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 僕が今後のためハルヒさんに聞いておきたいこと、それというのは…――。 「……あのところでハルヒさん…、この指輪の箱ってあるんですか…?」  いや、まさか無いなんてことはないだろうが。  そもそも結婚指輪を裸で販売している宝飾店なんてそうそうないはずである。  ただハルヒさんが、別にこれからつけっぱなしにするからいらないや、なんて箱を捨てている可能性もないとはいえない。  しかし僕にはその箱が必要に思われたのだった。  ……こと眠っているときなんかは箱に入れておいたほうがいいだろう。起きているときにああして抜けてしまう、というのならまだしも――それでも排水溝などにはよくよく気を付けなければならないが――寝ているあいだに指輪が知らぬ間行方不明に、なんていうのは避けたいところである。  するとハルヒさんは「あはは…」と可笑しそうに笑って、 「やだなー、ちゃんと箱もあるよ…? 寝室の抽斗んなか。…ほんとは昨日婚姻届書いてもらうときに渡そうと思ってたから。」 「…あぁ、ならよかった……」  それも寝室の抽斗のなか、となれば、寝る前に外すのにも都合がいい場所にもとからある、ということだ。するとかなり安心した僕である。――とここで、僕を後ろから抱きしめたままハルヒさんが、 「あは…てかさっき言ってたの、ハヅキは聞こえてなかったと思うから、もう一回言うけど…」とちょっと悪戯な調子で言う。 「俺があのベストアルバムに結婚指輪入れたのは、ハヅキの俺への愛が嬉しかったからだよ…――ボロボロになってるっていうのが、なんかすごい…君の愛を感じられたから……」 「……、…」  な…るほど、…僕は照れくさくてうつむき気味にニヤニヤしている。まさか推し本人にその「オタクの愛」が伝わってしまうとは、…いやかなり照れくさいが、といってこれほど嬉しいこともなかった。  ハルヒさんは「あとぉ…」と、彼もちょっとニヤけている調子でこう続ける。 「さっきは言い忘れてたけど…――俺、君に会う前から君のこと想って曲、(つく)ってたのね…――だからベストアルバムってさ、俺の君への愛の集大成でもあるわけ……」 「…え、そう…なんですか……?」  と僕はうつむいたまま驚いた。  それはあんまりにも予想だにしないことではあったのだが、…だのに僕の頬はじわ…と熱をにじませるのである。  ハルヒさんは「うん…」と僕の耳元で、どこか切なげに言う。 「実は俺、〝神の記憶〟を取り戻す前からたまに…寝る前とかさ…ぼーっとしてるとき、君のビジョンが見えることがあったの…――でも、君はいつも真っ暗なところにひとりでいて…、いつもひとりぼっちで膝を抱えて、ちっちゃくなってた…。それで、いつも泣いてて…――俺ね、君からいろんな話を聞いたんだけど……」  さらにハルヒさんは、懐かしんでいるような悲しんでいるような、小さな声でこう続ける。 「たとえば君は〝居場所がない〟って…〝愛されてるんだけど、居場所がない〟って言うの…、どういうこと…? って俺が聞くと、君はすごく…すごく綺麗なのに……〝僕、不細工(ぶさいく)だから〟って…――〝僕は(みにく)い化け物だっていじめられたんだ〟って、…それで顔を隠して、〝だから僕の顔を見ないで、不愉快にさせちゃう〟って言う…」 「……、…」  僕の頭の中にある曲が流れはじめ…――その彼の書いた曲のこうした一節に、はたとする――地球(ここ)には僕の居場所がないんだ みんな誰かと居場所を奪い合うけど 叶うのならば この歌が君の居場所になりますように 叶うのならば この歌が君を傷付けませんように』  僕の胸の中で何かが震えている。  ――だが、「小さな僕」は今は泣いていない。  それはまるで、ハルヒさんと一緒に「そのひと時」懐かしんでいるかのような、そうした切ない震えだった。 「それで俺ね、結構早めの段階からわかってたんだ。…こうやってたまに俺の前に現れる君は、きっとこの世界のどっかにいる俺の〝運命の人〟だって…――でも、君のビジョンを見たときはちゃんと君の顔見えてて、いつも美しいひとだなって思うのに…――ふと現実に戻ると、なんか…忘れちゃって、君の顔とか…姿が、思い出せなくなっちゃってたの…。だから…傷付いてる君を助けてあげたいのもあって俺、〝現実の君はどこにいるの?〟って聞いた…――そうしたら、君は……」  ハルヒさんは切なく力ない声でこうつづける。 「いつもうつむいたまんま、何にも答えてくれない…。そもそも俺、君とはいろんな話をしたけど…――でも君は一度も俺のこと見てくれないし、うつむいてばっかで…――何とかして助けてあげたいのに、君がどこにいるのか、俺のこの気持ちが届いてるのかもわかんなくて…ほんと、何にもできなくて…――だから、現実の君にせめて届いてほしいなーって、とにかく曲を書いて…、でも、ちゃんと君のところまで届いてるのかは、いつまでもわかんないままで……」 「……、…」  僕は貴方を初めて画面越しに見たとき――『ちゃんと届いているよ』と画面に映る貴方へ手を伸ばしたのだ。  僕の頭の中で流れている彼の曲――『僕はここにいるよ そう祈るけど あなたにはまだ届かない まだ届かないの? 僕のこの歌も まだ届かないの? 僕のこの夢も 君にはまだ届かない』――そういった歌詞が、今ハルヒさんの語るそのビジョンに重なる――『君はどこにいるの 僕はそう祈るけど 君はまた答えない 聞こえない答え なくなる居場所 あなたと過ごした(そこ)だけが僕の居場所だったのに』 「でもね…俺のこと、逆に君が慰めて、励ましてくれたこともあって……それに一回だけ、君がにこって俺に笑いかけてくれたことがあったんだ…――それは俺が、君の絵を褒めたとき…。そのときさ…いつも通り真っ暗なところにはいたけど、君、絵を描いてたの。…それですごいね、上手だねって俺が言ったら、君は〝本当? ありがとう〟って……そのとき初めて俺に顔向けて、俺のこと見て、にこって笑ってくれて……――はは…、そしたら俺、…」  そう懐かしそうに――愛おしそうに――語るハルヒさんは、さらにその優しい声でつづける。 「…俺…〝運命の人〟とか運命られたなんとか、だとかさ、…そういうの抜きにしても、初めて見た君の笑顔に惚れちゃったんだ…。恋、したの…――君に…、君の、その綺麗な笑顔に…、…もともと君の優しさにも、惚れてたんだけどさ…、ほんと、いよいよって感じ…――でも、君はすぐにまたうつむいて、〝こんな(おぞ)ましい目で見てごめんなさい〟って、また顔隠しちゃった…――君の瞳は綺麗だよ、それなのに…どうして……」 「……、…」  僕はハッとした。  真夜中――真冬、真っ暗な自分の部屋で初めてChiHaRuさんの映像を見たあのときの僕は、こうした幻をおぼろげに見た。  暗闇の中で小さくうずくまっている「小さな僕」が、ふっと顔を上げる。  光り輝く画面の中で美しいオレンジの瞳をもった神様が微笑んでいる。彼は『あなたをずっと見守っていましたよ』とひとりぼっちの僕に微笑みかけ――そしてその神様は涙を流した。『今すぐに君を助けてあげたいのに』と――『今すぐに君を抱きしめてあげたいのに』と、神様は慈悲の美しい涙を、そのオレンジ色の瞳からぽろぽろこぼした。  