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 真っ白なチャペル内…――真上のガラス天井から、神々しい燦爛(さんらん)とした太陽光の射しこむ白い講壇の前で向かいあい、形ばかりの誓いのキスをしようとした僕とハルヒさんに、……なのかどうかはわからないが……、とにかくなぜか()()()()()()、 「っうおいこんっの悪餓鬼ども!!」  と、ガラガラの酒やけしたような中年男性の怒鳴り声がきこえ、僕とハルヒさんとは一斉に――向かいあう僕らの隣というべきか、バージンロードのほう、それもそのガラス張りの床のほう――へふっとふり返り、きょとんとしつつもそこを見下ろした。  するとそこに見えたのは、ものすごく小さな――十センチあるかないかの黒い、…黒い、…小人(こび、と)……? 「……?」  僕はよく目をこらす。  これは…黒い…黒いのは、その色のタキシードを着ているから、そして黒髪であるから、…ものすごく…()()()()()()()()()()()()()()――浅黒い肌に武者のような、無骨な口ひげを生やした勇ましい顔の中年男性、黒い髪をオールバック的に、高い位置でポニーテールにし(ただしポニーテールとはいえ、癖っけなのかその髪はボサボサと太陽マークのように広がっている)、そしてその細身に黒いタキシードを着た……、 「べらぼうめ、こン野郎(にゃろ)、危ねぇじゃねえかぃ! いきなりあんなバカみてぇな強ぇ風吹かせるんじゃねえ!」 「……、少彦名(スクナビコナノ)(ミコ、ト)――?」  僕はその小さな男神の名をつぶやいた。  ……()()()()――ふと僕は思い出し笑いをしそうになり、あわてて上下の唇をうち側に巻き込む。  なぜといえ、彼は今かなり憤慨している様子であるので、これでちょっとでも笑ったら余計彼の神経に(さわ)ろうからである。 「あ、少彦名(スクナビコナ)のおじさぁん」――ハルヒさんがそうのほほんと言いながら、小さなスクナビコナノミコトへ向かいあい、その場にしゃがみこむ。  そして彼は、ふたつ並んだベージュのスラックスの膝頭に両ひじを立て、自分の両頬を手のひらで包み込むと、く…と、一目(いちもく)瞭然(りょうぜん)怒り顔のスクナビコナノミコトにむけて小首をかしげる。 「ごめんごめーん…、ちいっちゃくて俺、おじさんがまだいるのに気が付かなくってさぁ〜〜」 「小さいって言うんじゃねェや! ぶっとばすぞオイ、シタ!」 「…え〜〜、でも俺の風にぶっとんだのはおじさんのほうでしょ? うぷぷ…ちっちゃいから…」 「……はは…、……」  しかし、結局僕は微笑ましいそのやり取りにちょっと笑いつつ、とりあえず自分もスクナビコナノミコトへ体を向け、その場にゆっくり静かにしゃがみこむ。――さらに自分の両膝のうえに両腕を重ねておく。 「言いやがったな、ええ? オイクソッたれ、ぶっとんだどころじゃねえや!」――スクナビコナノミコトは目をかっぴらき、(ひげ)に囲われた口も大きく開いて、ハルヒさんをびっと指さしながら糾弾する。 「オメーの悪風にビューッとふっ飛ばされた挙げ句、オレぁこのチャペルの扉にバコーッン! とぶち当たっちまったんだよ!」 「…ぉあ〜そっかそっかぁー、それはほんとにごめんねぇ? でもだってさぁー、ほんとに気が付かなかったんだもーん…」 「……、…」  うーん……こんなに小さなおじさん…、もはや人間以外のなんなんだろう…?  やはり多少もの珍しさを覚えている僕は、その十センチあればいいところのスクナビコナノミコトをしげしげと見下ろしながら、自然すこし首を傾げる。  とはいえ、僕はこのスクナビコナノミコトを知っている。  ……というか、()()()()()――。  というのも――今日までのこの一週間のうちに、僕が思い出した「神の記憶」の主たるものは、ウワハル・シタハルの日常的な記憶ではあったのだが――実はそれのうちには、このスクナビコナノミコトと過ごした「記憶」も含まれていたのである。  そのきっかけは確か…――。 