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お仕置き――ちなみにその手と口での快感責めもはじめはそう、それほど激しいものではなかったのだ。
それこそ僕は特殊なX型の拘束具によって「ごろん のポーズ」で身体を固定され、さらに両方の乳首には楕円のローターをサージカルテープか何か、とにかく肌ざわりのやさしいテープでそれを貼りつけられたばかりか、黒いアイマスクで視覚情報をさえ遮断されてしまった。
……すると僕の心臓はすぐさまなかばは期待し、もうなかばは不安がってドキドキと早鐘を打った。しかし僕の胸の中で鼓動するその期待と不安には、ある種快感をもよおす恥辱 も混ざりこんでいたと我ながらに思う。
このポーズは、この胸元やお腹や股間の無防備な空虚な涼しさは、ひどく僕の羞恥心をあおった。…それも僕は今黒いレースとファー付きのランジェリーを男にして身に着けているばかりか、そのランジェリーというのはあからさまに「エロ」を目的としている、乳首も性器も丸見えのそれ自体恥ずかしいものなのだった。
ましてや目隠しで何も見えないなか、そのポーズで強制的に固定されているという、言いかえれば絶対的な服従と無防備とを強いられているこの状態では、僕は今から自分がどうされてしまうのか、どうなってしまうのかわからないという、危機感にちかしい不安を覚えた。
もしかしたら僕のこのみじめな格好を、ハルヒさんが近くでしげしげと見ているかもしれない。
もしかしたら僕は、この抵抗を許されない状態で、ハルヒさんに激しく犯されてしまうのかもしれない。
もしかしたら僕は……――。
その恐怖から、僕はたしかに戦慄 したのだ。
……しかしその戦慄はけっして不快と言い切れるものではなく、むしろ甘やかな快楽のさざめきを帯びていたのである。
やっぱり、どうも僕はドMのケがあるタイプであるらしかった。――これまで僕が創り出してきた漫画においては、キャラクターにおいても攻め受けはかかわりなく、ドMもドSもそれ以外もとさまざまな(性的)嗜好 を取り入れてきたし、プレイ内容においても多種多様なものをその時のインスピレーションにまかせて、またどのようなキャラ、プレイにしても心から楽しんでえがいてきた。
……そして前にも思うとおり、僕は漫画のエロシーンをえがく際にはその前に「実体験をもって」インスピレーションを得ておく、というようなリアリティも大切にする漫画家である。ために、これまで攻めも受けもドSもドMも(妄想内で)演じてきた僕は、自分自身のSM的嗜好においては今にいたるまでさほど自覚には及ばなかった――SもMもどちらもえがくのは好きだが自分はどちらでもないと思っていた――のだが、どうやら(ウワハルと同じく、…というよりか、この魂 の 嗜 好 には抗えず)僕はドMであるらしかった。
……それだから僕はこんなにも恥ずかしい、こんなにも屈辱的な状況下におかれて、ゆっくりと静かに身にせまってくる危機に怯えて不安がりながら、それでもなお心の奥底ではハルヒさんに身も心も恣 にされることを密かに希 っていた。――いや、その彼からのある種の加害と支配とを希っているばかりか、僕は自分がこの恥ずかしい拘束状態にあるだけで被虐的な快楽を覚え、魂の熟れた中核から溢れた熱い蜜を肉体の外側へにじませ、したたらせていたのである。
さて、そのみじめな格好を強いられた僕は斜め下へ顎を引き、腰をくねくねと揺らしながら、「ハルヒさん…」と不安げな吐息まじりに彼の名前を呼んだ。目隠しのせいで彼がどこにいるのかわからないのだ。
――乳首を絶えずくすぐったく刺激してくるローターの振動が、僕の胸骨をも小刻みに震わせ、僕のみぞおちはしばしばぴくっとへこんだ。ものの、それは声が出てしまうほどの快感ではない。
しかし、「ぁ、♡」とふいに声がもれた。
ハルヒさんがこう言いながら、僕のひくひくとしている膣口をにゅるにゅると、指紋によってややざらついた指先で縦に何度もなでてくるせいだった。