『君の瞳は綺麗だよ、それなのにどうして……』 「俺、そのビジョンのなかで君を抱きしめた…――抱きしめたけど、…ほんとうは現実で、君を抱きしめてあげたかった……」 「……、…、…」  僕たちは、繋がっていたのだ。  ――まだウワハルとシタハルではなくとも、ハヅキとハルヒであったとしても――僕たちは肉体こそ離ればなれであってもなおその魂の繋がりは途絶えず、…僕さえも知らない水面下で、僕とハルヒさんは交流をもっていたのだ。 「だから俺ね、ずっとハヅキのことを探してた…し、いつか俺のこと、君が見つけてくれるって信じてた。…君は俺の運命られた夫神でもあるけど、それ以前に、俺の〝運命の人〟なんだよ…――まだウワハルのこと思い出す前からずっと…、運命られた夫神だとか以前に、…俺、ハヅキのこと…大好きだったんだ。」  そう言いながらハルヒさんは、僕のことをきゅうっと優しく抱きしめてくる。 「ずーっと君と恋人になりたくてなりたくて、…まあ馬鹿みたいって思ったこともあったけど、――ね、でもこうやって結婚できたんだもん。…〝馬鹿みたい〟じゃ…なかった。…でしょ…?」  そう僕の耳元で甘く尋ねてくる彼に、僕は「ふふ…」と笑いながら顔を向けた。 「…そうですね…」 「…うん…、……」  僕たちは見つめ合い、ほほえみ合う。  たださっと照れくさそうに目を伏せ――しかしニヤニヤしながら――ハルヒさんは「そういう感じでぇ…」と、ゆるーい声で言う。 「あのベストアルバムは、俺の君への愛の集大成でもあってさ…――で、あのボロボロは、君の俺への愛の集大成でもあるでしょ…――だから、よっぽど箱に入れてハヅキに結婚指輪わたすより、あのCDのがふさわしい気がしたんだよね。」 「……もう、なんて素敵なんだろう……」  いや、そもそもあのサプライズに僕は感動していた。それこそ感動のあまりぼーっとしてしまったのだ。――だがその話を聞くとなお、よりロマンチックで素敵なサプライズだったなと、ハルヒさんが愛おしくてたまらなくなる。 「もっと好きになっちゃいそうです。あはは…」  それに…――これはもはやどうしたって運命という他にないのだろう。  ましてやウワハルとしてのみならず、ハヅキとしても、僕はハルヒさんに愛してもらえているだなんて、なんて幸せなのか…――僕はふと自分の左手の指輪を見下ろす。 「…それに…何だか今僕は、どうしてだかそれは本当に起こったことのような気がしている…――記憶はないのに、今は不思議と、貴方とその時間を一緒に経験したかのような、そんな感覚があるんです…――ただ、実は僕も前、貴方に〝君の瞳は綺麗だよ、それなのにどうして〟って言われて…抱き締められた…、そういう幻を見たことがあって……、……」  僕は自分の左手の薬指に光る指輪を眺めながら、しみじみとこの幸福に心の底からひたって微笑んだ。  僕の奥底にある暗闇に、その幸福という光が射している――膝を抱えている「彼」もその光を見上げて、にっこりと笑っている。 「…とにかく本当に僕…今、とても幸せです……」 「…えへへ…、俺も……、ね……?」  とハルヒさんが僕の頬に唇を寄せてくる。  ちら、と見やると――彼はうっとりとしたそのタレ目で僕に、合図によく似たある要求をしてくるので…――僕は顔を彼に向け、そっと目を伏せた。  そうしてどちらともなくあむ…あむと唇をはみ合う。でも……、 「……ん…、…は…ハルヒさ……」僕は薄目を開けて、目をつむり、唇をはむはむと食んでくる彼を見る。 「あの…でも…僕、んぅ…♡ し、しごとを、…そろ…そろ…♡ やら…ぁむ…ん…♡」  駄目…――流されちゃだめだ……とは思いつつ、…もうちょっと…いいかな…――なんて目をつむって、唇をはみ返してしまう僕である。 