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 ハルヒさんは掴んでいた僕の膝の裏ちかくの裏ももを手放した。そのかわり、僕の膝の裏にワイシャツの袖をまとう肘を通して、彼はソファに両手を着いた。すると当然僕のお尻はやや持ち上げられているような――ハルヒさんの勃起が生えた恥骨にちょうど膣口が真っ向から当たるような――状態となり、その状態でばちゅっばちゅっと恥骨で殴打(おうだ)するように、どちゅっどちゅっと上から深く押し込むように速く、強く、激しく腰を振られてしまったら、… 「ンあ゛…ッ!♡♡♡ ア゛っ♡ ア゛っ♡ ア゛っ♡」  甲高いが、にごった悲鳴をあげてしまう。  なぜって、…そのたび子宮のみならず、何かこう胃かなにか内蔵を押し上げられている、子宮を、内蔵を押しつぶされている、というような苦しさがこみ上げてくるのだ。が、といって実はその苦しさというのは一割ばかりのことで、それはのこり九割の強い快感にまぎれてしまっている。――絶頂寸前の奥を強く押されているのだ、となれば当然、汗が更に全身にふき出るほどの危機感さえ立ちのぼるすさまじい快感が、…いや、ともすればその苦しさは「気持ちよすぎて苦しい」と錯覚するほどである。その強い快感が胃のほうまでこみ上げてきている、とさえ思われてくる。  ……だが、その絶頂において決定打になりうる快感を何度あたえられてもなお、僕の体は(いら)立たしいほど従順に、絶頂寸前のその数ミリからつま先ひとつ動かそうともしない。 「きもちぃ…?」 「ア゛っ♡ アぅ、♡ きっきもちぃ、♡ にゃあっ…!♡ ア゛っあぁ…っ!♡ ァあア…っ!♡ れも…っ♡ れも、ぃ、イきたい、♡ イきた…っア゛、♡ ぃ、ひ、♡ いっイきたいぃぃ…っ!♡♡」  僕は子どものように顔をゆがめて、それもおよそその顔を真っ赤にして泣いている。もはや突き挿れられるその衝撃に、自分の下腹部にそり返った勃起が根本からゆらっゆらっゆらっと揺らぐ、その揺らぎに覚えるかすかな快感さえもが苦痛である。  なお僕のその涙にはともすると被虐趣味からの歓びが含まれているかもわからないが、しかし少なくともつらい涙であることには違いない。  イきたくてたまらないのだ。そのイきたくてたまらないところをめちゃくちゃに刺衝されているのだ。絶頂に至らしめる快感が次々と、次々と押し入るように、深く刺しこまれるように迫ってくるのだ。  だが――どうしたってその確実的な絶頂の影は、あとほんの0.何ミリから先へは微動だにしないのだ。 「あ゛っ…!♡ あぅっ…!♡ ぐ、ごめんなさい…っ!♡ ごめんらさ…っ♡ ゆるひて、♡ ごめんらひゃい、♡ ごめんな、さ…あ゛っ…!♡ ア゛あぁ…〜〜っ!♡」  で、僕がなぜこうも喘ぎながら、泣きながら、なりふり構わず必死に平謝りしているか? 「ごめんなしゃい…っ!♡ ごめんなしゃい…っ!♡ おねがいします、いかせ、♡ いかせてっおねがい、♡ ぉかしくなっひゃ、♡ おかしくなっらゃぅう……っ!♡♡ ご、ごめんらさぃ、♡ ごめんなさ、♡ あ゛、♡ ア、♡ はづきゎ、悪いこで、っごめんらさい…っ!♡ ぅああっ…♡ ゆるひて、♡ もぅゆるしてくらしゃい、!♡♡」  ………ひとえに、イきたいから。それだけである。  すると…――。 「じゃーあ…、可愛いこと言って……?」  そういたずらを楽しむような調子で言ったハルヒさんは、タン、タン、タンと速さこそそのままに、力強さばかりはゆるめる。すると僕の首輪やニップルクリップの鈴もチリンチリンとそのたび軽快に鳴る。  ……なおもはや言うまでもなく、僕にかけられた「呪い」は何もこの「イくな」と命じられたならどうしたってイけない、というのばかりではない。――ご主人様であるハルヒさんを喜ばせる淫語および好意的なセリフを言うこと、というのもあるのだ。  それで僕は斜め下へ顔を伏せたまま、伏し目ながらも微笑する。 