「俺はまだ何にもしてないのに、おまんここんなにぐちょぐちょに濡らして…、しかもひくひく、ひくひく…すごくもの欲しそう…――ねぇハヅキ…、今は〝ハルヒさん〟じゃないでしょ…?」
「……ぁ…♡ ぁぅ…♡ ごめ…なさい……♡」
その指摘にキュンとした快感を子宮に、ましてやもちろん撫でられている膣口にも快感を覚えているせいで、僕のこの声は甘ったれた上ずりを帯びていた。
ハルヒさんはつぷ、と僕の膣口に指先を突き立てながら、優しい声でこう言う。
「俺の犬のくせに、名前呼ぶなんて生意気…。俺は今、君の〝ご主人様〟…」
「っんぁ…♡ …ぁ…――っ♡♡」
僕の腰の裏がこわばりながら浅く浮く。
にゅぷぷぷ……と僕のなかにゆっくりと入りこんでくるハルヒさんの長い指は、その太さから察するにおよそ二本である。
「ぁぁ、♡ …はぁ……♡」
ため息と共にころん、と反対へ頭をころがす。ハルヒさんの指が根本までなかに入ってくると、僕の体はもはやそれだけで彼の愛を感じとって歓 び、愛する人 の帰還に尻尾を振ってよろこぶ犬のように、甘えながらそのひとの指をやわらかな果肉で揉みしだいている。
……ハルヒさんは妖しい微笑を含ませた、静かな声でこういう。
「ふふ…熱 烈 歓 迎 、って感じ…? ほら、言ってごらん…――〝ご主人様〟って……」
「は…♡ ……ご、ご主人…様……」
僕は眉をひそめながら、おそるおそるハルヒさんのことをそう呼んだ。――その瞬間、僕の腰の裏から背筋、うなじの神経を甘美な背徳が何度も駆け上がってきて、そしてそのか細い稲妻は終着点である僕の脳に、ぞわわ…とEMSのような痺れる電気刺激を与えてくる。
「……ふ、かわいい…。ねぇハヅキ…ところで――また子宮で俺のことお 迎 え に来ちゃったの…? ほんとは猫のくせに、なかなかの忠犬だなぁ……」
とハルヒさんが言いながら、僕の敏感な子宮口をくにくにくにと何度も指先ではじくように刺激してくる。
「…ァ、!♡ ぁ、♡ …ぁ…っ♡ ん、♡」
その鋭い快感に、僕の腰はビクンッ…ビクンッと跳ねてしまう。
「でも、やっぱり犬にしてはおりこうじゃないね…、ワンちゃんらしく、お口でもちゃあんと喜ばないとだめでしょぉ…? 〝わんわん、僕の子宮を大好きなご主人様に触ってもらえて嬉しいわん〟…――ちゃんと尻尾振りながらね……?」
「……ッ♡」
僕の唇にきゅっと抵抗の力がこもった。
みじめなセリフを言え、という命令には、やはり人として当然の抵抗感があったのだ。――しかしあっと思う間もなく、僕の猫の黒い尻尾はぶんぶんと振られていた。
まさか生来尻尾などあったはずもなく、もちろん本性がどんな姿にも変幻自在なのだろう神であったとはいえ、こんなものを生やしたこともないというのに、それの振り方もその振っている感覚もなぜかわかるし、伝わってくる。…僕は今まるで車の窓ガラスをみがくワイパーのように、その尻尾をベッドのかけ布団に左右に何度もこすりつけている。
のみならず、僕はこの自らの抵抗感こそがこの場合の歓びにつながると知っているかのように、――それがあるからこそ、被虐的なよろこびを味わえるのだと知っているかのように、――泣きそうなか細い、しかし甘ったれた憐れな声で、そして自ら笑みを浮かべた口もとによってより自分をみじめにしながら、
「…ゎ…わんわん、♡ 大好きなご主人様に…僕の、子宮、さわってもらえて、…嬉しい、…わん……♡」
と…ハルヒさんに忍従した。
言ってすぐ口角が下がり、またぎゅっと唇を結んだ僕の、暗闇のなかにあるまぶたの裏に、じわぁ…と熱い涙がにじむ。
するとハルヒさんは――僕をより辱 めようと――わざとカラッとした明るい、まるで本物の犬を可愛がるような明朗な声でこう言いながら、
「そっかそっかー、よーしよしよし、えらいねーハヅキ、かわいいねぇー。よしよし…お前はとってもいい子だから、ぽんぽん撫でてあげるねぇー?」
片手ではなかから僕の子宮口をくにくにと、もう片手では――犬のお腹を撫でるように――僕の下腹部、つまり子宮を上からさすさすさすと撫でてくる。
「ぁ、♡ あぁ、♡ っふ…ッん、♡ …ンん、♡♡」
