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97 ※微

「……はぁ〜〜……♡」  あったかーー…♡ きもちいぃーー……♡  ……というのはそう――お湯のことである。  このジャグジー付きの広々とした円形の白い浴槽のなか、僕は今ハルヒさんの脚のあいだに抱えられ、立てた膝同士を合わせるようにして座って、そこに満たされたこのちょうどいい温度のお湯に浸かっている。お湯はもちろん無色透明である。  ちなみにこの浴槽のなかには椅子となる広めの一段が一周するようにもうけられており、ハルヒさんも僕もそこに腰掛けている。また僕たちの体は今洗い場側へ――出入り口のくもったガラス戸を含めた、脱衣場がうすらぼんやりと透けて見える一面の()りガラス方面へ――向けられている。 「…は〜〜…♡」  それで、僕はまたうっとりとため息をついた。  湯加減は最高で気持ちいいわ、ハルヒさんの大きくてあたたかい体に後ろから包み込むように抱きしめてもらえてるわ、そればかりか、ちゅ、ちゅ、とうなじにキスまでしてもらえるわで…――。 「ふぁーー…♡ …極楽ぅ〜〜…♡」  幸せすぎてとろけてしまうぅ〜〜…♡ 「……、ちょっとぉ…ハヅキぃ〜…」  ……しかし僕の後ろに座るハルヒさんはそう、ちょっと不満げである。  そして僕の耳の隣に顔を出した彼は、ちゅ、と僕の濡れた頬にキスをすると、むすっと唇をとがらせ、すねた顔をして僕をやんわりと睨む。 「…かわいい…けどぉ。…俺の旦那様…? こっからが本番なんですけど……」 「…はは、すみません、…もちろんそれはわかって……」  僕だってそのつもりはあるのだ。ただ、あんまりにも今のこの状況が幸福の詰め合わせ状態すぎて、ついついその幸福に浸りきってしまったというか。  ハルヒさんは依然可愛くむうっとしているが、 「…俺、これでもめっちゃ我慢してるんだからぁ。もう〜〜…ハヅキが色っぽすぎて、もう限界なのにーー……」  と後ろから僕をぎゅーっと抱きしめてくれるのだ。  僕の鼻からは「ふふふ…」と照れ笑いがこぼれる。可愛い…――すると彼もくすくすと僕の耳もとで笑いながら、こう甘い声で囁いてくる。 「…もー。…ハヅキ…、大好きだよ…?」 「……はい…ぼ、僕も…です…、……ぁ…」  ハルヒさんの片手が、僕の八の字に斜めった太ももの三角の隙間に――内もものあいだに割り込んできた彼のその手のひらは、そっと優しく僕の脚をひらかせる。  そして、するーー…と僕の内ももを撫でさげながら彼の手が向かった先は…くちゅ、と僕の膣口…――そこをぬちゅ…ぬちゅと彼の指先がやさしく撫でてくる。 「……ん…♡」  僕はふとうなだれ、そのやさしい快感に膣口をひくっひくっとさせてしまう。――ただ、どうしてかそこをハルヒさんに撫でられると、上まぶたが気だるくなってゆく。  ハルヒさんは心配そうに僕の耳にこう尋ねてくる。 「…もう痛くない…? それとも、まだ…痛かったりする…?」  だが僕は「はぁ……♡」と、先ほどより濡れた吐息を唇からもらすほど――つまり、 「痛くない、ですよ…。むしろ……きもちいい…」  ……昨日確実に裂けたはずのそこだったが、なぜか不思議ともう痛くはないのだった。――むしろそうしてぬちゅ…ぬちゅ…と優しく撫でられると、とても気持ちがいい。  下腹部の奥がくーっと重たくなってくる――この不思議な倦怠感は心地よく、僕の心もふんわりとやわらかくなって満たされてゆくが、それと同時に僕の体も、ハルヒさんのすべてを許すように脱力してゆくのだった。 「……ほんと…?」とハルヒさんは僕の耳に、それでも心配そうに聞いてくる。 「じゃあ指…挿れてもだいじょうぶ…? 