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「――ねぇハヅキ……?」
ハ ル ヒ の その微笑を見たとたん、
「…は…、…………」
僕の全身をわななかせていた絶頂の小刻みな波紋がすぅ…とたちまち、尻すぼみ的に鎮 まってゆく。
……そして彼はすぐに眉をひそめ、銀の長いまつ毛に縁どられたそのタレ目を、怒ったように強ばらせる。――ただ彼の凛々しい濃い灰色の眉、その眉尻は下がっているし、むしろ彼のその怒っているような困惑しているような表情は、真剣に僕を心配しているのだと、なにか察するところがある。
「ねえ、許しちゃだめ。…だめだよ、ねぇ俺、どうしたら自分が満足できんのか、自分でもまだわかんないから…――ハヅキがそばにいてくれることや、君を抱けることにものすごい幸せ感じて、ものすごい満たされてんのに、――それなのに俺の魂はどっかでまだ、〝もっともっとハヅキが欲しい〟って叫んじゃってるの…。…だから……」
「……、…」
…………――する…とハルヒさんの頬を撫でた、僕の生白い痩せた左手――チラと障子の丸窓から差し込む朝日にきらめいた、薬指の結婚指輪――、僕は彼を見上げながらふっと微笑んだ。
「いいえ、でも…僕は結局、貴方を許すことしか出来ません…。それは自分のために…――だって、貴方が僕を〝もっと欲しい〟と思って、僕のことをもっと求めてくれなければ…――これほど幸せであってもなお僕の魂が叫んでいる、〝もっと貴方に求められたい〟という疼きが、決して満たされないから……」
君 が 恐れているのだろう。
僕と「あの約束」を交わしたシタハルではなく、また君のその魂でもなく、この地上で、人間としての倫理観や清らかな愛とは何かを、これまでに十分知り得てきた君 が…――しかし、きっとだから満たされないのだろう。
自分の魂が求めていることに良心の呵責 から抗ってしまい、そこで君が中途半端に遠慮をしてしまうから、いつまでも『まだ足りない』とシタハルの魂が渇きを訴えつづけてしまうのだろう。
これはたとえば空腹のとき、気休めの間食をすると余計お腹が空 いてしまうようなものである。限界まで枯渇した心身が――魂が――満足を得るためには、たまには享楽的、かつ堕落的なほど、腹がはち切れんばかりの、もうしばらくはいらない、と幸せな苦痛を知るほどの満腹となるまで欲するものを貪る必要があるのだ。
僕は複雑そうに表情を曇らせているハルヒさんに、ふと頬を熱くしながら微笑みかける。
「遠慮、しないで……。僕は幸せなんです、本当に…――だからまた…、たまにはまた今日のように、夜通し激しく僕を抱いて……? ――そのときは我慢しないでいいですから…、僕のこと、壊しちゃってもいいから…――だから…どうか貴方のその魂の渇望のまま、何度でも…好きなだけ、僕を求めてください…――だってそれこそが、貴方に求められたいと飢えている僕の魂のよろこびなんですから……」
「……、…」
ハルヒさんはやはり心配そうな顔をして僕を眺め下ろしていたが、
「わかった…」
と目を伏せ、こくんと首肯した。
僕は目を細め、口角をもっと上げて、笑みを深める。
「はい。…今日は僕、本当に幸せd……」
「そうだよね…。じゃあこれからは遠慮なく…」
「……、え。…ぁ、あの…」
ただ…――その、…もう外がかなり明るいのだ。
……で、今パジャマのボタンをぷちぷち開けられるのは、…すなわち……。
「あの、ただ流石 にもう困ります、今からはちょっと…――もう誰か来るかもわからない時間なので、多分……」
「我慢しなくていいって言ったじゃん」
とハルヒさんは目を伏せたままぼそっとこぼす。ボタンを開けようとしている自分の手を掴んだ、僕の手をペッと振り払いながら。
「そ も そ も 永 久 機 関 だ か ら 。」
「は」
何、永 久 機 関 ……?
「だからぁ…」といいつつ、僕のパジャマのボタンをまた開けはじめた彼に、僕はやはりその手を止めようとはするが、彼はまたペッ…ペッと僕の手をわずらわしそうに払いのけながら、
「だからさ、俺が射精するじゃん。で、ハヅキの子宮に俺の神氣が溜まるでしょ。」
「はい…」
さらにハルヒさんは、パジャマのボタンが開けられたそのすき間から見える、僕の胸もとをじっと見下ろしながらこう続ける。
「で、ほんとはじっとしてたら一番効率いいのはそうだけど、別に動いてても俺のちんちんには神氣入ってきてるから。――疲れないんだよね。…てか、だから君も失神してすぐ目ぇ覚ましたんでしょ。――しかも今ちゃんと正 攻 法 で 神氣補給もできたし。…そしたら寝なくても大丈夫な感じなんだよね、俺、今。…超元気なの」
「……、…、…」
僕は愕然 とした――そ…そういえば確かに僕も今、気だるいにはそうだが、なぜかふしぎと眠たくはないのだ…――。
そうして僕が固まっている隙に、また僕のパジャマのボタンをぷちぷちと開けてゆくハルヒさんは、目を伏せたままニヤッといたずらに笑う。
「てか神も一応寝るけどさ、それだって自分の分霊とミーティングするためとか、あと暇だからとか、寝るの気持ちいいからとかってだけで、別に人間の子たちみたいに疲労回復のためじゃないから。――酔って爆睡とかイきすぎて失神する、とかはまああるけど、それは失神であって睡眠ではないし…――つまり神は肉体的には、別に寝なくてもだいじょうぶってこと。だから俺たちもきっとだいじょぶだいじょぶ。」
「……ぁえ、…、…、…」
なんという、――いや、本当に大丈夫なのか、?