チリンッ…チリンッと僕の首輪の鈴が身悶えている。――僕が恥辱に泣きそうになりながらも、その快感にかぶりを振り、腰や下腹部を波打たせているせいである。
「気持ちいい?」
「ゎ、♡ ぁ、♡ ぁ、♡ わ、わん…っ♡ きもちぃい、わん…っ♡」
ハルヒさんが「ふ…っ」とせせら笑うように鼻を鳴らし――下腹部を撫でる手をとめ、更にはなかの指もにゅーー…と引いてゆく。
「……ぁ…、…ん……」
寂しげな声をもらす僕はそのとおり、それにひどく名残惜しい気持ちにさせられた――それと、自分は何かまた失敗してしまったのか、なんてしおらしい犬のように反省している自分もいる――が、彼の指は抜け出てゆくのではなく、僕のなかの浅いところのお腹側、陰茎の根本あたりの一点を軽く押し上げながら、そこの小範囲をゆっくりとさすってくる。
こう僕に優しい声で聞きながら…――。
「ほら…ねぇハヅキ…ここも気持ちいいでしょ…?」
「…ふぁ…?♡ …ぁ…?♡ …ぁぁ…♡」
たしかに、気持ちいいような…――しかしこの快感もまた、僕にとっては未知のものであった。
――これは…膀胱 のあたりだろうか、そこから全身の神経がもぞもぞとしてくるような快感がじわー…っと広がって、何度もさざめくように鳥肌がたつ。
ただ快感の源泉がいまいち断定しきれず、膀胱なのか陰茎の根本なのか膣内なのか――とはいえ僕が「膀胱」とまず思った理由というのは、…恥ずかしいが端的にいえば、そこを刺激されると『おしっこしたい』というもどかしい感覚になってきてしまうせいなのだ。
ましてや…おそらく「漏らして」はいないはずだが、僕の陰茎からはたら…たら…とカウパー液が漏れ出ているのか、その熱い粘液が陰嚢や鼠径部 を熱くぬらし、とろとろと下の布団へ流れおちてゆくのを感じる。
だが、単なる尿意というのでもない。
……そのあたりをハルヒさんに押しあげられながらゆっくりとこすられると、尿意に近いツーンとした感覚に加え、そこら一帯にじわーー…っとした不思議な、曖昧な快感が広がってゆく。ムラムラしているときの感覚にも近いかもしれない。――すると全身からふっと力が抜けてしまうような、それでいて臀部や太ももがふるふると震えてしまうような、肌がざわざわと粟立つような、穏やかな、なめらかな、しかし不安な快感が広がって、はぁ、はぁ、と呼吸が震えながら自然と短くなってゆく。
「は、♡ …ぁ…♡ …はぁ…♡」
「…ここ、ウエも大好きなとこ…。ハヅキもここでいっぱい気持ちよくなろうねー…♡」
「……は…、ぁ…♡ …んん…――♡♡」
……そうして僕ははじめてそこに触れられ、まずはじっくりとそこをほぐすように、あるいは僕に「ここは気持ちいいところ」と教えこむように――ハルヒさんにそこをとんとんとタップされたり、こね回すようにマッサージされたり、押し上げられたままコスコスこすられたりと、そうしたやさしくゆっくりとした愛撫をもって、じっくりとそこの快感を味わわせられた。
そして僕はそのじっくりとした愛撫のさなかにも、その場所でおだやかな絶頂を迎えた。
「……あ…っ?♡♡」
という間にも、僕は膀胱から一気にふわっとそこの枠を越えてにじみ出した快感が、それを皮切りになすすべもなく膀胱周辺にふわーーっと広がってゆく、というような絶頂を味わった。――イメージとしては、よく濡らした画用紙の上に一滴水彩絵の具を垂らしたなり、それがじわーー…っと四方八方ににじみながら広がってゆくあの感じ…というか…――ただ陰茎でイくそれよりも凄まじいのは、そこでの絶頂と比べて何倍も、その瞬間に頭がぽーーっとしてゆくところだった。
「ふふ…気持ちいいでしょ…? ここ開発すると、挿れただけでイけるようになっちゃうみたい…」
「……は…♡ ぁ…♡ っはぁ……♡♡」
挿れた…だけで、…僕の腰がまたイきながら、へこ…っへこ…っと動いていた。もちろん意図的にではない。勝手にだ。
しかし――お仕置きたらしめるのは、ここからであった。
その後僕は執拗に、そこで何度もイかされたのである。
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