくと、ぴくっ…ぴくんっ…と感じているウワハルの、その耳の穴に舌先を押しこめ、くちゅくちゅ音を立てながら舐める――唇では耳をはむはむ…――と、きゅぅう…と俺の二の腕あたりの布を、ぷるぷる震えているウワハルの両手が掴んでくる。
……乳首もぴんぴんと指の側面ではじいて、くちゅくちゅ、はむはむ、ぴんぴん…――。
「はァ、♡ …ァ゛…ッ♡♡ …ッ!♡♡ ひっ…♡ ぃ…いく、いく、♡ 〜〜〜ッ!♡♡♡」
またウワハルのなかがぎゅううっと強張って狭くなる。…俺は兄の濡れた耳に唇をつけたまま、低い声でこう囁く。
「ウエかわいー…、また乳首でイきそうなの…?」
「……ッ?♡♡ …ッわか、…な…っ♡♡♡」
ただ、「乳首で」というのはわかんないみたい。
俺はウワハルの乳首をぴんぴんとはじき続けながら、
「んふ…俺のお花ちゃん――〝乳首でイく〟は…?」
「っは…♡ ひ、♡ ち…くびで、♡ ぃ…いく…♡」
なんてやらしーことを、とろとろのウワハルにちゃっかり言わせちゃう。
「いい子…っ」――ご褒美。…俺はまたぎゅううっと強めに、両方指先で押しつぶしてあげた。
「ァ゛、♡ ぃッい゛、♡♡ 〜〜〜――ッ!♡♡♡」
そうしたらウワハルはまた胸板を突き出してビクンッ…――またイッちゃった。
……俺はビクンッ…ビクンッと弾んでいるウワハルの粟だった胸を撫でまわしながら、兄のその真っ赤な耳にささやく。
「ねぇウエ…俺、けだものになってい…?」
「……〜〜〜ッ♡♡♡」
ウワハルは絶頂の波に呑まれながらコクコクとうなずく。でも俺は足りないと奥にどちゅっと追撃。
「けだものになっていいの…っ?」と聞きながら。
「…ッあ゛んっ…!♡♡♡ ひ、♡ な、なって…いい、れひゅ…っ♡ ぁ…♡ ぁ…♡ けだものに…な、なってぇ…っ♡ ど、どんなしたも…あいひてる……♡」――するとウワハルはそうぷるぷる震えながら言ってコクコク。
……なかばウワハルは怯えのあまりそう言ってる気がするけど、…まあいいや!
「いい子だねーウエ、…えへへ、俺もどんなウエでも愛してるよ…?」
俺はやった、と意気揚々腕を立て、浴衣の袖をどちらも抜いてなかばそれを脱ぐと、どちゅどちゅと――絶頂中の――ウワハルの奥に激しく迫る。
「あ゛、♡♡ あ゛、♡♡ らめっ…♡ らめした、♡♡ ぼっぼく、♡ あ゛、♡♡ あ゛、♡♡ あ゛、♡♡」
すると真っ赤な顔を苦しそうにゆがめ、だめ、だめ、とかぶりを振るウワハルは、
「アぁ゛…〜〜〜っ!♡♡♡」
なんてぐっとまた顎を上げ――またその妖艶な喉仏を俺にさらし――ビクンッビクンッ……もうなんか俺、…俺まで頭とろけて変になっちゃいそう、
「えへへっ…ねぇウエ、…大好き…っ大好き…っほんと大好きだよウエ…っ」
なんて俺はニコニコしながら、ぱんぱんと音が立つほど激しくウワハルの奥をどちゅどちゅ突きまくる。――ぎゅうぎゅう俺にしがみついてくるウワハルのなかをぐちゅぐちゅ、すっごい、キツいくらい気持ちいい、
俺にゆさゆさと揺さぶられているウワハルはボロボロ泣きながら、その苦しそうな弱々しい泣き顔で俺を見上げ、
「あ゛っ♡ あ、♡ くっ…!♡ まっ…!♡ し、した、あっ…!♡ まっへ、♡ ぼく、こわれちゃ…っ!♡♡ しきゅぅつぶれひゃぅ…っ♡♡♡」
「大丈夫、壊れても俺責任取るし…っね、俺がけだものになるのは大好きなウエに対してだけだよ、…君が大好きだからこうなっちゃうの、ごめん、…えへへ…♡ ウエ、すき…っ大好き…っ大好き…っ」
でもウワハルは「まって…っ♡ まっ…!♡ こわれちゃぅ、♡♡」と俺に泣いてすがってばかりで、…
「…ウエは俺のこと好き? ねぇっウエ、俺のこと好き? けだものでも俺のこと愛してるよね?」