「ぁ…っ♡ …んん、♡」
や、♡ 乳首、舌でころころしないで、♡
「…かわいい…ハヅキだって乳首ビンビンに勃ってるじゃん…? ほら…」
「……ん、♡ やっやめ、…ぇ、♡」
先っぽカリカリ、♡ やめ、て、♡
っいや、…いやだが、僕は先ほどハルヒさんの渇望の発露を「許し」た際にも、きちんと「大前提」をつけていたはずである。と、ハルヒさんの肩をぐーっと両手で押し上げながら、彼を睨み上げてこう言う。
「っいや、…いやいやだとしても、だとしてもです、〝たまに〟です〝たまに〟…っ、ああいうのはたまににしてもらわないと、さすがに毎日とかは困りますし、というか何より今からはちょ…っん、♡」
……とか言っていたらとちゅっと奥を突かれ、そのままトントンと奥を…――僕は声をこらえながら目をほそめ、腰をくねらせながらも、ニヤニヤしているハルヒさんをまたキッと睨みあげる。
「ん、♡ …っだ、だめ…ハルヒさん、」
「じゃあこれで最後にするから。」
「…っほ、ほんと…ですか、それ…?」
と僕はハルヒさんを疑わしく見上げている。彼は「うんうん」と意味深な暗さのある笑顔で頷く。
「じゃあそれ絶対約束できますか…――やくそ、っん…♡ …できないなら、あん、♡」
ハルヒさんがくんっと奥に深く差し込んできたために、僕はビクンッと腰の裏を浮かせながら顎を上げた。――そのままゆさゆさと揺さぶられ、とちゅとちゅと奥を突かれ…――。
「ぁ…♡ ぁ…♡ ぁ…♡ ぁ…♡ っだ、やくそ、…っ♡」
僕はまくらの端をつかみながら斜め下へ顎を引き、眉をひそめ、そっと目をつむる。
「ふ、…ぁん…♡ だめ、や…約束、…ま…う♡ ぁ、♡ はぁ…♡ ぁ…♡ だめ…っ、……だめぇ…♡ んん、♡ んあぁ……♡」
あ…だめ…奥優しくトントンされるの、きもちぃ…♡ ――いやっ…じゃなくて、だ…っ!
「ゃ、約束、ぅ…♡ やく、そく…ん、♡ してくれ…っないと、…っ♡ だ…ぁん…♡ だ…めぇ…♡ じゃないとえっちしませ…ぁ♡ ぁ♡ ぁ♡ やっやくそ…く…っ♡ や、ぁ…っ♡ ぁあ、♡ ぁあ…っん…――♡♡」
ちなみにだが…――その(したのかしてないのかもわからない、というかひょっとするとわざとハルヒさんは『俺別にしてないも〜ん』な方向にはぐらかしたのかもしれない…)「約束」は守られず……。
結局これで一回。――さらに……、
事後、一緒にお風呂に入って……、
「…んっ…♡ いやっどうせ我慢出来ないでしょう貴方、いいですからっいいですっ! 自分で洗えま…っあ、♡ あぁ…〜〜〜っ♡♡」――なんて壁に体を押し付けられ、後ろから…これで一回。
……で…お湯をためた浴槽のなか、バックから……、
「ぁ…っ♡ ぁ…っ♡ ぁ…っ♡ もっ…な、何回するの…っ♡ は…♡ やめ…っ♡ もうだめ…っ♡ 僕、へ、変になっちゃぅ、♡ ――ていう、…っかあ、♡ あっ…ぁ、♡ あ、♡ あれが…っ♡ 最後って、言ったのに…――っ!」
僕は浴槽のへりに両腕をかさね、そこに顔を伏せながら、そう涙声で文句を言ったが――とまれかくまれまた一回。
それから脱衣所、上着(黒いパーカ)を頭からかぶり、それの裾を下ろしていた僕の後ろから……、
「ぁ…?♡ ぁあう…〜〜〜――っ??♡♡♡ あっ…♡ ひ、♡ いっいきなり、ぁ、♡ な、なんでうしろから挿れ、…っですか、?♡ も…ッぁ、♡ ぁ、♡ だめ、あん…♡ あぅ…♡ やっ約束は、? ぁ、♡ もっ…だめっハルヒさ、♡ ぁ、♡ ぁ、♡ ぁ、♡」――なんて立ちバックで一回。
「ほ、本当に神氣補給だけですよね…?」とまた寝室、ベッドの上、正常位でハルヒさんを迎えいれた僕がいぶかるも…――まさか(僕が「許して」しまったせいで、タガが外れたハルヒさんが)それだけで終わらせてくれるはずもなく……、
「あっ…♡ あっ…♡ あっ…♡ も、約束とちが、あぁ…っ♡ だめ、ぁん…っ♡ もぅやだ、♡ もう外明るいのに、♡ 誰か来ちゃ、…ゃ…ンンん…ッ!♡♡ 〜〜〜っ♡♡」
これで…夜通しからの更に計五回…――。
ただ……そのあと、やっと十時頃になって――。
ベッドの上に座った僕のことをまた襲おうと横から抱きしめてきたハルヒさん、だったが、
そこで救世主 がコンコンコン、と寝室の扉をノック――「お 取 り 込 み 中 大変失礼いたしますが」
「そろそろ…ご準備をお願いしますぞシタ様…」
「チェッ…はぁーい。――じゃあまた今夜ねぇ…?♡ ハヅキ、大好き大好き大好き〜〜♡ んん〜〜♡♡」
「……、…、…」
……と、精根尽き果てた僕にすりすりと頬ずりして、…えっていうかこんだけしたのにまた今夜もするの…と僕はあっけに取られてしまったが、――これでまあ、何とかやっとのこと僕は解放されたのであった。
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