「あっ…♡ あっ…♡ 僕の花婿さんのおちんぽ、♡ 僕のおまんこいっぱい気持ちくしてくれる、お婿さんのおちんぽ、♡ ハヅキ、世界で一番だいすきだにゃあ…っ♡ ――でもハヅキ、ハルヒのおちんぽしか知らないけど、♡ んん…っ♡ 知らなくていいの、♡ 知る必要ないの、♡ ぁ、ぁ…♡ だって、心から好きなひととのえっちじゃないときもちくないし、♡ ぁ…♡ ぁあ…っ♡ ぁんきもちいい…♡ きもちいいにゃあ…♡ ハルヒのおちんぽ、ハヅキの奥の奥まできてくれるの…♡ ぁ…♡ すごい…♡ すっごくきもちいいにゃあ…っ♡」  なんて…そうして僕は、呂律(ろれつ)さえふわふわととろめいた甘い上ずった声で言ってしまうわけだが……要はハルヒさん、(意外とドSの割に)僕にとろあまラブラブな淫語を言われたい「(へき)」があるんだろう。――なぜなら僕は今、何も自分の意思だのアイディアだのでこう言っているわけではなく、あくまでも「ハルヒさんの喜ぶ淫語」と「呪い」で限定されたセリフを言っているからである。…つまりほとんど()()()()()()()のだ。  ただ僕としては、へたにSM的なマゾっぽいセリフを言わされるよりか、甘ったれた(悪ければぶりっ子スレスレの)こちらのほうが精神をやられそうなんだが――といって僕はもちろん、もう己の意思では止まれなかった。…片腕を上げてうなじを沈めているクッションを指先で掴み、眉をひそめながらも、半目開きでハルヒさんを見上げる。 「あっ…♡ あっ…♡ あんっ…♡ あっ…♡ は、♡ は、♡ でも、信じられないにゃあ…っ♡ ハヅキの運命のひとのおちんちんが、こんなにすっごく大きくて、硬くて…ぁん…♡ すっごくすっごくきもちぃいだにゃんて、あっ…♡ あぁっ…♡ ぁ…うれしい…♡ しあわせ…♡ ハヅキは、ハヅキはほんとうにしあわせものだにゃあ…っ♡ ――僕、ハルヒと結婚してよかったにゃん…っ♡」 「あは、…かわいすぎ…!」  ……(当然といえば当然だが)ハルヒさん、動きながら破顔するほどご満悦である。で、彼は興奮気味にタンタンタンと動きを速めるのだが、僕はその(つらい)快感に眉をひそめながら、ほろ…ほろと目尻から涙をこぼしながらも、彼を見つめて微笑する。 「あっ♡ あっ♡ あっ♡ あぁしあわせ…っ♡ しあわせなの…っ♡ 僕、すごくしあわせ…っ♡ ん、♡ だいすきなハルヒに抱いてもらえて、♡ だいすきなだいすきなハルヒとひとつになれて、♡ は、♡ は、♡ あぁきもちぃ…っ♡ ハヅキのおまんこもしあわせ…っ♡ だって、だいすきなハルヒのおちんぽが入ってるからぁ…っ♡ ――あぁん…っ♡ それに、運命の旦那さんがこんなにりっぱな巨根で、えっちもすっごく上手だにゃんて…っ♡ …あっ…♡ あぁきもちぃいよぉ…っ♡ ぁ、♡ ぁ、♡ あぁあ…♡♡ ぼくっ…♡ ぼくっほんとうにしあわせだにゃあ…っ♡♡」 「うーかわいいー! かわいいーハヅキ! だいすき…っ、ほんとかわいいー!」  ……しかもハルヒさんがこれで本気でニコニコおお喜びアンド大興奮しているのがまた、僕は泣きそうになるくらい恥ずかしいのだが、――「ぁんっ…♡」と甘ったれた嬌声をあげながら、彼のうなじに両腕をかけて抱き寄せる僕は、こう言いながらおよそ恍惚とした猫のように目を細め、にっこりとするのだ。 「ぁッ♡ ぁッ♡ ぁんっあぁーきもちいい…♡♡ ハルヒのおちんぽきもちいぃにゃあ…っ♡ 僕、おまんこもあたまもとろとろになっちゃうにゃあ……っ♡ は、ハヅキ、♡ ハヅキはぁ…っ♡ あっあっ…♡ ハルヒのお嫁さんにしてもらえて、♡ せ…世界一、しあわせものだにゃぁ…っ♡ ――ぁむ…♡ んん…っ♡」  すると斜めから唇をふさがれた僕は目をつむり、そうしてきたハルヒさんと唇をはみ合いながら、ぐるぐると喉を鳴らす。 「…ん、♡ ん、♡ ん、♡ っんん、♡」  しかしぱちゅぱちゅと――イきたくてたまらない――奥を突きつづけるハルヒさんにもう限界だと、僕は顎を引き、唇の表面が触れ合っている距離でじいっと、そのとろめいた目を見つめる。 「は、♡ 好き…♡ ハルヒ、好きだよ…♡ だいすき…♡ ハルヒ…僕に寂しい思いさせないでね…♡ ま、毎日…ぁん…♡ まいにち、僕とえっちしてね、ハルヒ…♡ 毎日僕を抱いてぇ……♡」  ち、ちがーーう! 