昨日まで初めてだったんだし、まずはちょっとほぐさないと、だから……」 「……ふふ…、はい……」  さっきはもう限界だと言っていたのに、なんて優しいんだろう……あぁ幸せだ…、…僕は上まつ毛までうっとりと重たい感じがして、微笑しつつ、自然と深い伏し目になりながらコクリとうなずき――ハルヒさんのその優しさに甘えるよう、彼のたくましい体に背中をあずける。  ……つぷ、 「…ぁ……♡♡」  彼の一本の指先が僕の膣口にくい込む。  そのままにゅぷぷぷ…とゆっくり奥まで入りこんでくる。 「ッぁぁ…ん、♡ …んん……♡」  ぞくぞく…する、…と僕はうなだれ、眉を寄せる。  僕のぴっちりと閉ざされたそこに、優しく割り込んでくるハルヒさんの指の感触が、僕の胸元や背中やの神経に、ぞくぞくと甘く幸福な快感をそっと走らせる。 「痛くない…?」とハルヒさんが、やはり心配そうに僕の耳に囁いてくる。 「…ぃ、痛くない、です…、きもちいい……♡」  ハルヒさんのその優しさがまた、きもちいい。  愛するひとに大切に、大切に抱かれるというこの幸福は、僕の頭をより恍惚とさせてゆく。  ……僕が目を伏せたまま気持ちいい、と言うと、彼は「ふふ…」と安心したように笑って、またちゅっと僕の頬にキスをしてくれる。 「ハヅキのなか熱いね…、すごくぬるぬる、とろとろになってる…――こんなとこに入ったら俺、入れただけで出ちゃうかも…、すごい気持ちよさそう……」 「……はは…すみません…、いっぱい…濡れちゃいました…、……」  貴方が、好きすぎて……なんて……。 「えぇ…? 口に出して言ってよぉ…」とハルヒさんが、ちょっと僕をからかうように言ってくる。 「……、は、恥ずかしいので……嫌です…ふふ、…」 「…えーー。…けち。ふふふ…っ」 「……、…、…」  ニヤニヤがとまらない。  ……それにしても…ハルヒさんの指って、見た目より太いのかもしれない。硬くて、なんだか…――まあもちろん彼の陰茎ほどの充実感はないのだが…、物足りないといえばそう、なんだが…――なんだか、…愛おしい…かも…、…なんて思っていたせいか、僕の膣内は彼のその指をきゅーっと締めつけてしまっていたらしい。 「…はは、…俺の指、きゅうーって締め付けて…、俺の指まで愛しいと思ってくれて、ありがと……」  そう言ってハルヒさんは、ちゅ、と僕の耳にキスをしてくれる。…と、僕のそこはじんわりと熱をにじませる。 「……、僕…ハルヒさんの手も、もともと大好きでしたから……」  ギターの弦を愛おしそうに撫でているあの綺麗な手…、美しい音色を奏でるあの指が長くて、大きな手…――神様の手…憧れてきたあの綺麗な手が、まさか今自分の体に触れてくれているだなんて…――あの綺麗な長い指が今、まさか自分のなかに入っているだなんて……。 「…はぁ…、…ふふ……」  幸せ…――なんて僕は、彼の手首をなで…なで。 「……、…」  ……結婚して…よかった。  僕はふと自然にそう思った。  昨日――あのままこの幸せを諦めてしまっていたらと思うと、僕はちょっと恐ろしくなるのだった  それくらい幸せだ。幸せ……本当に、幸せだ。  昨日、愛情をもって怖じ気づいた僕を説得してくれたハルヒさんに、感謝の念が絶えない…――その感謝の念はまた彼への愛情に姿を変える――それと、僕に婚姻届を書かせてくれた鬼神化した彼にも……。 「……、…ふふ……」  なんて幸せなんだろう……。  僕のうつむきがちな横顔をじっと見ていたハルヒさんが、「綺麗…」と微笑しながら陶然と言った。 「俺の旦那さんはほんとうに綺麗だな…――それに、ものすごーく色っぽい…。俺こそ…結婚してくれてありがと、ハヅキ……」 「……、それ…は、…いえ、こちらこそ…、……」  うー…身も心もとろとろになってしまいそうだ…。 「…もう綺麗すぎて俺、早くハヅキのことめちゃくちゃにしちゃいたーい……へへへ、…」 「えぇ…? ふふ、……ぁ……♡」  ぬるー…と引いていったハルヒさんの指が、今度は二本に増えて戻ってくる。 「……ぁ…♡ …ん、…ぁぁ……っ♡」  僕は斜へ顔を伏せてきゅっと目をつむり、眉をひそめる。