「……、…、…」  僕はにわかに熱くなった顔を両腕に伏せて隠した。…頭から熱い湯気がふしゅーっと噴きだしている気さえしてくる……。  というのも…僕にとっては思い出すのも恥ずかしいことがきっかけだったのだ。  ……なくしものをしたという失敗もあれど、何より、あのときは自分からハルヒさんを襲ってしまったようなものだったからである。  ある日の朝、まだハルヒさんは眠っていたのだが、寝ぼけながら僕のことを抱きよせ、『はづきぃ…』とぎゅうっとしながら、すりすりと僕の頬に頬ずりをしてきた。  僕はそこまでは照れくさいやら微笑ましいやら、可愛い、愛しいと単純にそれを幸せに思っていたのだが、…そうしたら何かのはずみに、…その…――朝勃ちしている彼のが下腹部にぐりっと当たって、… 『……、…、…』  ……僕も朝はいつもより余計にむらむらしているので、つい…それで「スイッチ」が入ってしまい――ゴクン、と喉を鳴らしたのが早いか、僕は我慢できずに、ドキドキしながら彼のをまずはやさしく撫でまわした。…いずれにせよ朝に「する」ことが多いので、あわよくばそれで起きてくれないかな、と期待して。  しかしハルヒさんは、それでは『ぅう…んん…』とうなりはしても起きてはくれず――次第に「とろとろ」になるほど興奮してきてしまった僕は、寝起きともあり理性が普段より確かではなく…――横向きにねていた彼をまずはころんとやさしく仰向けに、そしてかけ布団の中にもぐり込んで、半パンも下着もずらし…ぱくん。のち、ちゅぷ…ちゅぷ…。  ……すると、さすがにビクンッと腰を跳ねさせたハルヒさんが、『んぁ、? は、ハヅキ…?』 『…ん…♡ …ん♡ …ん♡ …♡♡』  しかし、あまりにもむらむらしていたこのときの僕の頭の中には、「ハルヒさんとえっちしたい…♡ ハルヒさんのおちんちん美味しい…♡ このおちんちんが早くなかに欲しい…♡」しかなく…――彼が慌ててかけ布団をガバッとはぎ、上体を起こしながら目を丸くして僕を見下ろし、 『は、ハヅキ…っ?』  と再度そうして呼びかけられたことでやっと僕は、頭の上下運動を一旦やめた。そして、 『……、…』  僕は切望の眼差しで彼を見上げ、しばらくそのひとの驚いたオレンジの瞳をじっと見つめたのち――ちゅぽ…とそのひとの勃起を口から出したなり、それをちゅく…ちゅく…とゆるくしごきながら、こうささやき声で言った。 『はぁ……えっち…、えっちしたいんです…、ハルヒさんのおちんちん、硬くなってて…、…むらむら、しちゃって……は…、我慢、できない……』  すると、 『う。…今日も朝からめっちゃ可愛い…、…え、えっと、もちろん…、えへへ…――もちろんいいよ? えっち…しよっか…、おいで……?』  とハルヒさんはへにゃぁと(少し困った感じに)笑い、いいよえっちしようと両腕をひろげてくれた。  それで僕は早急に起き上がり、下に穿いていたパジャマのズボンや下着をあわてて脱いで、――上は紺のパジャマを着たまま――彼にまたがり、早速…ずぷぷぷ…… 『……っは、♡ ……ッあ…――♡』  と対面座位で挿入…――そしてすぐハルヒさんの肩を両手でつかみ、そのまま夢中で腰を振った。 『は、♡ ぁ…♡ ぁ…♡ きもちぃ…っ♡ はぁ…♡ ありがと…ぁ…っん…♡ っん…♡』 『ふふ、…もう…ほんと可愛い…――我慢できない…とか、うれしすぎー…――でもなかすごく濡れてるけど…、自分で触ったの…? そうなら俺、ちゃんと触ったげたかったのになぁ…』  ハルヒさんはうっとりと僕を見つめながらもそう、ちょっとすねたように聞いてきたが、…僕は彼のうなじにぎゅっと抱きついて顔を隠し、――恥ずかしかったのだ――にゅぷにゅぷと腰を動かしながら、『さわって…ないです…』 『ハルヒさんのおちんちん触って…舐めていただけで…、…は、♡ すごくむらむらして…こんなに、とろとろに…濡れ、ちゃったんです……』 『うーー、ちょっと、朝から激しくしちゃいそう、もう、――ていうかまた〝ハルヒさん〟って呼んだから、ちょっとお仕置きね…?』 