俺、不安になりながら――でも気持ちぃいから腰は止まらないで、ウワハルの奥をどちゅどちゅ突きまくっちゃう。…ウワハルはコクコクと泣きながら何度も首を縦に振る。
「…しゅきっ♡ しゅきっ♡ しゅきらからっ…!♡ あっ♡ あいひてるから、♡ わかっ…あぁぃ、♡♡ …まっ…!♡ し、した…っおねが、♡♡ まっ…ッいく、ぅ゛〜〜〜っ!♡♡♡♡♡」
でも……なんか苦しいから、許してほしいから言ってるみたい…――俺はムッとしてウワハルに覆いかぶさり、イッている兄の「い」の形にこわばった唇に唇を押しつける。
そうしたらウワハルは俺の背中にぎゅーっと抱きつき、『あぁ…♡ あぁぼく、むりやりしたのものにされちゃってるぅ…♡♡ すき♡ すき♡ すき♡ すき♡ すき♡』――よかった、こんな俺のことでもちゃんと好きみたい。…でも、
「……違うでしょウエ、もう……」
「へ…っ? んア゛っ!?♡♡♡」
俺がむーっとしながらどちゅっ! とウワハルの奥をまた強く打つと、ウワハルは顔を色っぽくしかめてまたぐっと腰の裏を浮かせる。――俺はウワハルの細い体に全身の重みを遠慮なくかけながら、どちゅどちゅとウワハルの奥を打ち続ける。
「あ゛…っ?♡♡ あ゛…っ?♡♡ あ゛…っ?♡♡ …ッ?♡♡ ぁ、♡ あんっ…♡ …ッ???♡♡♡」
俺にしがみついたまま、ウワハルは強すぎる快感と俺の「違うでしょ」の意味の不可思議とさで混乱しながら、『ちが…?♡ なに…が…♡ あ、だめ…♡ きもちぃ…?♡ きもちぃ…♡ きもちぃ…♡ きもちぃ…♡ きもちぃ…♡ きもち、くて…♡ も…?♡ わか…?♡ な…??♡♡』――なんて、「わかんなく」なっちゃってる。
「俺のもの…じゃなくて、」と俺はけだものらしい獰猛な動きで腰をふり続けながら、ウワハルの耳に囁く。
「俺だ け の、もの…でしょ…。も〜…間違えないでよウエ、…ね、俺だけのお花ちゃん…?」
「あっ♡ あっ♡ あ〜〜…っ♡ ご、ごめんらしゃ…っ♡ ごめんらしゃい…っ♡ まちがえてごめんらさ、♡ あん、♡ ぼっぼく、したらけの…っ♡ ぼくは、した、だけの…っものれしゅ…っ♡」
「かわいー…♡ えへへ…っ」
ほんとかわいい。だいすき。
……ただこうやって激しくすると、いよいよ俺の勃起の根本に溜まって膨らんでいる神氣が、今にも弾けてしまいそうなほど募 ってゆく。
「ねぇウエ、大好きな旦那様の精液ほしい…?」
なんちゃって、…自分で「大好きな旦那様」だって! 恥ずかしい…――でもウワハルは俺にガツガツ腰を振られ、ただそれを脆そうに揺さぶられる細身で受けとめながらも、俺の背中にぎゅーっとしがみついたまま、
「あっ♡ あっ♡ ほし、ほしいっ…!♡ だいすきなしたのせいえき、♡ あっだんなひゃま…っ♡ ぼくの、ぼくのだんにゃしゃまぁ…っ♡♡」
「…ウエかわいー、かわいし ゅ ぎ 、なんて。あはは…っ」
恥ずかしさなんか吹き飛んじゃう。だってウエのほうが(あとであの高慢ちきに戻ったとき、これ思い出したらどうなっちゃうんだろ、ってくらい)とろとろ、呂律なんか酔ってる人よりも回ってないあまあま、なんだもん。
「じゃーぁ…」――俺は一旦止まり、ウワハルの両頬を手のひらではさみ込み、もうある意味で正気を失った、そのとろけきった真っ赤な顔を眺めながら、
「はぁ…、…いい子で…旦那様の精液ちょうだい、は…?」
と息切れしたささやき声を、ウワハルのその半開きの真っ赤な唇に吐きかける。
「だいすき…♡」――でもウワハルはうるうると切ない、泣き出しそうな顔でそう言う。
「だいすき…♡ すき…♡ した、すき…♡」