「……んん…♡ ……ッぁ、…はは、…」  だが、僕はふっとうつむいた。  ハルヒさんが僕の唇の奥へ舌を入れてこようとしたためだ。  しかし舌を絡めてしまったら僕、…それこそ、…ちょっとくらい、いいかな…――なんて、ハルヒさんに身をゆだねきってしまう。  しかも今度ばかりは悪いことに、この部屋にはベッドもあるし、… 「だ…だめ…です…、仕事しないと……」 「…んーー…。ぁ、じゃあさハヅキ…?」 「……、…はい…?」  としかし、ここでハルヒさんが僕の肩をつかみ、やさしく僕の体を返して、自分に向かい合わせる。  僕は少し顎を上げて彼を見上げる。彼はニヤニヤとして僕を見下ろしている。 「じゃ、改めて…〝ありがとうのちゅー〟は…?」 「……、…ぁ、ありがとうの、ちゅー、ですか…?」  いや、言われたことの意味くらいわかってはいるのだが、ドキッとした困惑のあまりついくり返してしまった。――「そう…」とハルヒさんはその銀色の長いまつ毛を細め、じっと僕の目をその(かげ)りに紅くなった瞳で見つめてきながら、 「プレゼントありがとう、のちゅー。」 「……、…」  そして彼はそれ以降、『ほら、ちゅーして…?』とその目で訴えかけてくるばかりで黙り込む。 「…………」 「……、…、…」  これ…しなきゃいけない流れだ…、…ん゛ん゛ん゛、…いや、総額三桁に上る高額なプレゼントの見返りが僕の唇たったひとつ、とはあまりにも安すぎるくらいの可愛い要求には違いないのだが、…はなはだ緊張はするわなぜかしら羞恥心を感じるわで、…――いや、昨日のファーストキスはハルヒさんが鬼神化し、なにか奇妙な高揚感があったのでさらっとできたのだ、ましてや今のキスもほとんど彼からのものであったし…――、…だが、どうせしなければならないのなら、ええい、  ……僕は、僕の目線の位置にあるハルヒさんのその珊瑚色の唇――妖しく微笑んでいるその艶のある唇――を見てしっかりと位置確認、それからきゅっと目をつむり、ちょっと背伸びをしながら、ハルヒさんのパーカの下の鎖骨に両手の指先をひっかけて支えにしながら、 「……っ、…」  ちゅっと一瞬のキスをさっさと済ませた。  そうして顔を熱くしつつもゆっくりと目を開けてゆきながら、浮いたかかとを床に下ろそうとしたときだった。 「…んっ、…」  襲いかかってくるような勢いで、ハルヒさんの唇がななめから僕の唇を捉えてきた。彼の大きな両手が僕の両わきに挟まり、軽く上に押し上げてくるせいで、僕のかかとは今も少し浮いたままだ。――その状態で力強く、荒々しく唇を揉みくちゃに食まれている。 「……っんん、……っ」  僕の眉が寄る。  ど、どうしたら…――ハルヒさんの鎖骨に置いたままだった両手の指先に、きゅうと力がこもる――、ドキドキする…、正直、こんなに激しいキス、すごくハルヒさんに求めてもらえているような感じがあって、正直、…すごく、嬉しい……ただ、  ただひたすら、どうしたらいいのかはわからない。はみ返す、べきなのか、…ただあんまり激しいのでそのタイミングも掴めないのだ、… 「……っ!」  僕は逃げるように、ぎゅうっとハルヒさんに抱きついた。そして彼の首もとで顔を横へ向け、目を伏せ、あまりうまくできなかった呼吸に、はぁ、はぁ…と切らしている僕の息が、彼の黒いパーカに覆われた片方の鎖骨にかかっている。 「あ、あの…す…すみません、僕…、…僕……」  つ、つい…抱きついてしまった、としかし僕は――ハルヒさんのパーカ越し、この充実した大きな上半身を抱きしめるだけで、またその硬い体に上半身を押しつけて密着しているだけで、余計にドキドキとしてしまうからと――離れるべく両腕を彼の背中からはずし、その胸板に両手を置いて支えに、後ろに引こうとした。  