太ももがこわばり、ふるふると震える。  二本の硬い太めの指がぬるーー…とゆっくり引いて、またにゅぷぷぷ……となかを押し広げながら入ってきて…、またぬるーー…と、…それを繰り返されると――そうしてやさしくほぐされると――なかがキュンキュンと収縮し、ぞくぞくと快感の漣は()いではまた静かに起こり…――ましてやなぜだかふしぎと、ハルヒさんをどんどん好きになっていくような熱い気持ちになってくる。 「…ッあ、?♡ あ、?♡」  だが僕は、にわかに腰をビクッと跳ねさせた。 「ぁ、♡ ぁ、♡ はっハルヒさ、♡」  奥、こりこり、され、♡ 「…ハヅキの子宮、俺が欲しすぎて…俺のこと迎えに来ちゃってる……ふふ、…なんてね…?」 「……あっ♡ ぁ、♡ っそ、…な……っ♡」  つまり今ハルヒさんの指にこりこりとされているのは、僕の子宮口――それも熱っぽい期待のあまり下がってきてしまっていた子宮口――らしい。  ……先ほど我慢しましょう、なんて言った手前、僕の体は自覚していたよりハルヒさんを欲していた、といよいよ証明されてしまったようでは、僕はもう恥ずかしくってたまらない――が、その反面、ほとんどもう捨て鉢の気持ちにもなってきている。  要はもう欲しいなら欲しいで、ハルヒさんに正直にそう示そうというのである。 「…っあ、♡ ハルヒさん、…っそうなんです、」 「……んぇ?」  しかしよく聞こえていなかったのか、手の動きを止めていよいよ僕の言葉を聞こうとするハルヒさんに、 「……、…、…」  恥ずかしくなって、僕の眉尻が下がる。  しかし僕は「そ、そうなんです…」とうつむきながら繰り返し、勇気を出してふっと――自分の肩の上あたりに顔を出している――ハルヒさんに顔を向ける。彼はきょとんとしている。 「…あの…その通り…、僕……僕の、子宮、ハルヒさんのおちんちんが欲しくて…下がってきてるんだと思うんです、…僕も、――だから……く、下さい…。」 「……、…、…」  ハルヒさんはちょっと驚いたようなその顔を、じわーっとうす赤くしてゆく。  なんだかそれが愛おしくて、僕は甘ったれた気持ちになってきた。それで僕はハルヒさんの体に背中でもたれかかりながら、自分のお腹にまわった彼の腕に腕をそっと重ね――結婚指輪が薬指にはまった彼のあめ色の手の甲に、同じく指輪のはまった左手を重ねて…――目を伏せ、ちゅ…と、彼の唇に口づける。  ……ふと離れただけの距離で、僕はうっとりとゆるまったまぶたのまま、彼の翳が深く鋭くなった両目を見つめる。 「…ハルヒさんのおちんちん…、僕のなかに、挿れて……」  するとハルヒさんはその紅い瞳を切なく小刻みに揺らし、切実な目つきで僕の目を見つめてくる。 「……ね、ハヅキ…――俺のこと…もうハルヒって、呼んでくんない……?」  そう男らしい余裕のない紅い目で、僕の目を見つめながら言うハルヒさんに――僕は身も心もとろかされる思いがした。  僕はふと微笑み、優しい気持ちで……、 「……ハルヒ……?」  そう、彼の名前を大切に呼んだ。 「ハルヒのおちんちん…、僕のなかに…ちょうだい……?」  するとハルヒさんはにこっと満面の笑みをうかべた。 「……うん…っははは、…」  そしてその満面の笑みでコクン、とうなずいた彼は、僕のなかから指をやさしく抜き取ると、ぎゅーーっと後ろから僕の胴体を抱きしめてきながら――ちゅっちゅっちゅっと僕の頬や首筋、肩、うなじと、ランダムなキスをいっぱい、いっぱい。 「……あはは…っん、♡ っもう、くすぐったい、…」  もう、ほんとに可愛い…と僕は、そう言いつつまんざらでもない。 「……、…」  ただ、ふと色っぽい目をしたハルヒさんと目が合う。――すると自然に僕はすぐ目を伏せていた。彼が僕の唇にキスしたいのを察していたからだ。  ちゅ…とハルヒさんの唇が、僕の唇にキスをする。僕は彼の唇をはむ…と食む。 「……ん…♡ ……んぅ…♡」  はむ…はむと唇をはみ合う。  