『あっ、♡』  ハルヒさんの両手が僕のお尻を鷲づかみ、そのままパンパンと下から突き上げられる。 『ぁ、♡ ぁ、♡ ぁ、♡ ………っア、ふ、♡ ご、ごめんなさ…♡ は、ハルヒ…♡ 奥、きもちいい、♡』 『へへ、…でもちゃんと我慢しないで俺のこと求めてくれて、ほんとありがとね…?』 『あっは、♡ はい…♡ すき…♡ すき…っ♡ 僕、♡ ん、ん…っ♡ はっハルヒが、好きすぎて…♡ ほんとうは、朝から晩まで、♡ ぁん…っ♡ ぇ、えっち、ずっとえっち…♡ してたいくらい、なんで…す、…うぁ♡ ぁ…っ♡ あっ♡ あっ♡ きもちぃいっ…♡』 『…おれも〜♡ はぁ、…ハヅキったら、食べちゃいたいくらい可愛い…♡』  とハルヒさんは僕の耳に甘い声で囁いたのち、一度止まると、本当にカプッと耳を甘噛みしてきた。 『んっ…!♡』と僕はびっくりしたのもあり、ビクンッとしたが、…彼の耳に仕返し――唇をむに、と押しつけてから――吐息とともにこう甘い気分で囁いた。 「は…、…僕も…ハルヒになら、食べられ、ちゃいたいな…、なんて…ふふ…、……大好きです…それくらい…』 『……、あーあ。…もう…そういう可愛すぎること言うと、俺、朝から腰立たなくなるくらい激しくしちゃうからね…――?』  それで…――本当に「激しい」事ののち、  ちなみに僕は例の「すっぽぬけ紛失」を恐れ、寝るときにはやはり極力結婚指輪を外し――たまにそのまま気を失ってしまうだの、忘れてそのままだの、ということもあったはものの――、そしてその指輪を、ベッドサイドテーブルに置いた箱に入れてから眠るのだが、……ない。  ……その日は箱の中に結婚指輪がなかったのだ。  それで――いまだ(何度も何度もしつこいくらいイかされた激しい)事後の余韻にぼーっとはしつつも…――指輪を探さねば…ということになったのだが、そのときハルヒさんが何気なく、 『あれ〜〜? ふふふ、()()()()が隠しちゃったのかなぁ…?』  と冗談っぽくわらいながら発言したのが「神の記憶」を開く鍵となり…、――ちなみに指輪は僕のまくらの下にあった(そういえば眠るとき箱に入れるのが億劫で、とりあえずここでいいやと入れてしまっていた)ので、すぐに見つかったのだが…――それで僕は、ふと突然思い出したのである。  スクナビコナノミコトとの記憶を――。 「……、…――。」  それは僕とシタハルが、いまだ八歳ほどの子どもであったころ――そのある秋の日の昼下がり、僕たちは大国主(オオクニヌシ)のおじさんの家に遊びに行ったのだ。  その日オオクニヌシのおじさんは自宅の客間の縁側(えんがわ)に腰かけ、秋の昼下がりの琥珀(こはく)色の太陽光をたっぷりと浴びながら、目の前の小さな庭の美しい(あかね)色にいろづいた、ゆたかな紅葉(もみじ)の木々を眺めあげていた。  黄金の光につやめきながらはらはらと散る紅い紅葉の葉を前に、彼の太い長い三つ編みの黒髪が一本たれた、そのどこか郷愁を感じさせる陰った背中は、しかし子どもであった僕らにはそれとは思われず――僕たちはいつものように「おじさーん、来たよー!」と、元気よくその男神の背中に駆けよった。  するといつもであれば「おぉ来たのかウエ、シタ。ようこそいらっしゃい」とすぐにやさしい顔をして振り向いて、ちょっと薄い眉を上げて笑い、そのかまぼこ型の大きな目をもっと大きく輝かせながら僕らを見て、まったく大きくなったなぁだとか、ちょっと待っていなさい、すぐお菓子を持ってきてやるからね、だとかとおもむろに立ち上がるそのひとであったが――この日はハッと警戒した獣のような機敏さで僕らにふり返ると、さっと自分の太ももの隣を大きな片手でおおい隠した。  なお、その男神のゴツゴツとした働きものの手が(かざ)されたのは、ちょうど縁側に置かれたおまんじゅうの皿や湯呑みのあたりであったので、それを目ざとく見つけたシタハルが「あっ」と声をあげ、にわかにニヤリといたずらに笑い、そしておじさんの肩を後ろからつかんで揺さぶりながら、 「ねえねぇえーおじさんっ…おかしひとり占めしたいのぉ? ひとり占めしたいくらいおいしいおかしなの〜? ずる〜〜いっ…おれたちも食べたーいっ」  と無邪気にじゃれついたのだが、…オオクニヌシのおじさんは「ん?」