が、…そもそも僕はハルヒさんに抱きしめられていたらしく(混乱の上、彼の肉体のたくましさにばかり気を取られていた)、ぎゅっとそのまま――彼のたくましい胸板に両手をついたまま――抱きすくめられてしまう。 「逃げちゃだめー…、えへへ…――もうちょっとハヅキが俺といちゃいちゃしてくれないと、俺が昼からお仕事がんばれなーい……」 「……、〜〜〜っ」  う、う゛ーー!  あ、甘すぎ、――これは漫画に活かせるかも、というそのモードにすら今は切り替えられない、… 「はは…ねぇハヅキ…体、細いね…?」  とハルヒさんが色っぽい声で囁いてくるのに、僕は何かハッと目が冴えるような恥ずかしさを覚えた。 「あっす、すみませんっはは、そうなんです、僕、もやし体型ほどじゃないにしてもその、…」 「ううん…」――する…と彼の手のひらが、僕の腰の裏を撫で下げ、僕のジーパン越しにお尻を……。 「……っ」 「なんか…えっち…。こんなに小さくって、華奢(きゃしゃ)な君の体…――俺、めちゃくちゃに揺さぶっちゃうんだぁって思うと…、またむらむらしてきちゃった……」 「…ぅ、…〜〜〜っ」  僕はぎゅっと目をつむり、ハルヒさんの腕の中で小さく縮こまりながら、彼の胸もとの布をきゅうっと両手で握りしめる。――お尻…撫でまわされる、と…子宮がほんのりとうずきはじめて…――だめだと…わかっている、のに……頭が、ぽーっと……、 「……ん…♡ …はるひ、さん……♡」  うぅ…やっぱり、えっち、したい…かも…、僕も…――ハルヒさんとえっちしたい…。このたくましい体に抱かれたい…、今どうしようもなく彼が愛しくて…幸せだから、こそ…、この満たされた気分のまま、  ハルヒさんが、欲しい…――。  するとハルヒさんは「えへへ…」と嬉しそうに笑いながら、一旦僕のお尻から手を離し――ぎゅうっとまた僕を抱きしめてくる。 「うんうん、俺もハヅキとえっちしたい。えっちしよっ…」 「……っあ、いやっ、」  しかし僕は(自分の気のゆるみのせいで)事が進んでしまった、という焦りに、恍惚からハッと目を()ました。 「あ、あのでも僕、そろそろ本当に仕事しないと、…」  僕はそう言いながらハルヒさんの胸板をぐっと押して後ろに数歩、ドキドキと高鳴っている心臓を左手で押さえながら、へらへらとごまかし笑いを浮かべた赤い顔をうつむかせる。 「その…あの…――よ、夜…、夜に……」  夜に…しましょう、なんて言おうとした僕だったが、ハルヒさんに顎をつままれてく…と上げられると、…そんな色っぽい――鋭いがうるうると甘ったれた――切ない眼差しで見下されて、しまうと、… 「離れたくない…、さみしい…、だからほんとうは着いてきてほしいけど…俺、ちゃんといい子で、ひとりでお仕事行くから……でもその前に、ハヅキが欲しいの…――俺との結婚指輪着けてる君、すごく愛しくって、なんかめっちゃ色っぽい…。…お願い、抱かせてよぉ…――そうしたらきっと、夜までお仕事がんばれるからぁ…、…お願いハヅキ……」 「……、…、…」  ずる…っ顔立ちは耽美(たんび)で精悍、背も高いし体は大きくてたくましいのに顎クイからのその大型犬ムーブは可愛すぎるだろ゛…っ僕、もう…何も…言えな…――眉尻がただ下がり、…そんな目で僕を見ないでくれよ、なんてただただ切なくなる。  ……するとハルヒさんは「えへ…」とふっと勝ち誇ったように目を細め――それがまた何ともドキッとさせられる――、斜めからまた僕の唇を塞いできた。

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