僕は今「もういい加減イかせて」的なことを言いたかったのだが、 「ぁ…♡ ぁ…♡ は、お願い…♡ お願いハルヒ…♡ 僕と毎日いっぱいえっちしてぇ…♡ 毎日僕のおまんこに君のおちんぽ挿れて、いっぱい僕を気持ちよくしてぇ……♡ あん…♡ ぁ…♡ あ…♡ 僕、ハルヒがお仕事に行ってるときも…毎日、ずーっとハルヒのこと想って…♡ 帰ってきたハルヒとのえっち、楽しみにしてるにゃあ…♡ ――ん、♡ ふふ…♡ ハルヒのためだけにぃ…♡ 僕、いつもおまんことろとろに濡らして、発情させておくから…♡ ……だから、約束だよ…?♡ ――僕と結婚したんだから、責任もって…♡ 毎日僕をいっぱいいっぱいかわいがって、大事に大事に愛してにゃあ……♡♡」 「……、…、…」  ハルヒさん、コクコクと頷いているが、もう今にも高笑いしそうなほどニッヤニヤである。――それを唇をひき結んでなんとか耐えているようだが、…まあ喜んでいただけて何よりだ……。 「あぁ…ぁ…♡ ハルヒぃ…♡ ぁん…♡ ぁ…♡ 僕、ぃ、イきたいにゃあ……♡」  ……ぉ…僕にしてみればやっと本題に入れた……。  僕は喉をぐるぐると鳴らしながら、「ん…♡ ん…♡」とハルヒさんのその(ニヤけすぎてぷるぷる震えている)唇をぺろ…ぺろと舐め、ちゅう…と吸い付き、それから上目遣いで彼に微笑みかける。 「ハヅキ、世界で一番大好きなお婿さんのおちんぽでイきたいんだにゃあ…♡ ん、ハヅキの発情猫子宮…♡ かっこいいハルヒに恋して…♡ ハルヒのザーメン欲しくて発情しちゃった、えっちなハヅキの恋猫子宮…♡ 僕がだいすきなハルヒのおちんぽでいっぱい突いて、イかせてにゃん……♡♡」 「……っんふ゛、…ん、ぅん゛、…」  ハルヒさんはもはや目を白黒させて動揺するほど「ツボ」にぶっ刺さっているらしく(まあそりゃあ今僕は件の「呪い」のせいで、ハルヒさんの「ツボ」にぶっ刺さることしか言わないのだから当然だが)、にんまりとしながら――しかしまばたきはパチパチと多く――、コクコクと頷いた。  まあしかし、なんにしても……! 「……ぁ…♡♡」  や、やっとイける…♡♡――と僕が恍惚と、その解放に心を明るくして思ったのもつかの間、ハルヒさんはいつの間にかサディスティックな微笑を浮かべ、こう言うのだった。 「へへ…♡ じゃーあ…()()()()()()()()()()()()、イッていいよ…?」 「は、♡ ぇ、?♡」  何、  ……しかし、ハルヒさんはすぐニヤリと細めた両目で僕を見つめながら、ぐちゅぐちゅ、ぱちゅぱちゅと僕の奥ばかりを浅い速い動きで責め立ててくる。…それも僕の片胸を鷲掴み、ちょうど白レースの縦の裂け目からぴょこんと露出した僕の乳頭の先を、親指の側面と人差し指の硬いつけねのあいだでぎゅ…とはさみながら。  となれば当然、 「ンっ…♡ ぁ、♡ あぁあ、♡ あっ♡ あっ♡ ぁんっイく、♡ あぁあぁイくイくィk…………ッ♡♡♡」  もはや声さえ出ない。息さえ止まる。  喉が反れ、背中が反れ、奥歯を噛みしめて耐える僕の腰の裏がぐんっと反れて、ガクガクと体が震える。ビクッ…ビクッと、ぐうっ…ぐうっ…と縦に上下する僕のお尻のその動きは、子宮や膣内の激しい痙攣、収縮がお尻の筋肉にまでおよんでいるせいである。  つまり――僕はやっと絶頂できたのだ。 「………っはぁ、♡ ぁ、♡ ぁ、♡ はぁ、はぁ、…」  だが、 「だめ…だめだめ、たりない、♡ これじゃや、♡ いや、♡ いや、♡」  ……イッたというのに、猛烈に渇いてゆく。  足りない。――足りないのだ。  満たされるどころか、絶頂によって大穴が開き、そこから満たされるべきものの何もかもが溢れて抜け落ちてゆくようなこの――この、身を焦がすすさまじい渇望、 「もっとぉ、♡ たりない、♡ これじゃたりないの、♡ いやっ…♡ もっと、♡ もっとして、♡ …もっとぼくをイかせてハルヒぃ…――っ!♡♡」  僕は半泣きでハルヒさんを切なく見つめ、もはやそうすがる他なかった。

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