と目をまんまるにし、しかしすぐ、その目じりの笑いじわをもっと濃く刻んで「あっはっはっ…」と、朗らかに大口を開けて笑ってから、こう言った。 「あぁ違う違う。おじさんが隠したのは、あはは、いやいや、お菓子なんかじゃないよ? ――私の大切な旧友をお前たちがうっかり踏んづけてしまったりなんかしないように、守っただけなんだよ。」 「きゅうゆうって何?」と聞いたのは僕である。  ではシタハルはというと、おじさんが隠したものがお菓子ではない、と聞いたからこそ――ましてや彼も「旧友」という言葉をまだ知らなかったので、なお――その男神の手の下に隠されたものが何なのかと、近くにしゃがみ込み、男神の日に焼けた手の甲をじーーっとながめ下ろしていた。 「旧友というのは…」――オオクニヌシのおじさんが、僕を聡明なまなざしで眺めながら教えてくれる。 「つまり、うーんと昔から仲良しの、大切な大切なお友だち…イテッ、」  が、その上品な顔立ちの男神はにわかに眉をひしゃげ、ビクッとした。 「…? 大丈夫?」僕は心配したが、彼は「ああ」と笑いながらふと目を伏せた。 「ははは、おい少彦名(スクナビコナ)――。」  とそしてそう苦笑いをしながら、オオクニヌシのおじさんはそぅ…と、低くかざしていた手のひらを上げた。  するとそこにはそう――小さな小さな、十センチ未満ほどの……、 「聞いていりゃあ何だ大国主(オオクニヌシ)、チッ…滅法洒落(しゃら)くせぇこと言いやがってよォ! オレらは旧友だのオトモダチだの、そんっな生半可な関係じゃねェだろィ! ええ? ――オレたちゃ義兄弟だ! ああん、おいそうだろ!?」  ……(和菓子用のナイフのような竹串を、槍のように縁側の床に立ててもっている)スクナビコナのおじさんがいた。――ちなみにこのときの彼は、引き締まった浅黒い上半身が両肩以外あらわになるほど赤い着物を着くずし、帯は黒いものを締めて、さらに背中には彼の背丈よりやや小さいくらいの、つまり彼にしてみれば巨大な、つややかな黒の酒瓢(しゅひょう)(酒を入れるためのひょうたん)を、大剣のように背負っていた。また頭からはずされた竹笠(たけがさ)が、その小さな男神のうなじを隠していた。 「わあっ…」僕は目を輝かせてその場にしゃがみこんだ。シタハルもスクナビコナのおじさんを見て、ぱあっとその顔を感動に明るませた。 「精霊さんだ!」シタハルが高揚した声で叫んだ。 「かわいい〜! こんにちはぁ精霊さん!」僕も気分を高揚させ、笑顔になった。  そうして僕たちはスクナビコナのおじさんを一目見たとき、――もちろんこのときから髭面の無骨な中年男性的な容姿であり、またその声も酒に喉を焼かれたしゃがれ声(スクナビコナのおじさんは酒造の神でもあるため、無類の酒好きなのだ)と、それでいえば一般的な「精霊」のイメージとはかけ離れていた、かつ「可愛い」とは言いがたいところではあったが、――その小ささから、「精霊さん」だと思った。  ……それはなぜかというと…――。     ◇◇◇ 皆さま、いつも本当に本当にありがとうございます(`;ω;´) 当作をお読みつづけてくださっていること、また応援のリアクションをいただけていること、心より感謝申し上げますm(_ _)m これからもぜひぜひ応援いただけましたら幸いです! さて、実は私生活で突然お引越しすることが決まってしまい…! 更新のほうも並行してがんばるつもりではあるのですが、落ち着くまでは、以前よりもちょっとまばらな更新ペースになってしまいそうです>< ただ3日ごと更新できる期間も多分あるとは思うので! ご理解、ご了承いただけましたら幸いです。よろしくお願いいたしますm(_ _)m みなさまアイラビュ♡ お体に気をつけて! みなさまがいつもハッピーにお過ごしいただけるよう、お祈りしております♡ しか!

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