頭…ぽうっとする…――すき…――愛する彼とキスをしていると…子宮まで、きゅうぅ…と切なくなってくる。  幾度か唇をはみ合ってから、僕はハルヒさんの唇に切ない気持ちでこう再度ささやく。 「お願い…、もう…ちょうだい……」  すると、ハルヒさんはふと唇を離しただけの距離でにこっとし、ちょっと早口にこう言う。 「…じゃあ俺にお尻向けて…?」 「……うん…、……」  ……僕はふわふわとした頭、あまりもう力の入らなくなった体を気だるい動きで四つん這いにし、向かいにある浴槽の白いヘリまでじゃぶじゃぶ進んでは、そこに両方の指先をかける。  ……ハルヒさんはというと、僕のそのお尻を追いかけてきていた。 「ハヅキ…、愛してる……」  そう僕の名前を男らしくも切ないかすれ声で呼び、愛を囁いてきたハルヒさんがちゅく…と、その熱い亀頭を僕の膣口に宛てがってくる。 「……ぁ…♡♡」  と、僕の頭の中がぼやああ…っとしてくる。  愛してる…彼のその愛の言葉が僕の全身をかーっと火照(ほて)らせ、僕の鼓動が速くなった胸は期待感でいっぱい――にわかにきゅうきゅうと僕の子宮ももどかしく身をよじりはじめ、膣内はうごめき、膣口はくぱっ…くぱっ…と収縮を、恥ずかしげもない大きな動きでくり返す。  僕の全身は今やじわーーと汗ばむほど熱くなっており、…もはやこの期待感だけで甘イきしそうなほど、僕の肉体は、心は、僕はもう完全にハルヒさんだけを切願というほど求めていた。  頭の中もハルヒさんのことでいっぱいだ。  あぁ…♡ ハルヒさん…♡ ハルヒさん…♡ ハルヒさん…♡ すき…♡ 僕も愛してる…♡ ほしい…♡ 貴方がほしい…♡ ハルヒさんのおちんちんがほしい…♡ ほしい…♡ ほしい…♡ 「えへへ…かわいー…、じゃあ、ゆっくり挿れるね……?」 「はー…♡ …はー…♡ …はー…♡」  息を荒らげている僕はコクコクと浅く力なくうなずき、ただじっとハルヒさんが奥まで来ることを大人しく待っている。  が、頭の中はほとんど…――おちんちん…♡ おちんちんほしい…♡ ハルヒさんのおちんちん…♡ おちんちん…♡ シタのおちんちん、奥までほしい…♡ 「ほんとかわい…、……」  にゅぷ…と熱くやわい亀頭が、僕のひくひくとしている膣口に押しつけられ、にゅぷ、とめり込んでくる。 「……っ!♡♡」  ぁ…♡♡ 入ってき…――♡♡♡ 「ウエぇーー! シタぁーー!」 「……っ! …、…、…」  僕はビクッとしながら、咄嗟にお尻を浴槽の床へ下ろした(咄嗟に働いた防衛本能から、一旦ハルヒさんが挿入できないようにと腰を下ろしてしまったのである)。  なぜって……ガチャァ! ドカドカドカッ…とこの浴室の磨りガラス越し、二メートル超の大男――そのクソデカご機嫌声からしても明らかに――ロクライさんのその縦にも横にもたくましい体が、意気揚々と脱衣場に入ってきたその影が見え、さらには声までかけられたからである。 「っな、…何ーー!?」  ハルヒさんが明らかにイライラトゲトゲとした声で用件を聞きただす。と、ご機嫌な調子でロクライさんがこう答える。 「な〜〜んとっ…! 今日はじいじが晩御飯を作ったぞお! さー早く出て来んかぁ! な〜んと今日は、じいじお手製のパエリアじゃああ〜〜♡」  ……しかも腰に両手をあて、るんるん♪ とひょうきんに、お尻を左右にふっている大男の影まで見える。 「……ゃ、っも、もうちょっと浸かっt…」とハルヒさんはあがこうとしたが、… 「冷めたらぽっそぽそになっちまうからのお! ガッハッハ! さささ、はよぅ出ておいでふたりともっ! すぐじゃすぐ! ほれ、なんならじいじが昔のようにパジャマ着せてやろうかっ? んっ?」 「……、…、…」 「……、…はぁ…――。」  ……諦めるしか…ない、だろうな…――

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