「……、…」
そんな顔で、そんなこと言われちゃったら……、
「へへ…ウエ…? 俺もだーいすき…っ!♡ これからは絶対俺がウエを守ってあげる…、俺、ウエが幸せになれるように、精一杯がんばるから……」
満面の笑みではあるけど俺、なんかちょっと誠実な引き締まった気持ちになっちゃう。――ウワハルはとろぉんと幸せそうに微笑する。
「…うん…♡ うれしぃ…♡ すき…♡ ……ん…♡」
俺はウワハルの唇をはむはむ…そうして何度か唇をはみ合い――ふと唇が離れたとき、ウワハルはとろーんとした薄目で俺の目を見上げながら、俺の唇にこう甘えた声で囁きかけた。
「はぁ……♡ あいしてる…♡ ぼくの…だんなさま…♡♡」
「……っ、…」
かわいすぎ。
俺はウワハルの頬を両手ではさみ込んだまま、もう一回「ちょうだいは?」と――可愛すぎるからこそどうしてもウエにそれを言わせたくて――求めつつ、ウワハルの奥ばっかりどちゅどちゅ、浅く速く激しく腰を振る。
するとウワハルは泣き顔でこう、健気に俺の求めに応える。
「んあ゛っ♡♡ あっ…!♡♡ あっ…!♡♡ だして、♡ いっぱいちょうだい、♡♡ 出して…っ♡ 出して…っ♡ だんなさまのせいえき、♡ ぼくのなかにいっぱいくらさい…っ♡ だんなさま、ちょうだい…っ♡ ぼくのなかにいっぱいちょうだい…っ♡ あっああぁぃ、♡♡」
でもウワハルの眉間に官能的な苦悶のしわが生まれ、なのに眉尻を下げているウワハルは、
「いくっ…!♡ いくいくいくっ♡ いっちゃ…あっ!♡ あぁ〜い…っ!♡ もっと、♡ もっとして、♡ きもちぃっ♡ きもちいいっ…!♡ もっと奥ついて、♡ 奥にだして、♡ ちょうだい…っ♡ きみの精液ほしいの、♡ 奥っ…♡ 奥、もっと、もっとぉっ…!♡」
なんて嬌声で「決まり」を守りながら、その細まったまなじりからぽろぽろ綺麗な涙をこぼす。
「っはー最高、…いっしょにイこウエ、…っ」
俺は高めてゆく――迫ってくる――ウワハルも気持ちよさそうな泣き顔でただ嬌声をあげる。
「あっああぁ♡ いくいくいく…っ♡ …ッ!♡♡♡」
「……っ!」
俺はあと一歩、のところでウワハルの唇を斜めから塞いだ。――ウワハルの四肢が俺にぎゅうーっとしがみついてくる。
「――〜〜〜ッ!!♡♡♡♡♡」
「――…グ…ッ!!」
同時にイくと、…やば、……余計一滴のこさず、絞りとられる、……
でも……――まだしたい。
ややあって…――、
「…はー……、はー……」
「…はぁ、……気持ちよかった…?」
と俺はぼーーっとした顔のウワハルにそう尋ねながら、…またコツンと兄の奥を突く。
「……っ?♡ ん、♡」
するとウワハルはまだうす赤い、疲れきった顔をきゅと色っぽくゆがめ、――コツコツコツと奥を突かれながら、――「だ、だめ…」と小さい困りきったかすれ声で俺をとがめる。
「ぁ…♡ ぁ…♡ し…した…♡ いや…もうじゅうぶん…、さすがに、もう寝よぅ…、僕…もう疲れ…ん、♡ だめ…♡ もう、ん…♡ もうだめ…♡」
「え…? 俺にけだものになっていいって言ったのはウエでしょ…。ウエは、けだものの俺でも好きなんでしょぉ…?♡♡ …えへへ…寝るのは夜でいいじゃん……♡」
「ぁ…♡ あぁ、♡ やっだ、だめっ…♡ 激しくしな…、ぃぁ、♡ あぁ…――っ♡♡♡」
……なんて…この日はウワハルが夕方ごろに気を失うまで、俺は疲れに弱った兄をけ だ も の ら し く 抱きつづけて――抱き潰して――しまったのだった。
(もちろんのちのち母上にはめっちゃ怒られた。でも後悔なし!)
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