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第18話 でもじゃない
美月の部屋は中階の角部屋で、朝日が昇ったら綺麗に光が入りそうだった。
何故朝日の話になるのかというと、カーテンがなかったからだ。
「これ部屋の合鍵。無くすなよ」
美月は一枚のカードを満月に渡した。
「部屋にカーテン、ないんですね」
「あー、マジックミラーだから必要ないんだ」
たとえ中が見えないとしても、開放感がありすぎて落ち着けないのではと思った。
「気になるようならカーテンつけてやる、遠慮なく言いな」
美月はスーツを緩めソファーにだらしなく座った。
「あー、満月の着れそうな着替えが着ないな。明日店で見繕ってくるから、今は我慢しな。風呂は奥の左にあるから先に入れよ」
「美月さんが先に入ってください」
「俺まだやることあるし、先に入ってさっさと寝な。ベッドは一つしかないけど、キングサイズだからお前と一緒でも充分だろ」
部屋にある時計を見ると十二時回っていた。
本当にさっさと寝ないと朝練に支障が出るだろう。
が、満月には聞き逃がせない言葉があった、『ベッドが一つ』それはまさに同じところで眠るということだ。
「俺はソファーとか床で大丈夫です」
「かしこまるよ満月、そんなんじゃ直ぐ疲れるぞ」
「でも……」
「でもじゃない。いい子にしときな」
不意打ちで美月に子供扱いされて、満月は何とも言えない感情に駆られる。
無駄に図体ばかり大きい満月を子供扱いする相手など、母親と幼少期をしる爺さん達しかいないのだ。
好きな相手に子供扱いされるのが心地よい、そして不思議な感情が湧き上がる。
そして気付く、この人は誑しだと。
「それとも一緒に風呂入りたいのか」
「お先に失礼します」
満月は廊下に出ていくと美月は部屋の片隅にあるパソコンに向かい、キーパットを弾き始めた。
「あの、美月さん」
「どうしたー?」
「風呂場から寝室が見えて気になってしまうんですけど」
「いいだろ、風呂が覗けて」
美月はとてもいい笑顔で答えた。
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